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マーケティング特別対談 マーケティングの未来とデジタルデータの可能性

マーケティング特別対談

KDLは2017年5月8日にクラスタリングオートメーションツール「nosy(ノージー)」(http://www.kdl.co.jp/service/nosy/)の提供を開始しました。 そこで、KDLが主宰するMSSF会員で、株式会社AOI Pro.の佐々木淳様と、日本オラクル株式会社の福田晃仁様のお二人とnosy開発責任者であるKDL先端技術開発部長の山口和泰が「マーケティングの未来とデジタルデータの可能性」について対談させていただきました。

年齢層別区分が良かった時代と今の時代は何が変わったのか?

お二人の各分野におけるマーケティングの傾向を教えてください

これからのマーケティングはどんどん知能化していくと予想できます。「F1」や「M1」などの年齢層別区分はユーザを群衆としてしか見ておらず、そんなマーケティングは雑だと感じます。マーケターの中には物を見る目を持っていない人や、現場に足を運ばずPC上のデータの数字だけ見ている人も少なくないのが現状です。

私は学生時代の専攻が臨床心理で、現役の産業カウンセラーでもあります。実は、「顧客」と「企業」、「患者」と「カウンセラー」の関係には、類似した興味深い"文脈"があるのです。

もともと心理治療の中で、相談者は「患者」と呼ばれていましたが、ある時期から「クライアント」と呼ぶようになり、施術者と相談者は対等になっていきます。治療メソッドも画一的な"唯一"の治療法から、多様な来談者を中心にする考え方に視点が移っていったのです。

マーケティングにおいても、企業が製品を軸に語っていた時代から、顧客と対等になった現在への変遷があり、より顧客の多様性に寄り添うように姿勢を変えてきています。

プロダクトアウトの時代からマーケットインにシフトした時と、ポストモダンの需要が始まっている現在、そういった意味でも「マーケティング」という言葉の意味も、顧客に対して対等なものにシフトすべきかもしれません。

AOI Pro. 佐々木様 AOI Pro. 佐々木様
日本オラクル 福田様 日本オラクル 福田様

昭和のマスマーケティングにおいては、右肩上がりの大量生産型経済の中、獲物をひっかける・客をだますというのがある意味使命だったわけです。ですが、今は「できた商品を売る」ではなく「そもそも何を作ればいいのか」という状況なので、人の行動をよくよく観察して一緒にやり方を考えていくところから仕事が始まります。マーケティングというと最後の販売部分だけを切り出して、数字だけを作っていく「必勝請負人」のようなイメージですが、それこそ昭和のマーケティングです。その考え方が蔓延しているようだと日本のマーケティング業界は厳しいでしょう。

マーケティングのあるべき姿や重要なポイントとはどういったものでしょうか?

方法論の話として、セグメンテーションの重要性を挙げます。 何かを実行するときの「誰に対して?」の「誰」に答えるものですが、先ほどもありました「F1」「M1」のような雑な話ではありません。それは個人の趣味嗜好やモチベーション、WEBサイトやイベントなどに来る意味といった情報に踏み込むものです。

大きい話でいうと、世界観、価値観のようなものですよね。 どういう設計でその世界観を定義するのかはとても大事なのです。価値観の場合にはパラメータを組み合わせたものにどういう名前を付けるのかも重要なポイントになります。

例えば、博報堂さんが定義した「マイルドヤンキー」(地元指向が強く内向的、上昇志向が低いなどの特徴がある)という概念や「ソロ男(読み:ソロダン)」(独身男性の中で、ちゃんと働き、経済的に親に依存もせず、現在結婚する意思がない状態)という考え方を生んだマーケターたちは、個々の人たちのライフスタイルに飛び込んでよく見ています。

具体の生活に密着し観察した上で、観察者が自分で洞察し新たな気づきを得ることを「エスノグラフィー(文化人類学的方法論)」と言い、定量や定性と言っていた過去の遺物に代わるやり方だと言われています。 プロの観察者が見ないと分からない、エスノグラフィーから見えてくるものや、発見される定義はたくさんあります。

以前のマーケティングはプロモーションベースで、拡声器としての役割やアナウンスも目的の一つでした。現在のマーケティングはコミュニケーションベースになり、顧客が何を考えているのかは、ライフスタイルに入り込まないと分かりません。例えば「車」で考えた時に、「生活必需品」と考える人と、「おしゃれの一環」と考える人へのアピールは違いますよね。「車=こういうものだから、こうするべき」という考えは成立せず、向こう側の文脈を読み解き、コミュニケーションする必要がある。そこを導き出すための道具のひとつが「エスノグラフィー」の領域なのです。

人の生活にどう入り込んで、どう気づきを得て、それをどう次のアクションにつなげられるか。その試行錯誤からまず「事業デザイン」ができ、その上に成り立つものがマーケティングです。それがないまま、最終的なデータだけを欲しがるマーケティングは無意味なのです。そこだけを見て適当な説明を後付けしても非常に浅薄で、納得度も低いでしょう。

現代と昭和のマーケティングの大きな違いはデータの取り方ということですね。セグメンテーションのやり方も変わってくるのでしょうか?

現代のセグメンテーションは3段階あります。1段階目は単純な課題に対し"しくみ"で解決できるセグメント。2段階目はF1・購買力・男女・接点ログ、などファクトベースのセグメント。3段階目はモチベーションや、訪問・購買する理由や意味で分ける、というやり方です。

お察しのとおり、3段階目を利用するときに、エスノグラフィーが役立ちます。1段階目と2段階目のいわゆる反射行動の領域をマーケティングと言ってしまうと「昭和マーケティング」になってしまう。

神戸デジタル・ラボ 山口 神戸デジタル・ラボ 山口

顧客とのコミュニケーションを求める時点で、客観的事実は意味を持たなくなります。マーケティングは、向こう側で"思っていること"にコミュニケートしていかなければならないのです。

実際にエスノグラフィーをして密着してみて初めて分かることは多岐にわたります。

観察できる量は限られることから、「少数の例だけで全体計画を決めてしまうのは乱暴ではないか」という声もあります。 実際に、エクストリームな人を観察対象にしていることが多いのは事実です。しかしあくまで観察者が現場での発見をもとに、新しい仮説やワードを作りだすことに本質があります。観察から言葉を設計し、そこから方策が生まれるのです。

丁寧に人に耳を澄ます、これからのマーケティングにはその丁寧さが重要です。

個人個人の興味関心が独立していると言われる中、趣味嗜好を決定しているものは何か

情報爆発と言われる現代で、影響力の根源とはどういったものでしょうか?

情報爆発の時代といわれて久しいですが、ある一つのライフスタイルや思想を体現しているオピニオンリーダー、キュレーターの価値は今後、より一層高まってくるのではないか、と思っています。つまりSNSの中で人々のロールモデルになりうる存在ですね。

個人自体がネイティブに持っている趣味嗜好に対し、ロールモデルな存在から受ける影響は大きくなりがちです。何かをマーケティングする際のターゲットとなる人々がロールモデル視している人物をマークするというのも一つの手法ですね。そのためには、人々の世界観をどのように分類するか、その知見も大変重要です。

また、日本は同調圧力が強い国です。普通でありたい、周囲と同化していたいという考えも根強い。ですから、自ら能動的にロールモデルを捕まえて、フォローして自分を切磋するという態度の一方で、世の中の同調圧力の作られ方はいつも気にしていますね。

SNSという言葉が出ましたが、マーケティングにおけるデジタルデータの可能性についてはいかがですか?

nosyもそうですが、これまでKDLでは、「データを支配する」というコンセプトの下、活用しきれていないデータを活かすためのデータ活用技術に注力してきました。購買履歴やサイト閲覧履歴に加え、レビュー、アンケート結果といったデジタルデータを利用した「データ活用」のニーズが多様化する現代で、デジタルデータとマーケティングツールを適切に連携し、広めることに大きな可能性を感じています。

デジタルデータから個人個人の興味関心は捉えられるのか

マーケティングにおけるITの限界や、考慮すべき点はありますか?

nosyはパラメータを持たせない「ガラガラポン方式」と伺いましたが、その問題点は出てきたセグメントの解釈・名前付けが難しいところです。

例えばベーシックな情報整理として、"ある人"がECサイトにどこから訪問したか、何を見ているか、過去にどんな商品を買っていて、どんなメルマガに反応してくれた、といったいわゆる「1st Party Data(ファーストパーティデータ)」の整理と解釈から対策を組み立てます。

例えば、同じアクセサリーを買った人の中にも「そのブランドが好きな人」と「ただアクセサリー全般が好きな人」がおり、その人がどちらなのかを読み解かなければなりません。

しかしそこは結構難しくて、それを得るにはどんなデータが必要かと聞かれたら、あるだけ全部でも足りないケースがあります。手持ちのデータで、できる限りユーザの文脈の特徴を解釈し、仮説の構築をしていきます。

この解釈したユーザの文脈の種類が、企業がコミュニケーションすべきグループの数となり、グループごとに施策の設計がされていきます。このようなデータの解釈によるユーザ像構築と、nosyの手法論はある意味対極です。それぞれ得手不得手があるので、それを補う形で両立させるといいと思います。

nosyの基本的なスタンスは福田さんの仰る通り「ガラガラポン方式」です。データとしてもあればあるだけいいとは思っているのですが、一方であればあるだけいいというのは、「1st Party Data」と「3rd Party Data」があって、名寄せもされていて使える状態であったとしても、違う機会に取得したデータを組み合わせた際に、その人の関心や興味は本当に見て取れるのか?というのは疑問として残ります。

ですので、我々としては一つのメディア、ECサイト内で生み出されたデータだけを取り扱うようなデータの「地産地消」をファーストアプローチとして取っています。例えば、メディアAで生まれたデータはメディアA上のコミュニケーションに使いましょう、というものです。メディアA上での成果が十分に得られれば、次はメディアBも対象にした複数メディアのデータを扱っていく方針です。

そこでご意見を伺いたいのは、「データはあるだけあるほうがいい」という意図は何でしょうか。エスノグラフィーからとってきたデータとネット購買の履歴などのデジタルデータは体験しているシーンがまるで異なりますので、そういったデータをごちゃまぜにして、本当に顧客のことを分析・解析できるのでしょうか?

今後、「Amazon Alexa(アマゾン アレクサ)」(Amazonが販売するスピーカー型の音声アシスタント端末「Amazon Echo」の中身である音声認識機能)のようなホームアシスタントが増加すると仮定すると、「今家で何をしている」というようなデータは、ファクトベースではありますが拾えるようになります。nosyに結び付ける先として、ECサイト内で生み出されたデータとファクトデータの組み合わせというのも可能になるのではないでしょうか。

なるほど、精度の高いデータが取りやすくなると、システムとしても異なるデータを関連付けする手法が見えてくるかもしれませんね。

ですが、そこにはコンテキストがたくさんあるので、それらをきちんと踏まえられるのか、は重要です。AIが社会実装され始めていますが、やはりそこにHI(ヒューマンインテリジェンス)を併用していかないと、かゆいところには手が届かないものになってしまいます。

nosyのようなツールを使った上で、最後にどう人間力を噛み合わせてインテグレートするかだと思いますね。

コンテキストというのはいわゆる状況や文脈、脈絡だと思いますが、それを踏まえるために必要な人間力とは、現状把握するスキルでしょうか、それとも表現する語彙力でしょうか?

両方です。要は引き出しの数が足りていないのです。経験値が多ければ多いほど引き出しの数は増えます。人間のデータを扱うわけですから、特に人文知的な蓄積力が重要になってくると予想しています。

例えば、30秒のCMを作る時、やり方はいろいろあるけれど、自分が新人であれば巨匠の演出家のようにはできないですよね。現場で自己流で学んだとしても、ある程度まで来たら座学的に引き出しを増やす教育をすべきと私は思います。知見をひとりの暗黙知でなく、共有できるコンテキスト基盤にしていく努力が必要です。その基盤をどう作るか、これがすごく重要な話だと思います。

コンテキストという表現が出てきましたが、客観的に第三者が見た時に共感できないと意味がないのではないでしょうか?

その通りです。それは非常に難しいところだと言わざるを得ません。

同感です。それを定義化できたら、もっといいサービスが作れるでしょうね。

新たなセグメンテーションを切ったときに、名づけをしないといけない(=コンテキストを定義する)というお話がありましたが、それはすごく難しいことですよね。nosyでは、あえて名づけをせず、例えばこのユーザはこんな要素を持っており、その要素の群がコンテキストだ、という整理の仕方を取り入れています。

おそらく特定の要素群のインデックスの上には、フィロソフィカルな抽象性の高いレイヤーがありますよね。抽象性の高さのレンジはどれくらいあるのでしょうか?そこが問題で、そこをどう整理するかは重要です。

ベタなデザインとしては、いわゆる名詞情報(ブランド名、商品名など特定できる情報)が1階層目にあります。その外側に「キレイ」「気持ち悪い」などの形容詞で表現される情報があるイメージで整理しています。

では、逆にデジタルデータを使用したマーケティングに期待するものとは何でしょうか?

コミュニケーションに移っているというのは、大きなテーマです。企業側という主語がいて、群衆がいてそこに対してアナウンスするのは前時代的に感じます。対等になり、自分も相手も主語になった場合、物の意味が主体によって変わってくる世界で何をするのか、行動規定が重要です。

正解もなければ不正解もない時、合理的な話をすると「売上が上がる人はだれか」を抽出するというのが企業では一般的ですが、 5年後10年後に今のファンの人たちは自分のブランドを好きで居続けてくれるのかは日銭の論理とは異なります。

チョイスするパラメータ一つで、nosyはいいツールにも悪いツールにもなります。自分のブランドの意義と提供価値を理解した上で、何を投げるのかを設計して、それが何を生み出すのかを再解釈するというこの一連の流れを追うことは業界でもあまりできていません。ここをシステムとして設計するというのが今後の流れになっていくのではないでしょうか。

完全に同意です。

自分のブランドは何であるかを理解する、という割と泥臭い話を踏まえたうえで次に進む必要があります。さまざまなマーケティングツールが出てきていて、「ボタンの大きさ・色味・デザインを変える」「質問項目の上下を入れ替えるとクリック率が数%アップする」といった反射行動だけを見るようなツールも多く存在します。nosyにはそれだけではなく、マーケティングがコミュニケーションに移ってきているという現状に対応していってほしいと思います。

nosyの有用性は、具体的にお客様企業のコミュニケーションスタイルが消費のレイヤーに近いのか、ブランド的、つまり精神的なレイヤーなのかでも全く違ってくると思います。そのニーズの答えを探すにあたって、どの属性のデータをとると分かるのかが明確ではないわけですよね。「あえてセグメンテーションに名づけをしない」と言っていましたが、名付けない物のレイヤーやレベルはどうなるのでしょうか?

それはアウトプットでもそうですが、インプットにも大きく依存するものですよね。買いたいモチベーションや欲求を取ろうとするなら、過去の購買履歴やWEBサイトの場合はサイトの閲覧履歴がそれに当たると思います。

ですが、おっしゃられていた精神的なレイヤーの帰属的な意識などを出そうとすると、より日常生活に密着してその人のライフスタイルを見るということが必要ですね。

SNSではどんな投稿をして、どんな所に行っているのか。ですが、これは直接購買とは結びつきません。インプットの時の「データはあるだけあった方がいい」というところに疑問を感じたのはそこでした。

ユーザ属性の話が続きますが、nosyが企業へできることとは何でしょうか?

私は、これまでの名作CMを受容コンセプトによって分解、分析したCreativeGenomeというHIのデータベースを構築し続けています。それを利用した施策もご評価頂いていますが、その際の縦軸は下から「本能段階」「消費段階」「感受性段階」「実践段階」「精神段階」と分けました。ブランドコンセプトが明快なものを使い続けているユーザは人生観もそうなる傾向になるのではと思っています。

企業がnosyと向き合う際、ユーザのプロファイル設定はもちろんですが、その企業がセルフイメージやブランドをどう設定するのか、そしてnosyがその考え方や定義をどこまですくい出せるのか、という部分も非常に大事なのではないでしょうか?

nosyでは、コンテキストベースでセグメンテーションした後に、コンテキストに含まれている各要素と、企業側が用意したコンテンツをマッチングし、そのコンテキストにマッチしたコンテンツをユーザに送るというところまでデザインできます。

インプットのデータ、例えば購買の履歴とその企業の商品のページの閲覧履歴があって、そこから得られた情報からユーザ自身の興味関心があるものってどんなもの?というところを商品名や修飾語でセグメンテーションしていきます。するとこのユーザは「きれい」「美しい」のワードに反応していることなどが分かり、企業側が用意している新しいコンテンツどのパターンに合致するか、といったデザインができるサービスです。

どうマッチングさせるかなどのクオリティの部分への取り組みは継続して必要ですが、コンセプトとしてはこの流れが一連のサービスです。

顧客一人一人とどう向き合って、コミュニケーションしていくべきか?

「ファン化」するために、企業は顧客にどう向き合っていくべきでしょうか?

nosyはどういったお客様向けのサービスなのでしょうか?

日銭を稼ぎたいというよりは、「記事読ませ系」のメルマガなどを発行している企業様がターゲットです。短期的な売り上げを考えるのではなく、いわゆるロイヤルカスタマーを増やしたい企業にマッチします。

なるほど。佐々木さんのやってきている日本の共通意識に訴えかけるような、ある意味クリエイティブジャンプという世界がありますが、そことは違う分野であるということは整理が必要ですね。nosyのやり方は、すでにカードができていて、導入する企業側にも既定のカードがあり、どれが一番マッチするかという話ですよね。そういう意味では、クリエイティブ要素の強いものとは一線を画す必要があると思います。

次世代はAIが少しずつ進化し、ホームアシスタントやIoTサービスが主流になるでしょう。つまり行動全体がデータ化することで、ある意味限度があると言われていたマーケティングデータも、限度が開けてもっと総体的なものになるでしょう。その際に、解析をより優位なものにするためにHIは必須の知財となってくると思っています。今よりもっと緻密な部分での戦いになるはずだからです。

情報も多様化していますが、顧客からの要望に変化はありますか?

「オートメーション」というところでいうと、よくお客様から聞かれて「えっ?」と思うことがあります。それは「オートメーションツールを入れたら、何を書けばいいのか出してくれるんでしょう?」と言われることなのですが、そのメッセージはブランドの心であり、企業自らが考えるところだと思うので「そこは自分で作ってください」と伝えると「全然自動ではないのですね」と言われてしまいます。

我々も「そこがオートメーション化されなかったら、このツールは使えない!」というくらいのレベル感で言われますね。そこは自動化してはいけないところだと思うのですが、企業側からするとそこに一番マンパワーを割いているので、最も自動化したいのかもしれません。

逆にエスノグラフィーの現場は、クライアントの上層部を巻き込んで一緒にやっているようです。ですが、エスノグラフィーも軽く扱われることが多いですね、意識高い系ワークショップの延長のようなもの、と思われているケースもあるようです。 でもエスノグラフィーをやっている人間はすごく楽しそうです。観察をしてこういうオリジナルなこと、コンセプトを発見した!という喜びを伝えたい気持ちが伝わり、それが彼らの魅力にもつながっていると感じます。

10年後のマーケティングとは

デジタルデータを利用したnosyの10年後の姿とは?

nosyの10年後を見据えた時、クリエーター・クリエイティブの要素はいれていかなければならないと思っています。そのために今後どう進化・成長していくべきかについてですが、固定化されたデジタルデータだけにとどまっていると限界はすぐに訪れます。家の中の自分の行動も、外出時の行動もすべてトラッキングできるとなった時に初めて、「個」のコンテキストをモデリングすることができるようになる。それはnosyが実現すべき世界だと思っています。

お二人が予想するマーケティングの10年後とは?


できることは増えて、接点も細分化されているはずなので、データを解釈するというある意味アナログな仕事が現在よりももっと必要とされていると予測します。AIやHIという技術が発展する中で、10年後、主体が多数になった場合のナラティブモデルマーケティングなどが楽しい想像としてありますが、おそらくあまり変わらないのではないでしょうか。

私がこの5年間で参考にしてきた書籍ですが、20年前のマーケターの本を今も愛読しています。テクノロジーだけが変わっていくがマーケティング自体は変わらず、テクノロジーがインテリジェンスに追いついてくるのではないか、とは感じています。

HIのマーケティング、HIでデータを解析するという方向に進んでいくと思います。しかしHIで解読するものは今人間が解読しているものとそうそう変わらないのではないかとも思います。

一方で購買・所有という感覚が10年後、どこまで変わっているのかは気になるところです。月会費を払えばDVDや洋服、車がレンタルできる時代です。そういうことが少しずつ現実化していくと社会の構造や気分も変化していきます。

マーケティングの語義自体が変わるのかは分かりませんが、少なくともデータ収集という意味では今よりももっと膨大かつ濃厚に取得できていく可能性が大きい。逆に解析においては相当なレベルの知見が必要になる時代になります。マーケターの腕の見せ所です。

貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

AOI.Pro 経営企画部事業企画チーム
佐々木 淳
経歴
東京外国語大学スペイン語学科卒 ラテンアメリカ文学専攻
1992年 株式会社葵プロモーション(現 株式会社AOI Pro.)に入社。
CM本部プロダクションマネージャー(PM)として80本以上のCM制作に携わる
2000年~ プロデューサー。CSコンテンツ・BSデジタル案件・WEB・インタラクティブ領域において50作品超をプロデュース。
シカゴ国際映画祭やカンヌ国際広告祭など海外賞の受賞多数
2011年
~現在
戦略事業本部内に<UXプロデュース部>を新設, UX商材開発・産学協同プロジェクト他 各種モデレーション案件を手がける。
Yahoo!JAPAN、JAC、MDN、DAJ、宣伝会議、慶大・芸大ほか各大学・各種セミナー・イベントにて講演多数。
日本オラクル株式会社 オラクルマーケティングクラウド本部
プリンシパルソリューションコンサルタント
福田 晃仁
経歴

これまで国内売上上位ECサイトの顧客分析や戦略構築支援を多数担当。
「企業データ活用」のコンサルタントとして、顧客購買分析、セグメンテーション、施策設計、実行管理、および基盤設計、導入/運用までを範疇とする。
"顧客とのコミュニケーション" を念頭に、施策とテクノロジーの両方の観点から、企業の統合マーケティング基盤構築を数多く手掛ける。
現在はBtoC向けの戦略構築を中心に、日本のOracle DMP(旧称:Bluekai)、MAを担当。イベント登壇・セミナー講師(Web広告研究会、MarkezineDay、ad:tech、法政大学大学院ビジネススクール、Japan IT Week 有料講座、MS Marketing Conference、その他)多数。

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