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2018.11.27
CSR活動

学校のWebサイトは誰に何を発信するのか?教職員向けのWebサイト充実講座に登壇しました

昨年、兵庫県立教育研修所で行った教職員向けのWebサイトの講義を行いましたが、今年も引き続きご依頼をいただきました。ここでは、講義の様子とその内容をご紹介します。

前回の講義が非常に高評価だったということで、今回はなんと3倍の受講者が集まったとのこと。

今回はWebサイトの分析・改善などWebサイト最適化支援を行う、エクスペリエンスデザインチームの飯塚が講義を担当させていただきました。

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<デジタルビジネス本部 エクスペリエンスデザインチーム 飯塚友哉>

ユーザーの視点から課題を知る

学校は学校関係者だけでなく、保護者、地域の人々などの協力で成り立っています。学校教育への理解と協力を促す為にも、取り組みや方針を保護者、地域の人々に発信していくと考えた場合、どのような情報を発信していけばいいのでしょうか?

まずは最初に、学校ウェブサイトの役割と効果的な情報発信について受講者の皆さまに考えていただきました。いきなりですが、Webサイトのユーザーになりきって、使いやすいかどうかを評価してもらうというものです。

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ペアになり、「高校(中学校)入学を控えた娘を持つ営業職の会社員(45歳)」という前提でサイトのユーザになりきって相手の学校のWebサイトを閲覧し、「教育方針はどこにあるの?」「学校の場所がわからない!」「なるほどー」など、操作しながら可能な限り気持ちを声に出してもらいました。校舎の案内図を見て、「教室移動が遠くないですか?」と生徒さんの動線を気にされる場面も。さすが現場の先生です(笑)。

聞く側は、とにかく感情の変化や気づき(いわゆる「文句」)を言ってもらうことが課題の発見に繋がるので、ぐっとこらえてユーザの気持ちや何が悪かったのか、メモをしながら改善点を考えます。

結果を何組かの方に発表していただきました。普段学生相手に教鞭をとられている先生方、前段、経緯、結論、という発表が非常にわかりやすく、私達も見習いたいところです。

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なんとなく閲覧するのではなく、見る側を意識して欲しい情報を探しながら閲覧すると、改めていろんな発見があります。このペアワークを通して、まずは現状のサイトの課題を認識していただきました。

構築方法で運用は変わる

次に、ウェブサイトの基本的な仕組みとして、HTMLとCSSの構造や代表的な記述方法、Google Chromeのデベロッパーツールの使い方などを解説しました。ブラウザでデベロッパーツールを開いたり、ソースコードを見たりということはWebの開発をする方はよくあることですが、普通に情報を検索する分には使わないですよね。「レスポンシブ」という視点も、作る側で意識することは少ないと思います。

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組織的・効率的な運用のツールとしてご紹介した「CMS」は、先生方が使い慣れたOfficeソフトが使えれば簡単にページが作れるということで関心を持たれた方が多かったようです。

学校のWebサイト運営の体制は、一人で運営している学校が半数を占めるという調査結果があります。今回、サイトの運用体制についてチームで情報交換していただいたところ、ひとりの先生がすべてを担っていたり、学年単位で決められた担当が撮影と記事の執筆をするなど、学校によって体制は様々でしたが、スケジュールを立てたり定期的に管理されているという方はおられなかったようでした。

学校は行事も多く、ひとりで行うのは負担が大きいはず。

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コンテンツの更新、改善などの運用を行うためには、できるだけタスクをスケジューリングし、運営体制を整えることが望ましいと伝え、企業のサイトの運営体制やキックオフの方法などを例としてご紹介しました。

自校Webサイトの現状分析と改善に向けて

午後からは、自校のWebサイトの現状分析と改善に向けて、実際に現場でも使っている項目別に自校のWebサイトをチェックしていただきました。いわゆる、専門家が経験則からWebサイトを評価し、課題を抽出する「ヒューリスティック診断」です。

websitekouza_201810_002.png様々な視点からのチェックリストに基づいてWebサイトを診断するので、継続的な改善にも使えます。

また、人が見るだけではなく、実際にサイトを訪れたのユーザの動きに沿って改善を行う例として、「Googleアナリティクス」をご紹介しました。ちなみに、「Googleアナリティクス」を既に導入しているという学校は、1校だけでした。ぜひとも解析ツールの導入を検討して、改善に役立てていただきたいですね!

受講者の声

講義後のアンケートでは、「改善点を見つける際の観点がよくわかった」「自校のサイトの課題がよくわかった」「CMSのことを知ることができてよかった」などのご意見があり、ご満足いただけたようでした。一方で、「HTMLを身に付けたい」「CMSを使ってみたい」など、もっと実践をしたいというご要望も多くありました。

「情報を掲載するだけで発信できている気になっていた」という感想は、まさに運営している方の多くが同じ感じなのだろうと思います。長丁場でしたが、それ以上に内容が盛りだくさんで受講された方も大変だったことと思います。

所感(飯塚)

iizuka.png今回はターゲットを意識したPDCAサイクルを回せるようになることをゴールとして講義をさせていただきました。
先生方が学校で配布するプリントや掲示とは違い、誰でも主体的にアクセスできるサイトでは、誰に何をどのように伝えていけばいいのかを皆さんで考えていただきました。
実際にユーザーになりきって操作いただくことで、ストレスに感じる部分の発見や「こうしたらいいんじゃない?」と様々な意見が飛び交い、私も「なるほど!」と学ぶ点も多くありました。

演習や議論いただいた内容は学校内で共有いただき、今後のサイト運営体制、更新スケジュールを協議し、学校全体でサイト運営に取り組んでいただければと思います。

受講いただきました皆様のサイトが、より良いサイトに改善されていることを願っております!