2019年4月12日 12:00

「AI開発内製化・ビジネス開発講座」実施レポート(株式会社タクマ様)

環境設備・エネルギープラントなどの設計および施工を展開する株式会社タクマ様で、AI開発内製化・ビジネス開発講座を実施しました。今回は、その講座の内容や当日の様子をレポートいたします。

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なぜ今AI開発の内製化が必要なのか

AI開発の現場では、「費用を投入して開発したがいい結果が出ずにPoCで終わってしまった」「そもそもゴールが不明瞭でプロジェクトが進まなくなった」というケースが多いのが現状です。

なぜ多くの企業でAIの導入が進まないのか?その理由は、導入される企業とIT企業が持つ知識範囲に溝があることだと私たちは考えています。導入を進める企業は、AIがどのような技術で何ができるのかを知りません。そして、私たちIT企業は、実際の現場の業務知識や課題のイメージを知りません。

AIを使う場合、そもそもAIが使えるデータか、期待する精度がでるか、それによって本当に課題が解決するかの判断から始まります。「AIでこんなことがしたい」と相談された要望は、実際に現場を見るとそもそも解析が難しかったり、費用感が見合わない場合もあります。これを繰り返していては、時間もコストもかかってしまいます。

私たちは、AIを使いたい現場の方に知識を深めていただき、自社の課題に対して「AIで解決できそうかどうか」を自ら試しながら考えていただくことが先決だと考え、AIの内製型PoCを支援しています。

タクマ様のAI活用の展望

タクマ様では、現状のプラントの運転制御・遠隔監視・運転支援機能の更なる拡充のため、IoT、ビッグデータ、AIを活用した質の高いサービスを推進しておられます。今回、AI開発の内製化を早期に進めるにあたって、検証過程の理解を深めたいというご要望で、本講座を受講されました。

講座の内容とゴール

「自社の課題に合わせて自分でアプリ開発、カスタマイズできるようになる」というスキルの習得をゴールに、「AIを使ったサービスを開発するための基本的な操作」を習得します。手順に沿って講師と一緒に開発を進めるハンズオン形式で、実際に練習アプリを1から作り、AIに学習させる手順を学びます。

ハンズオンの目的

受講の様子

まず初めに、取締役の村岡より産業界におけるAIやIoT活用の現状と今後、AIとこれまでの技術とは何が違うのか?などについて解説いたしました。

「これまでのITは、技術者が何かを成し遂げるための理論を作ってきたが、AIは入力データの特徴を勝手に学習して計算理論を自動的に得ることである。機械が学びやすいデータを繰り返し学習させるのが特徴で、データを使うことそのものが、AIのコツである」と村岡。

村岡の講義

「自動運転は信号や道路、障害物を認識しているから成り立っている。そのような技術を活用していけば、既存業務の改善と新事業の創出につなげられる可能性がある」という話に、受講者の皆様は深くうなずいておられました。

画像判別器の生成

次に、AI班杉本によるハンズオンによるアプリ開発を開始しました。

まずは、画像判別器の生成スキルを習得します。Microsoft AzureのCustom Vision Serviceを用いて、農作物の画像から病気を判別するアプリを制作しました。あらかじめ準備した画像を学習させるという手順は、ほとんどがブラウザ上でのドラッグ&ドロップや日本語でタグを入力するなど、簡単な操作で作成できます。手順に沿って、全員がアプリを制作できました。

受講の様子

アプリの作成と公開

次は、これをアプリとして公開する手順です。ここでは、アプリを作る環境設定からビルドの方法、アップロードまでひととおり学びます。アプリのスマホから写真を撮って判別させるところまでのスキルを習得することで、今後のサービス開発に向けた検証サイクルを自社で行えるようになります。

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判定したものに、正しいタグをつけて学習させていく手順も学びました。興味深いことに、学習データが同じでも同じ精度がでるとは限らないそうで、そのときそのときで学習効果は変わるそうです。不思議ですね。

アプリのカスタマイズ

次は、アプリのカスタマイズ方法です。同じ手順で別のものを対象に画像で判別するアプリを作成していただきました。画像判定後にユーザーに表示するテキストの編集手順などを学び各々でカスタマイズしていただきました。

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物体検出

カスタムビジョンで学習できる画像認識のタイプには2通りあります。ひとつめは、ここまでで学習した各画像がどのタグ(病気の種類など)かを判定する「分類」、そして二つ目は、画像内に存在する物体を検出してタグを分類する「物体検出」です。

今回は、後者の物体検出についても学びました。

様々な要素が存在する画像内で、検出対象が映っている領域を指定してタグ付けを行い、学習させます。学習後、自由にインターネットから画像を取得して判定してみました。

いろいろな画像を入れて試すと高い精度で正答しましたが、AIの特徴はなぜその判定が出たのかはわからないということです。学習するごとに、AIがどんな特徴をつかむのかもわかりません。AI活用を考えるには、まずデータを活用して繰り返し学習させてみる、ということが大切だと感じました。だからこそ、AIを手軽に検証できるリソースを自社内に持ち、スピード感を持って試すことが重要になるのです。

最後に、教師データの選び方や質、著作権などについて学び、講座は終了しました。

受講者アンケートより

受講後のアンケートでは、「大変わかりやすい内容で、今後の業務において画像分析を使用する際のハードルが下がりました。」「認識・識別に関する学習方法が作業にて体験でき、イメージだけでなく実体験として理解できた。」「ツールを利用したAIの簡単なテストを行うことができるようになった。」などの感想をいただきました。

一方で、「教師データをどのように解析しているかをもっと知りたかった」「各プロセスで、何をするのにどのアプリケーションを使用するのかをもう少し知りたい。」など、もっと深く知りたいというお声もいただきましした。

いだだいたご意見をもとに、内製型PoCの実施にむけたサポートを引き続き行っていく所存です。

KDLでは、AI活用を推進されている企業様向けに、サービス開発を支援する「AI開発内製化・ビジネス開発講座」を提供しています。お気軽にお問合せください。

講師より

sugimoto.pngタクマの皆様は既にAI事業に取り組まれていることもあり、当日は活発に質問が飛び交い講師としても大変楽しく実施させていただきました。

ハンズオンの内容は「画像認識モデルを便利なツールで簡単に作る」というものだったのですが、ツールでブラックボックス化されている部分の処理を、自身の知識と照らし合わせて予想されている方が割といらっしゃったのが印象的でした。作るだけでなく、仕組みを知っておきたいというニーズもあることを踏まえ、今後の開催に活かしていきたいと思います。

また、狙い通りシステム部門以外の様々な現場の方にお越しいただけたようで、今後社内での積極的な画像認識の活用に期待しています!

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