KDL BLOG

2019.11.08
KDL社内・社員

屋外IoT導入現場の実情:現場では迫り来る時間と自然との闘いだった件

ITの現場は多少違いはあれど、デスクワークが中心です。
ですが、IoTの現場は危険が伴うこともあります。もちろん、エアコンを外出先からスマートフォンで操作できる、交通機関の遅延情報をアプリで受信するといったユーザーが利用するIoTに危険が伴うことはありません。KDLが行うのは「エアコンをリモート制御する」「受信用のアプリを制作する」といった部分であり、皆さまに使っていただく前段階です。

というわけで、今回は屋外にIoT機器を導入する現場の様子をレポートします。

某造船所で作業

今回は某造船所で船の上にIoT機器を取り付け、観測したデータを蓄積できるよう船内のサーバーとの接続環境の構築しました。この取り組みは、KDLのグループ会社であるバニヤン・パートナーズが2017年10月より国立大学法人神戸大学と共同で、スカパーJSAT株式会社の「海上気象観測の自動観測・自動送信システム」の開発を担当するもので、現状は船舶上で目視観測されている「全雲量」「雲形」「雲の状態」を、船上での撮影画像とAI(人工知能)により自動化するシステムのデータ収集を目的にしています。(※1)
スカパーJSAT株式会社が運営する、雲識別AI搭載の雲判定アプリ「くもろぐ」にもこの技術が用いられています。(※2)


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※造船所は機密事項ばかりですので、本来であれば写真はNGです。今回は特別に許可をいただき撮影し、写真を加工しております。ご了承ください。

安全への取り組み

ここで作業をさせていただくためには、作業着、保護メガネ、耳栓、手袋、脚絆、安全靴に安全ベルトをつけてヘルメットをかぶります。


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現場の朝は早い

日の出前から準備のため動きだし造船所に向かい受付を済ませます。
始業開始前には多くの職人で混み合う為に少し早めに到着し受付の列に並びます。
8時からラジオ体操の音楽が現場に流れ、その後作業開始と思いきや…違います。先ずは現場毎に存在する安全講習の受講です。過去や直近で起きた事故例や現場のルールについての講習を済ます事ができれば、受講証明書が発行され現場に入る事が許されます。もちろん挨拶は「ご安全に!」ですよ。

PCを置く机もなければ椅子も無い!

現場に入れば、当日の動きやKPIを確認しつつ、他社の職人と共に協力しながら、手際よく作業を進めます。
今回作業したのは船の中でも一番高い場所になります。

当然日が出ればめちゃくちゃ暑く、風が吹けば寒くて飛ばされそうになったりする場所で、当然PCを置く机もなければ椅子も無い、割と(いや、かなり?)過酷な場所だったりします。

周りを見渡すと我々よりも重装備な職人が多く、所狭しと作業に明け暮れており、装備品からも経験値の差を見せつけられました。まだまだ綺麗な作業着がちょっと恥ずかしくなります。

日没までが勝負

一応残業についても現場責任者から事前に説明を受けましたが、照明も無いし暗くなったら作業続行不可能。
なんとか暗くなる前に作業を終わらせねば!と思った矢先にトラブルが発生です。(あるあるですよね)
なんとか日没までに。日没までになんとか復旧をしなければ!残り時間はわずかと思った矢先に、塗装職人が床を高圧洗浄機のような機材で塗り始め僅か数分で我々の作業スペースは無くなり本日の試合終了。

明日の朝までには乾く(それもすごい話)との事ですので、甲板での作業は諦めて船内のサーバールームで残作業をすませ、船を後にし翌日に持ち越す事になりました。

船は朝から雨だった

翌日はまさかの雨。とは言え作業を止める事はできません。
というわけで大雨が降る中現場に向かい対応することに。
(強風が吹き付けると雨が顔に当たり痛い)
こればっかりは自然が相手なので文句も言えません。


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どうでしょうか?IoTのイメージが少し変わってきた方もいるかもしれませんが、我々KDLメンバー、そして発注いただいた企業の方は、デスクで開発しているだけでなく、ハード面も試行錯誤しながら一生懸命作業に取り組んでいるのです!

KDLとバニヤン・パートナーズが共同開発

今回は対象のIoT機器を共同開発したKDLの中西とグループ会社であるバニヤン・パートナーズの稲村が現地で作業を行いました。作業服に着替えるとどっちがどっちか分かりません!


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以前のブログでも紹介しましたが、この二人がそろうと、台風だったり雨だったりと天気がいつも悪いのは気のせいでしょうか?今回造船所での作業ということで緊張感のある現場でしたが、先方はとても丁寧に指導して下さり、我々も安全に作業を終えることができました。ご指導・ご協力をいただきました皆さま、ありがとうございました!

※1 プレスリリース:世界初、船上での撮影画像とAIで、船舶気象観測における課題解決を目指す

※2 「くもろぐ」トークイベントに参加しました!