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あるだけでは意味がない「AED」。定期的な講習会で意識づけを

KDL神戸本社にはAED(自動体外式除細動器)を設置しています。
市民の方が街中で不慮の事故や急病で呼吸・脈が停止した場合に、その場に居合わせた方が登録してあるAEDを用いて、一人でも多くの命を救えるようにする取組みに賛同し、神戸市の「まちかど救急ステーション」にも本社5階のAEDを登録しています。

あるだけでは意味の無いAED。もしもの時にしっかりと対応できるように、今年もフクダ電子兵庫販売様をお招きして、講習会を開催しました。

ちなみに神戸市中央区、元町から三宮周辺のまちかど救急ステーションマップは現在このような状況(2020年2月13日時点)です。

実践型の講習会で基本を取得

2020AED02.jpgこの講習会は毎年、KDL衛生委員会の主催で開催しています。事前に受講希望者を募り、講義と人形を使った実践練習を1時間程度で教えていただける機会です。講義では「突然死」の恐ろしさを学び、実践練習ではAEDの使用方法を習得します。

AED機器は、全国で数種類しかなく操作方法も同じであるため、一度使い方を覚えれば、全国に設置されているAED機器を使用することができます。今回は新卒入社社員を含め、11人が受講しました。

講義では「突然死を自分事」に考える

ランニング中に急性心筋梗塞による心肺停止状態になり命を失った元サッカー日本代表の松田直樹さんや、AEDにより助かり救急救命士を目指した野球少年らのエピソードビデオを視聴しました。
2020AED07.jpg現代の日本では、年間約7万4千人が突然死で亡くなっています。単純計算で毎日200人以上が命を落としているのです。いつでもどこでも誰にでも起こり得る症状であり、心肺蘇生とAEDの併用利用で救命率は4倍になることが分かっています。反対にAEDの使用が1分遅れるごとに救命率は10%低下することから、迅速な対応が求められるのです。

AED実践 倒れている人を発見、意識を確認

続いて、専用の人形を使ったAED実践形式の練習を行います。
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まず倒れている人を発見したら、肩をたたく、「大丈夫ですか?」「聞こえますか?」と声をかけるなどして意識があるかどうかの確認をします。意識がなければ応援を呼びます。

AED実践 できるだけたくさん応援を呼ぶ

AEDによる蘇生は時間との闘いでもあります。できるだけたくさんの応援を呼び、まず「119番通報をして救急車を呼んでもらう人(分かりにくい場所の場合誘導もしてもらう)」、「近くのAEDを取りに行ってもらう人(土地勘のある人が望ましい)」「医療関係者」「胸骨圧迫(心臓マッサージ)の協力者」「外から見えないように壁となってもらう人」などを集め、声をかけて指名します。

AED実践 胸の動きなどで呼吸を確認する

2020AED03.jpg大きな声で10秒数えながら胸・腹の動きや鼻に耳を近づけるなどして呼吸の有無を確認します。確認がしづらい時や、普通の呼吸とは違う死戦期呼吸(嗚咽をあげるような呼吸)をしている時は、迷わず胸骨圧迫を開始します。

AED実践 AEDよりも難しい胸骨圧迫

2020AED05.jpgAED使用時とは違い、肌を露出させる必要はありませんが、コートなど重衣料を着ているときは脱がせます。みぞおちの位置を確認しそこから喉まで繋がる胸骨の下半分(胸の真ん中)あたりに両手を重ねて手のひらの下半分に体重を乗せるように圧迫します。回数は1分間に100~120回程度、胸骨が5センチ程度沈むイメージです。

圧迫が弱くなったり、疲れる前に交代することが大事です。「代わってください」と声に出して次の人に対面にスタンバイしてもらい「1、2の3」で交代します。

AED実践 AEDが到着したら音声ガイダンスに従う

2020AED04.jpgAEDは防水ですが、濡れていると電気が正しく流れないため、胸が汗などで濡れている場合はタオルなどで拭いてから(雨の場合は軒下などに移動)使用します。

電源を入れると音声ガイダンスが始まりますので、それに従って行動します。途中電気ショックを行うために、電極パッドを体に貼り付ける際、貼り付ける場所は肌が露出している必要があります。ブラジャーやネックレス、ベルトといった金属類を外す行為はやけどを防ぐためですが、外すのに時間がかかるようなら電気ショックを優先させます。

体毛が濃くてパッドが外れてしまう場合は、肩やわき腹などに貼れば問題ないそうです。子どもの場合はパッド同士が触れてしまうのを避けるため、背中と胸に貼ります。そして、ショックを与えた後はすぐに胸骨圧迫を再開し、2分間続けます。その後AEDが再度電気ショックが必要かどうかを判断します。

AED実践 医療ドラマで見る「離れて!」は重要な動作

2020AED08.jpg操作はそこまで難しくないAEDですが、絶対に忘れてはいけないことが感電を避けるため、電気ショックの時は触れてはならない、ということです。

その場にいるのが大人のみの場合は「離れてください!」の一言で済むものも、親が倒れて小さな子供が抱きついて離れないような場合などは、誰かが責任をもって子供を近づけないようにする必要があります。胸骨圧迫においても、思っているよりも体力を消耗することから、協力者は多い方がよく、できれば誰が何の役目なのかをはっきりさせる司令塔がいればその人に従いましょう。

最後に

講師を務めていただいた方からは、「これ以上悪くなることが無い状態なので、気負わずにAEDを使ってほしい。貴金属は外すと案内していますが、ネックレスやベルトだけで、ピアスや指輪まで気にすることはありません」とお話がありました。「皆さんは刑法・民法のどちらからも守られています。責任は問われません。目の前で人が倒れたら気が動転するとは思いますが、できるだけ勇気をもって手伝ってほしい。見るのさえ怖ければ壁を作る役目を手伝ってください、やじ馬にだけはならないで」とも。

2020AED09.jpg目の前に人形がいる、今はAEDの講習会である、というのが分かっていてもどうすればいいのか分からず戸惑うことがありました。ですが、全国で50万カ所以上に設置されているAEDはあるだけでは意味がありません。使うべきに使えるようにオフィスの近くを歩くとき、家の周りを散歩するとき、最寄りの駅から電車に乗る時、AEDの場所を確認するところから始めませんか?

最後になりましたが、フクダ電子兵庫販売様、分かり易い講習会をありがとうございました!

前回のAED講習会講習の様子はこちら

執筆:大野 陽子

広報室