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国内水族館初のAIシステム AIと黒電話を使ったデジタルアート作品「AI shAIne」を開発しました・四国水族館

こんにちは。神戸デジタル・ラボ Progressive Developmentチームの高橋です。 この度、2020年3月20日に香川県宇多津町にオープンする四国最大級の水族館「四国水族館」様の常設展示のひとつ「AI shAIne(エーアイシャイン)」の開発を担当させていただきました。

「AI shAIne」は、黒電話と壁面に設置するグラフィックを利用しアート作品のように展示する、解説チャットボットシステムです。ここではそんな「AI shAIne」の見所や開発秘話をご紹介しちゃいます!

チャットボット「AI shAIne」はこんなシステム

まずは簡単に、システム概要をご紹介させていただきますね。

「AI shAIne(エーアイシャイン)」は、デジタルサイネージと黒電話を用いた、いわゆる音声対話型の「チャットボット」システムです。黒電話に話しかけることで、生き物についての情報や館内インフォメーションを聞けたり、キャラクター(AI社員)との雑談などが出来ます。インターフェースとしては、黒電話、そして以下の3つの画面から構成されております。

画面1:電話帳アプリケーション

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タブレット端末に表示される電話帳アプリケーションには、それぞれ得意分野を持つ3人のキャラクターが登録されています。まずはここでキャラクターを選択し、表示された番号を黒電話でダイヤルすると、彼らに通話が繋がるという寸法です。詳しくは後述いたします。

画面2:対話アプリケーション

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大きなメインスクリーンには、ユーザーの発話から認識した文章、それに対するキャラクターの返答が表示されます。もちろん黒電話の受話器からは、操作ガイダンスやキャラクターの声が随時流れています。

画面3:シナリオ管理アプリケーション

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そしてこれは、管理者側が使うお客様には内緒のアプリケーションです。キャラクターの設定やシナリオ登録、対話ログの閲覧、各種設定ができちゃう画面です。ここでみなさんの発話ログを見て、Q&Aを登録し、AIに学習させていきます。詳細は私どもの秘密です。ふふふ。

見どころ紹介

それでは、当システムの見どころを詳しくご紹介していきますね!

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黒電話

まず何と言っても特徴的なのは、この黒電話!ただのサイネージ型対話システムじゃない!これは目を引くんじゃないでしょうか。

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黒電話を採用した理由は?

その1:「これはなんだ?」と視覚的に興味を持ってもらいたい
そして、
その2:お子様からお年寄りまで、黒電話をきっかけにコミュニケーションをとってもらいたい
という四国水族館様の願いが込められています。
黒電話世代の方には「懐かしー!」と在りし日を思い出していただき、黒電話を見ても「なんじゃこりゃ?」なお子様や若い世代に使い方や当時の思い出を教えてあげてください!ということです。家族みんなで楽しめますね。うーん粋な計らい。

ちなみに、KDLの若いエンジニアに黒電話を使用してもらったところ、ダイヤルを逆に回し、「ガッ・・・これ回らないんですけど、壊れてません!?」とか言い出す始末。壊されなくてよかったです!!(プンスカ
いえ、冗談です。ご協力大変ありがとうございました!

ご来館の黒電話世代の皆様!若者達が壊さないように見に行ってください!笑

勝手に鳴りだす・・・だと・・・?

そして、この黒電話、使用されずに一定時間が経つと勝手に鳴り出します!

こんな仕様を入れた理由は、展示型のチャットボットって、お客様が「何かあるな」と興味を持ってくださっても、実際に話しかけてもらうには若干ハードルがあったりするんです。どうやって使ったらいいか分からないとか、話しかけるのが恥ずかしいとか。そもそも気づかれないことも・・・
そんな時にこちらからアクションをしてあげることで、通行している方に「何事!?」と思わせる作戦なんです。

そちらの様子は、3月12日(木)日本テレビ様の情報エンタテインメント番組「ZIP!」でも放送される予定です。是非見てみてください〜(もう放送終わってるかな?

電話が鳴っているときの呼び出し画面の動画・音声のパターンは、黒電話、ペンギン、アシカ、イルカ、そして四国水族館・松沢館長の5種類あります!

そしてなんと、全ての生き物の鳴き声、館長の声が四国水族館で収録された実際の音声!実は、音声編集している際、イルカの鳴き声が小さく、かつ可聴域ギリギリのハイトーンすぎて少し苦労しました。そんなこだわりの動画・音声を楽しんでくださいね。

とはいえ、使用されずに一定時間放置されると作動する機能なので、この機能が発動しないくらい使っていただければ嬉しいです!笑

電話帳アプリケーション

「AI shAIne」は、黒電話で電話をかけることでそれぞれ得意ジャンルを持ったキャラクターに繋がるというコンセプトなのですが、その電話番号を確認できるのがこの電話帳アプリです。

3人の案内人キャラクター

現在は、それぞれ「生き物」「(館内の)インフォメーション」「雑談・占い」ジャンルを得意とする3人のキャラクター(AI社員)が勤務しております。

頑張り屋な飼育スタッフの四万十 鮫介(しまんと こうすけ)さん

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お嬢様キャラな館内スタッフの瀬戸内 杏菜(せとうち あんな)ちゃん

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なんと土佐弁を喋ってくれる営業スタッフ仁淀 一(によど はじめ)君

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という、四国水族館様が愛情を持って考えてくださった魅力的なキャラクターですので、3人の違いを楽しんでください。

UIへの(地味な)こだわり

いざ話しかけようとしたときに、何を話していいか分からない・・という方のために、各キャラクターのプロフィールやどんなことに応えられるかを確認できるページもご用意しました。画面をスワイプすると表示されますので、そちらも参考に話しかけてみて下さいね。

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そして実は、朝~昼、夕方、夜で画面のデザインが変わります!時間帯を変えて違いを楽しんでみて下さい。

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細かいですねー、誰か気づくかな 笑

対話アプリケーション

電話をかけてみました

待ってました。メイン画面の対話スクリーンです。
まず最初に皆さんがご覧になる待機画面には、四国水族館公式キャラクター・シュモクザメの「しゅこくん」がベベンッと待ってくれています!

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かわE~( *ˊᵕˋ )

そして受話器を持ち上げると・・・

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電話番号入力画面です。ここで先ほどの電話帳アプリで確認した電話番号を入力するんですね~。ここでは「四万十 鮫介さん」を呼び出してみます。ジーコジーコ・・・。四万十さーん。

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来た!四万十さん!!キャー!

高橋:「ペンギンはどこにいるの?」
四万十さん:「ケープペンギンは南アフリカに生息しています。寒いところではなく、温かい所に住んでいます。」

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高橋:「ほえ~、ペンギンはみんな寒い氷の上いるんと違うんや・・・」

というような流れで会話ができます。実際の使用感は、是非現地で楽しんでください!

「あさりとしじみの違いはなんですか?」

オススメの質問は「あさりとしじみの違いはなんですか?」です!

これはなんと3/12放送のZIP!収録の際に、桝太一アナウンサーが入れてくださったスペシャルな回答データになります!どんな返事が返ってくるのか、皆さんぜひ試してくださいね!

AIは成長します

いろいろとご紹介してきました「AI shAIne」ですが、いまは生まれたての赤ちゃんです。まだまだ十分なものとは言えません。

ですが、チャットボット、AIとは育てていくもの!ご来館の皆様と一緒に、3人のキャラクターは育っていきます。ご質問にすべてお答えすることはできないかもしれませんが、貴重な皆様の発話データを元に、四国水族館様と我々で随時データを追加していきますので、優しく話しかけていただけると嬉しいです。次に来館される時には、前回は答えられなかった質問にも答えられるようになってるかもしれません!

四国水族館は4月13日オープン予定です。皆さま、ご来館の際は是非「AI shAIne」をご利用ください~!

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<四国水族館公式サイトより>

終わりに

語りたいことはまだまだありますが、今回はここまでで。次回はなんとマル秘(?!)のシステム構成編について書かせていただく予定です。技術的な内容となりますので恐縮ですが、ご興味ある方はそちらもご覧ください!

今回の様な展示型システムや、その他チャットボットを活用したあらゆるシステムについて、ご興味をお持ちの企業様がいらっしゃいましたら、下記担当者までお気軽にご相談ください。企画から開発・運用まで、KDLが協力させていただきます!ご連絡をお待ちしております。

【お問い合わせ先】

株式会社 神戸デジタル・ラボ
プログレッシブ・デベロップメントチーム 高橋・金谷

主なチャットボット開発・導入実績

■障がい者、高齢者にも配慮したサイネージ型AIチャットボットを開発 「しあわせの村」で、サービスの向上と業務効率化を狙う
https://www.kdl.co.jp/news/2019/03/aichatbot_shiawasenomura.html

■須磨海浜水族園で来園者の質問に音声で答える「マゼランペンギン型解説システム」試験運用 AIで質問に自動回答、ログ活用で展示サービス向上を目指す
https://www.kdl.co.jp/news/2019/05/sumasui_aipengin.html

Special Thanks

せっかくなので、写真撮影時に居合わせた皆様をパシャリ。

四国水族館の皆さま

「AI shAIne」広報担当 片山さん(左)、素敵なキャラクター絵を描いてくれた山本さん(右)

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瀬戸内杏菜ちゃんを使ってもらう

「AI shAIne」主担当・仕様やキャラクター設定など一緒に考えてくれたクラゲ飼育員 長村さん

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仁淀はじめ君に”凶”を宣告されるもウツボが好きなのでオールオッケーな長村さん

ZIP!取材後の面々

企画からお世話になった、水族館関連IT企画のプロ アクアメント 武井様(中央)、バックエンド主担当・シニアフルスタックエンジニア KDL チェン(左)、PM・フロントエンド主担当 KDL 高橋(右)

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