KDL BLOG
超小型無人月面探査車「YAOKI(やおき)」の操縦や探査ミッションの体験、アイデアソンなどが組み込まれた小学生向けの合宿「YAOKIと一緒に月面探査を体験しよう」を、今年も国立淡路青少年交流の家で開催しました!
今年は、昨年の合宿からさらにパワーアップ!2泊3日でさまざまな体験盛りだくさんのプログラムです。今回も、内容や子どもたちの様子をレポートいたします。
チームで協力しあう月面探査ミッション
月面探査ミッションは、YAOKIが月に着陸した状況を想定しての、遠隔操作ミッションです。YAOKIの前面についたカメラの映像を見ながら、薄暗い月面(実際にはテントの中)を操作し、目標物を撮影してもらいます。
探してもらう目標物は、「水」「洞窟」そして「未確認生物」の3種類。今回はただ撮影するだけではなく、探査の質、すなわち撮影画像の美しさ、鮮明さも得点に加えました。
作戦会議で操作の順番や役割を決めた「MOON」と「LUNAR」の両チーム。ついにミッションスタート!
操縦係のほかに全体を俯瞰して指示する係、メモをとる係など手分けし、どの方向に進むか知恵を寄せ合って声を掛け合い、両チーム協力してミッションに挑んでいました。
開始早々、脱出不可能なところに入ってしまう場面もありました。月面を模して会場作りをしたスタッフ側も、滅多にないだろうと思っていた出来事です。相手チームはどんどんミッションを進めているから焦るばかり。
ただ、こういうことが起こるとチームに変化が見られます。操縦者にメンバーが声をかけ、状況を打破するためにみんなが考え始めるのです。「回ってみ!」「後ろ向きに動かしてみて!」と試行錯誤。きっと実際の月面探査においても、このような場面もありうるはず。
やむを得ず何度かスタッフが月面までレスキューに向かう場面もありましたが、リアルな焦りを感じてもらえたことも、よい体験だったのではないでしょうか。
優勝は多くの写真を撮影できた「LUNAR」チームとなりましたが、両チーム、協力していろいろな課題にチームで立ち向かったのは素晴らしかったです。振り返りでは「方向感覚がつかめなかった」「計画通りにいかなかった」といった反省もあれば、「〇〇くんの操縦がうまかった」などチームメイトのファインプレイを称賛するコメントもあり、さまざまなことを感じていただいたようでした。
月面探査基地づくり
さて、全力でミッションを遂行した子どもたちはかなりお疲れの様子。予定していた「砂で月面探査基地を作ろう」は変更して、屋内活動にしようかなと相談していたところ、、子どもたち一同から「えーーー月面作りたい!」という声が。疲れていたのは大人だけだったようです(笑)。
公園の砂場じゃ味わえない、淡路の広大な砂浜での月面探査基地づくり。
淡路青少年交流の家のスタッフの方にリードしていただいて、メインの建物や食べ物の倉庫、クレーターなど、担当を決めて手分けして作りました。まるで月面にいるような気分になって作るのは、楽しいですね。協力して、立派な月面探査基地ができました!
ちなみに、みんなが砂で月面探査基地を作っている間に、KDLの何人かのスタッフは、ミッションの月面を片付けて現状復帰を頑張りました。会場に戻ってきた子どもたち、「月面なくなっちゃった~」ですって。
宇宙食、宇宙シャンプー、ホワイトパズル
二日目の夜は、宇宙食体験。お湯を入れるだけでできるおにぎりや、お菓子、たこやきなど食べてみました。
宇宙食の条件は、軽量で長持ち、調理なし・あるいは簡単な調理で食べられること。無重力で飛んで散らかったりしないこと、衝撃や温度変化に耐えられること、そして、栄養があっておいしいこと。宇宙関連の仕事には、宇宙食の製造という仕事もあるんですね。
カレーもありました。昼作ったのと比べてどうだったかな?
宇宙では貴重な水は、必要最低限を大事に使います。ということで、宇宙式シャンプー(ドライシャンプー)も体験してもらいました。また、宇宙飛行士選抜試験を模した、真っ白いホワイトパズルにもチャレンジしてもらいました。
このパズル、実はものすごく難しいです。絵がないので、とりあえず入りそうなピースをはめてみるしかありません。やり方を考えないと、どれをやってみたかわからなくなります。この時間では完成はしませんでしたが、根気強く取り組む子どもたちの集中力はすごい!
アイデアコンテスト
3日目最終日。
「YAOKIアイデアコンテスト」にチャレンジしてもらいました。これは、YAOKIにどんな機能があれば宇宙で役立つか、どんなガジェットがついていたら便利かを考えてもらうものです。
今回は、それぞれが単にアイデアを書くだけではなく、付箋にどんどんアイデアを書いていき、それを見たり意見をもらったりして、アイデアを膨らませるという手順を入れました。
前日に、YAOKIによる月面探査を体験した子どもたち。「あのときこんな機能があれば・・」ということを思い出しながら、絵を描いてもらえたのではないでしょうか。
どんどんアイデアが出てきた子、「何も思いつかないーー」と頭を悩ませながらもひねり出した子、みんな個性のあるアイデアが出ていました。
「スピードを速くしたり遅くしたりしたい」「YAOKIでパンを作りたい」「月面に固定できる道具をつける」「穴から脱出できるようにしたい」「スパイクをつけて坂を登れるようにする」「四方にカメラをつけて360度見えるようにする」など、私たちでは考えつかない、さまざまなアイデアが出ていました。
そして、自分が考えたアイデアを、みんなの前でプレゼンしてもらいました。堂々とプレゼンする姿も本当に素晴らしかったです。
振り返りと認定証授与
最後に、みんなで今回の合宿の振り返りを行いました。
楽しかったこと、学んだこと、うまくできたことなどを振り返りシートに書いてもらいました。一部をご紹介。
- YAOKIは小さいけどすごいものだとわかった
- ロケットを飛ばすのにたくさんお金がかかることがわかった
- 天体観測でデネブなどの大きい星は望遠鏡で見たらすごくまぶしかった
- 星の色の違いが分かった
- 藍染は難しかったけど、きれいな模様になってよかった
- カレーでは、火がうまくできなくて心配したけどおいしくできてよかった
- YAOKIを動かすのは難しかった
- 月面探査ミッションは暗くて広くて難しかった
- 月面探査基地づくりでクレーターを作った
- 宇宙食は食感が違っていても味はその食べ物だったのでびっくりした
- ホワイトパズルが楽しかった
- みんなアイデアが出てすごいと感じた
振り返ると、たくさんの気づきや感情がありますね。子どもたちのボリューミーな振り返りシートを読み返して、日々の振り返りを大事にせねばと思った大人たちでした。着眼点も面白くて、私たち運営側の学びにもなります。
そして、3日間を通じてYAOKIや宇宙、そしてチーム力を学んだみなさんには、認定証が授与され、合宿は終了。
みなさん、3日間お疲れさまでした。
学びを持って帰ってもらえていたら嬉しいです。
最後に
昨年に続いて2回目、パワーアップしたカリキュラムで開催した今回の合宿。子どもたちのエネルギーに驚き、感心させられ、たくさんの気づきがあった3日間でした。運営側では想定外もありましたが、前回の反省を活かして試行錯誤した準備と施設スタッフの皆様のおかげで、なんとか乗り越えることができました。いろんな苦労も、子どもたちの一生懸命な顔、喜ぶ顔で吹き飛びますね。
今回は、「考えてやってみること」「チームで協力して成し遂げること」「インプットするだけではなく、アウトプットすること」という体験を子どもたちに提供できたのではないかと思います。そして、それ以上に私たち大人が、子どもたちの学ぶ姿勢に学び、固まった頭を刺激されたイベントとなりました。ご協力いただいた国立淡路青少年交流の家の皆様、関係者の皆様、参加してくれた子どもたち、保護者の皆様、本当にありがとうございました。これからも月に行くYAOKIの応援を、よろしくお願いします!
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筆者:松丸恵子
エンゲージメントリード Customer Success