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IoT化はどう進めるのが近道?「製造業のためのIoTことはじめ」セミナーレポート
ソフト産業プラザTEQSで、KDLの取締役村岡が「製造業のためのIoTことはじめ」と題して登壇させていただきました。今回のセミナーの対象は、以下のような方です。
・ 製造業でIoTの導入を検討されている方
・ IoTの活用事例を知りたい方
・ 新規事業を考えておられる方
セミナーでは、IoTとはなにか?からはじめ、事例を中心にIoTの現状や今後のIoTビジネスの進め方などを解説いたしました。
なぜIoTが進まないのか
2021年には市場規模で11兆円といわれ、毎日のように話題になるIoTも、製造の現場ではなかなか進んでいないのが現状です。村岡は、「何をすればいいのか見えないのがIoTが進まない原因」であると明言。流行っているからやるのではなく、ビジネスである以上、費用対効果を出すことを念頭に置くことが大事である、と強調しました。
ビジネスとして利益を生むことができるかどうかを考えるには、どの程度コストがかかるのか、ビジネスにつながる可能性はあるのかを「実際にデータを取得して検証していくことが一番の近道」と村岡。
デジタルツインは何をもたらすのか
スマート工場の実現に欠かせないとされる、最近よく耳にする「デジタルツイン」についても、その概念だけではななく、享受できるメリットを中心に解説しました。
例えばプレス機の油圧が何センチで何回押したか、電圧がどのくらい安定的に稼働しているか、などのすべてのデータをリアルタイムに収集していくと、それらをCGで再現できるようになり、生産手法や時間軸を操作できる仮想工場がデジタル上に作り上げられます。そこでシミュレーションすることで生産計画にフィードバックしたり将来起こるトラブルを解消したりできるということです。
製造業のデジタル変革の現状
製造業で今起こっているデジタル変革の例では、供給した圧縮空気の量に応じて課金されるコンプレッサや、飛行時間に応じて課金されるジェット機のエンジンなどを紹介しました。
このような課金方法になると壊れない製品を作るほうが1製品あたりの粗利が高くなります。これはすなわち、「定期的に買い替えてもらうことで収益になる」ビジネスから、「壊れないものを作るほうが収益になる」という製造業の大きなビジネスモデル変革であるということ。
壊れない頑丈なものを作るのが得意な日本にとって、非常に有利なビジネス変革になる土台がある、という話には非常に大きな衝撃を受けました。
IoT化はコストが大きい?
これからIoTビジネスを検討される製造業の方が一番気になるところは、コスト。「IoT化は高いですよね?」とKDLでもよく聞かれます。村岡は、「最初から大きなコストをかけるよりも、もっと現実的に取り組んで、費用対効果を考えたほうが早いしリスクが少ない」と話しました。
KDLでは、トイレの空室センサーや水質環境のリアルタイムモニタリングなど、コストを最小限にとどめた様々なプロトタイピングを進めてきました。取り組んでみてわかったのは、手元に取得したデータがあると気付きが得られたりいろいろなアイデアが湧いてきたりするということ。会議や調査に時間を使って検討するよりも、取得してみたデータをじっと見つめている方がはるかに多くのビジネスが検討できるしコスト感もイメージできてくるものです。
最後に村岡は「取るに足らないと思われているデータがたくさんある、でも実際に取ってみると気づきがある。IoTは低予算でも始まる。データを取得してみれば、まだみたことがないIoTがたくさん転がっている。それが、IoTビジネスを進める秘訣だと思う。」と締めくくり、セミナーは終了しました。
3時間のセミナーはとにかく事例の具体的な紹介が非常に多く、興味深いものでした。今から何を始めるべきか、のヒントが多くありました。「新しいことやろう」ではなく、現場でものごとの課題に取り組む姿勢が大事であり、それこそがビジネスの基本である、ということを実感したセミナーでした。
ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。
筆者:松丸恵子
広報室