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KDL×SILが淡路島の地方創生を語る 最終回「南あわじの目指すスマート農業」(全六回)

※このブログ記事は、2021年7月から12月にかけて観光産業専門メディア「travel vision」に掲載した記事を再編集したものです。

皆様こんにちは!

本掲載では、KDLが南あわじで取り組んでおります農業のデジタル化や観光業(特に飲食店)の混雑の可視化、南あわじが抱える課題や取り組みについてご紹介します。一次産業や地方創生や街づくり、観光業などに興味のある方はぜひご一読ください。

最終回は、生まれも育ちも兵庫県・淡路島、一般社団法人スマートな島ぐらし推進協議会(以下、SIL)の理事を務める眞野 方仁様に「南あわじの目指すスマート農業」について伺いました。

成長の道筋とは?

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写真:淡路島の玉ねぎ収穫の様子 提供:Silver Next Lens

現状を考えて一番に取り組まないといけないのは、やはり一次産業の担い手不足です。担い手となっていく今の子どもたち世代をどう導いていくのかは大切な問題です。子どもたちが大人になって働きだす頃には、AIやロボット、ドローンを活用した農業は当たり前の社会になっているはずです。なので、今この時期にそういった技術を体験してもらい興味を持ってもらう導きをするのが我々の使命だと感じます。その導き先はいわゆる「スマート農業」です。

たくさんの新しい先端テクノロジーを導入した新しい農業というものを、今の子どもたちにどれだけ知ってもらえるかが大事だと思います。その一つとして、市内の学校と連携してドローンを使ったプログラミング教室を開催しました。お子さんがタブレット端末でプログラミングしたとおりにドローンが飛ぶと、やはり子どもたちは嬉しそうに空を見上げています。その中で直接、「君たちが大きくなるころには、このドローンに農薬を積めるようになる。野菜の農薬散布は自動になる」など、今の時点で見えているスマート農業を体感してもらえるような機会を、様々な場面で展開しているところです。

データ駆動型とは?

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写真:淡路島の玉ねぎ 提供:Silver Next Lens

これまでの農業は自然を相手に、これまでに培った経験と勘所で戦ってきていました。そのため、新しく農業を始める、新たに栽培品種を増やすことは大きなリスクを伴うチャレンジになります。データ駆動型農業は栽培に欠かせない気象、市況、土壌状態、地図などのビッグデータを取得し、記録(作付状況など)や分析(生育状況や収穫予測)を行い、効率的にかつ効果的な農業経営を行うデータを活かした農業です。

自然に対して経験と勘ではなく、経験を蓄積したデータで戦うことで安定した地域農業の実現を目指しています。データ駆動型農業の実現に向けた取り組みもKDLの皆さん、南あわじの農家の皆さんとともに実行しています。

持続可能な淡路島を目指して

淡路島は自然豊かな島なので、ブルーカーボンニュートラルに関する取り組みにも関わっています。ローカルSDGsと申しますか、「持続可能な淡路島」を目指す取り組みです。農業は自然に優しいというイメージがありますが、意外とトラクターや様々な農業機械をたくさん使うのでCO2排出量は多いです。現在、「2050年までにCO2排出量をゼロに」という取り組みがありますが、排出量を減らすために「エネルギーを減らす設備投資をする」「車を電気自動車に変える」などできることはあっても、何かを動かす以上は全くのゼロにはできません。

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写真:淡路島の海 提供:Silver Next Lens

ブルーカーボンは、そうなったときに林業をされている方にオフセット(=埋め合わせ:クレジットの購入・無効化をする取組)することをフォレストカーボンというように、藻やワカメやノリも光合成をしていますので、そちらにオフセットすることをブルーカーボンと呼ぶという考え方です。いわゆる水産業者さんが作るものをクレジットしていきましょう、車に乗って淡路島に来られた方に「ブルーカーボンチケット」を買っていただきオフセットしていきましょうという取り組みです。ブルーカーボンを利用した施策で、環境豊かな淡路島がずっとずっと守られていってほしいという思いから2021年8月からブルーカーボンニュートラルの実現に向けキックオフしています。

将来的には瀬戸内海に浮かぶ淡路島で生まれたブルーカーボンが瀬戸内海を航路とするタンカー、船舶のクレジット化(地産地消)ができる大きな取り組みとして広めていけたらと思っています。

最後に一言お願いします

その地域の心意気のあるとがったメンバーが、重い腰を上げてその地域のためにやろうとする人がいるかいないか。それを支援する行政の仕組みがあるかないか。自分の仕事をしながらそういった活動に取り組むのは大変ですが、一人じゃなければ動かせると思ったことが、SIL立ち上げの理由です。KDLとともに取り組みを進める中で、淡路島の外からみた意見やデジタル化に向けたアドバイスをもらうことで新たなアイデアが生まれています。今後もKDLの力を借りながら、大きく動いていきたいと思います。

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写真:スマート農業 現地確認の様子

これまで六回の連載で南あわじとKDLの取り組みについてご紹介させていただきましたが、お楽しみいただけましたでしょうか?皆様のお仕事や取組みの一助となれば幸いです。これまでのご愛読をありがとうございました!

関連記事はこちら(全六回)

第一回「南あわじの良さと課題」
https://www.kdl.co.jp/blog/2022/01/kdlsil-01.html

第二回「人手不足を解消するハイブリッド農業と農福連携」
https://www.kdl.co.jp/blog/2022/01/kdlsil-02.html

第三回「南あわじの観光と一次産業の融合」
https://www.kdl.co.jp/blog/2022/01/kdlsil-03.html

第四回「KDL×SILの出会いとコラボレーション」
https://www.kdl.co.jp/blog/2022/01/kdlsil-04.html

第五回「FIND NO! 密の効果と課題」
https://www.kdl.co.jp/blog/2022/01/kdlsil-05.html

最終回「南あわじの目指すスマート農業」
https://www.kdl.co.jp/blog/2022/01/kdlsil-06.html