事例紹介

データを元にした事業創出の基盤を構築 データ活用の内製化をサポート

データ分析基盤のダッシュボードのスクリーンショット
株式会社 アシックス
各種スポーツ用品等の製造および販売

AWDPは、企業の健康管理をサポートするヘルスケア事業「「ASICS HEALTH CARE CHECK(アシックスヘルスケアチェック)」で取得している、体力やストレスの測定結果、それと連動して運動習慣の確立を促進するスマホアプリ「ASICS WELLNESS CONSULTANT(アシックスウェルネスコンサルタント)」の利用履歴などのデータを管理・分析ができるものです。同事業の顧客に対する質の高いサービスの提供、および新たなサービスの創出を目的に構築されています。

KDLでは、データを活用した事業の検討段階から参画させていただいており、このデータ基盤の設計と構築および運用の支援を、データのプロフェッショナルチームが担当させていただいています。

ASICS WELLNESS DATA PLATFORM(アシックスウエルネスデータプラットフォーム)イメージ アシックス社プレスリリースより

支援のプロセス

データの価値を見出すには迅速且つ効率的な分析環境が必要

アシックスで取得しているデータは、クライアント企業の従業員の歩行能力、体組成、認知機能、体力、ストレスなどの詳細なデータをはじめ、アプリの利用履歴による行動変容や体力などの項目の変化など、きめ細やかで、且つデータ活用を見据えて設計されたものです。

これらの蓄積されたデータから価値を生み出すには、仮説に基づいてデータを分析・視覚化など、試行錯誤できる環境が必要です。

そこで、データをもとにどのような仮説を検証するのか、そのためにどのような見え方がわかりやすいか、などを共に議論し、ユースケースを元に、データを出し入れする基盤を設計・構築しました。

ディスカッションペーパー

「代走」ではなく「自走」できる支援

AWDPを通じて実現したいことのひとつに、データに基づいたアイデア創出やディスカッションを、アシックス内部でスピーディに行うことがあります。そのためには、KDLを含む外部のベンダーがデータを視覚化し、分析結果を提供するのではなく、アシックス社内でデータを分析し、活用できる状態を作る必要がありました。

そこで、KDLではAWDPのシステムの構築とともに、データの分析や視覚化の方法などをレクチャーし、自走していただくための支援をしています。

AWDPの画面

「データを早く且つ十分に活用していただくには、使う人や使い方の幅が増えていくことが重要です。KDLで分析の代走はもちろんできますが、やりたいことが増えるとそのたびにヒアリングしたりしなくてはならず、時間もコストもかかり、ボトルネックになってしまいます。結果を渡すのではなく、いろんな部門で柔軟に使っていただくまでのプロセスを提供することが、データ活用の支援には重要だと考えています。構築よりも、実際に利用が始まってからのほうが手厚くサポートさせていただいています。」(KDL データインテリジェンスチーム 山口耕平)

データ分析基盤がもたらしたもの

AWDPの構築により、アシックスでは結果分析レポート作成にかかる工数が大幅に減少。従来のエクセルを用いた分析の技術的な問題が解消され、レポート作成を複数人で実施できるようになりました。データが常に可視化されているため、事前に課題を把握したうえで「期間限定イベント」などの施策が可能になりました。

また、データ分析により、これまで営業担当者の感覚で「なんとなく」認識していた現状を「定量化」できるようになりました。たとえば、健全年齢(アシックスが独自に開発した健康評価指数)が実年齢より若い人ほどアプリで紹介するトレーニングを多く実施していることや、「期間限定イベント」前後のトレーニング数が増加する傾向があることなどが数値で分かるようになり、クライアント企業への具体的なKPIによる目標や、目標に対する改善策の提案ができるようになりました。

さらに、企業よりも自治体の方がアプリを継続して活用する傾向がある、など新たな発見も見え始めています。関係者の誰もがAWDPを活用できるようになり、各自が必要なデータをいつでも確認し営業・企画・開発・研究に繋げることができる状態を目指しています。
社内だけに留まらず、外部企業のデータをAWDPに結合することで、更なる高付加価値データをお客様に提供できること、またそれを新しい事業のサービスとして提供できることを目指します。

お客様の声
大野真澄様
株式会社アシックス
事業推進統括部 インキュベーション部

開発して終わりではなく、細かな使い方に関しても、都度丁寧な解説を頂いており大変感謝しております。おかげでメイン担当者の理解が深まるだけでなく、もともとデジタルネイティブではなかった担当者も、少しずつ活用できるようになっています。これまでほんの一部の人しか見ていなかったデータを、多くの担当者が自ら見るようになり、まずはデータを確認・活用しようという流れができています。

これはとても大きなことだと感じています。これまでデータ分析をしたことがなかった人からすると、「データ分析は得意な人がやるもの(弊社であれば研究所メンバーに任せるもの)」だったのが、「ちょっとくらいの分析なら、研究所にお願いするより自分で確認した方が早い」という考えに代わり、スピード感が高まっているように感じます。

今後は、関係者の誰もがAWDPを活用できるようになり、必要なデータをいつでも確認し営業・企画・開発・研究に繋げることができる状態を目指します。また、社内だけに留まらず、外部企業のデータをAWDPに結合することで、更なる高付加価値データをお客様に提供できること、またそれを新しい事業のサービスとして提供できることを目指します。