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MR Dev Days で体感したHoloLens2 〜Mixed Reality UXの破壊と再構築〜(MR Dev Days 1日目)

Microsoft HoloLensに代表されるMR(Mixed Reality)技術の研究・開発に取り組む新事業創造係MR班の堀尾が、5月2日・3日にアメリカのマイクロソフト本社で開催された、MR開発者向けのコミュニティイベント「MR Dev Days」に参加してまいりました。このブログでは、イベントの様子や今年2月に発表された HoloLens2の体験について参加した堀尾よりご紹介いたします。

MR班の堀尾です。

5/2(Thu), 5/3(Fri)の2日間、米・シアトル (@レドモンド) にあるマイクロソフト本社で開催された、MR Dev Daysに参加させていただきました。

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MR Dev Daysとは

米・マイクロソフトが主催するMR開発者向けのコミュニティです。本イベントは、今年2月にスペインで開催された MWC’19 (Mobile World Congress) で発表された HoloLens2 が体験できるということで、世界各国から約400名ものソフトウェアエンジニアの方々がマイクロソフト本社に集結しました!

MR Dev Days DAY一日目

セッション開始は8時半からですが、参加バッジの受け取り開始は7時半でした。発売時期未定のHoloLens2が体験できるという大きな期待から、時差ボケが治らないまま7時半前に会場に向かいました!

が、、、その時点で大勢のMRデベロッパーが会場受付に到着しており、イベントの開始を待ちわびていました。世界共通のHoloLens2 への期待感、情熱のようなモノを感じました!

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無事参加者バッジを受け取り、セッション会場へ。

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建物内の複数会場で同時多発的にさまざまなセッションが繰り広げられました。HoloLens2のハードウェア紹介に始まり、Mixed Reality Toolkit-Unity(※1)(MRTK)v2の構成&プロトタイプの過程、Azure Spatial Anchors(※2), HoloLens2 ハンズオンなどなど、盛りだくさんの内容で、非常に満足度の高いイベントでした。中でも、1番テンションが上がったセッションは、Julia Schwarz (@Julenka) さんの MRTKv2 ハンドジェスチャーセッション(Hand Interactions Crash Course)です 。

※1 Mixed Reality Toolkit-Unit・・HoloLens向けアプリの開発キット
※2 Azure Spatial Anchors・・複合現実アプリ開発ツール

MRTKv2 プロトタイピング (ハンドジェスチャー編)

今回の登壇では、MRTKv2のプロトタイピング過程を説明され、数多くのユーザーテストを経て、MRTKがリリースされているのだなと知ることが出来ました。

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また何より、「ITの巨人」と呼ばれ、時価総額世界第1位のマイクロソフトがこうした内容を公表する姿勢に、「ITの巨人」たる所以を垣間見た気がします。MRでこれまでにない全く新しいUXを生み出し、世界の人々 (特にファーストラインワーカーと呼ばれる、現場の第一線で働く人々) に新たなITの価値を提供する。世界レベルを肌で体感して、非常にワクワクしました。

そして、「自分たちはそんなマイクロソフトで働いているんだ!」という自負がどの登壇者からも伝わってきて、自分の仕事に対する姿勢を振り返る良い機会にもなりました。

HoloLens2 ハンズオン

今回のイベントで最も注目された、HoloLens2の体験!上司に「絶対にシアトルの渡航費以上の価値を出す」と約束し渡米したので、HoloLens2を体験するまでは日本に帰国できない!そんなプレッシャーの中、ハンズオン会場へ!

ハンズオン会場では、円卓が5つ並べられ、世界各国のMRエンジニアによるハンズオンがスタートしました 。

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気になる体感は!?

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デザイン

HoloLens2 は、想像を遥かに超える格好良さでした。公式ドキュメントにも記載されていますが、重量は、566g と HoloLens (gen1) と、約13g程度しか変わりません。持ち上げみると、HoloLens (gen1) 同様、ずっしりとした重さを感じます。

装着時の快適さ

装着した際の第一印象は、「あれ?軽い!」。HoloLens2 発表の際にも「快適性3x」と公表がありましたが、とにかく体感が非常に軽いです。

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視野角(※)、解像度について

ディスプレイは少し赤みがかって見え(※再現される色味にムラがある感じ)、視野角は縦に広がったものの、横は少し広がった?(あまり分からない)という印象を受けました。(※まだ、最終製品版ではないとのことなので、リリースまでに向上することを期待!)

※視野角・・・視界のうちでMRで表されるコンテンツが表示される上下左右の範囲

装着方法

ML1の様に、バンドを引っ張って止める形式ではないですが、HoloLens (gen1) 同様、デバイス後方にあるつまみ部分を回すだけで、簡単に装着することができます!

フリップアップ

フリップアップ機能 (Vysor Flip) は、段階調整ではなく、自分の好きな角度・位置に調整することが可能に。(※開発時も装着したままでもOK!!)

ハンドトラッキング

HoloLens2では、ホログラムに触れるという体験ができます。ハンズオン会場で、MRTKv2の複数サンプルを試してみた感想は、「 HoloLens (gen1) で考えられていたMR (Mixed Reality) のUXが完全に破壊され、また新たなMR (Mixed Reality) のUXを再構築する必要がある」ということです。※精度に関しては、まだ改善の余地ありという感じでした!ただ、ホログラムを、1.掴む (Grab)、2.触れる (Touch)、3.押す(Press) という動作に関しては、想像を超え、MRの未知なる可能性を感じました。

接合部の耐久性に関しても、問題無さそうでした。

アイトラッキング

これに関しては、何の申し分もないくらい精度が高かったです。視野角の問題が完全に解消される訳ではないので、頭を振る必要も多少ありますが、いちいち対象オブジェクトにカーソルを合わせ、エアタップ(AirTap)をする必要が無くなると考えると、最高ですね。

文章を読んだら、自動でスクロールされるというサンプルも動かして試して見ましたが、現実にそのようなシチュエーションがないので、このデモに関しては、動画では非常に驚きながらも、実際触ってみると、自分の思いとは違う挙動をする時(慣れていないので)もあり、若干ストレスを感じました。(※手のタッチでスクロールする方が直感的なので、自然とそちらを選択している自分がいました)

消えたブルーム操作

HoloLens (gen1) で、メニュー画面を開くときに行なっていたブルームが無くなりました。HoloLens2 では、片手の手首を前に出し、手の付け根付近に表示されるWindowsマークをタップすることで、メニュー画面(位置固定)を開くことが出来ます。HoloLens (gen1) では、視線追従でメニューが移動しましたが、HoloLens2 では、上記の操作を行った手首の位置を起点に上側にメニュー画面が表示され、位置は固定されたままです。

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アプリはどうやって閉じる!?

ブルームが無くなった今、アプリはどうやって閉じるのか?これも上記と同じ動作でメニュー画面を開き、メニュー画面(下側)にアプリ起動時のみ表示される、「ホームに戻る」ボタンを押すと、HoloLens (gen1) で、ブルームした際に表示される各アプリのウィンドウが現れます。

MRTKv2のサンプルのピアノを弾いてみた

HoloLens2 では、両手10本の指をリアルタイムで認識できるようになりました。各手に合計25点( 内訳: 親指4点、その他の指5点、手の付け根1点 )のトラッキングポイントを持ち、それらを認識することが出来ますが、MRTKv2のピアノを弾く動作を試してみたところ、人差し指のみ反応しました。(両手同時は可能)

トラッキングポイント
トラッキングポイント
トラッキングポイント
トラッキングポイント

Juliaさんのセッション途中でも説明がありましたが、基本的に人差し指にのみ、コライダーが適応されているみたいです。(※前述の通り、5本指すべてがトラッキングされているので、実装次第では5本の指にコライダーを当てることは、論理上可能。ただ、それがうまく動作するかは要検証です!)

サンプル体験は次の通り。

  • グラブは両手同時可能
  • オブジェクトの操作は、NearとFarで差(配置距離)
  • Nearは、グラブのみ
  • Farは、VR同様ビーム操作
  • ピアノは人差し指でのみ操作可
  • ビームは、手の付け根から出る(スパイダーマンっぽい感覚)

HoloLens2 Development Edtion

発売時期、場所などは未定。以下、発表された内容です。

・$99/user/month
・$500 Azureクレジット付き
・Unity Proライセンス (3ヶ月トライアル)
・Unity Plugin PiXYZ (3ヶ月トライアル)

二日目のレポートに続きます。