KDL BLOG
1月17日~19日に東京ビッグサイトで開催されたウェアラブルEXPOで、日本ウェアラブルデバイスユーザー会のブースに出展してまいりました。
今回の出展では、プレスリリースにもあるとおり、「Microsoft HoloLens」向けインテリアコーディネートアプリを展示してまいりました。今回の目玉は、アプリ内で使用している、株式会社モリサワさんと共同研究中のVR向けのフォント。今回展示に使用したHoloLensのような透過型(シースルー)ディスプレイのデバイスでテキスト情報をどのように扱うかという問題は、アプリ開発者の方であれば一度は悩まれたことがあると思います。
VRコンテンツ開発をしている方に、「フォントって大事ですね。全然違う。」と言っていただいたことも嬉しかったですね。少しでもUXに対する啓発活動になっていれば嬉しく思います。
アプリケーションについては、ブライダルのテーブルコーディネートやバージンロードのデザインを事前に体験する、車の色を変える、など他に活用できそうなアイデアをいただきました。
展示会などで来場者にデモを体験いただき、いただいた意見を一つずつアプリケーションにフィードバックしていくというサイクルをスピード感を持って回していくことにより、KDLにしか開発できない強みを生み出していければと思います。
なぜ仮想空間のフォント研究に取り組んだのか
まず、「なぜフォントに取り組んだの?」という質問を、ブースで何度かいただきましたので、この場で回答したいと思います。 最初のきっかけは、メガネ型ウェアラブルデバイス向けのプレゼンテーションアプリの開発でした。表示領域が狭く、目のすぐそばにあるスクリーンに見えるものを凝視するのは、慣れないうちは難しいものだと気づきました。画面の文字を読む、という単純なことも、VR/AR/MR(以下、「xR」)デバイスのUXには様々な制限がつきまとうため、PCやモバイルとはUX/UIの考え方が全く異なるのです。
<プレゼンテーションアプリのスクリーンショット>
その後も様々なアプリケーションを開発するうちに、ユーザー体験をより高品質にするためにはどのような表現が必要か?を考えていくことが、お客様のビジネスを成功に導くxR活用のカギになると考えました。 ビジネス向けのxR系コンテンツのUXにとって重要なことは何か?その研究の一つが、モリサワさんとKDLが取り組む、xR空間でのフォント表現です。ビジネス向けのコンテンツは、ゲームよりも多くの文字情報をユーザに提供しなければならない傾向があります。刻々と空間のビジュアルが変動し、身体の動きによって空間上の情報の見え方が変化する仮想空間で、ユーザーに如何にして素早く、的確に情報を提示できるか?これを追求するときに、ビジュアルデザインでのアテンションに加えて、見やすい文字の形が重要になると考えています。このフォントがすごい。モリサワさんの明朝体「黎ミン」
フォントは、フォントのプロであるモリサワさんに提案、ご提供いただきました。この中でも反響の大きかった明朝体のフォントについてご紹介します。 モリサワさんからは明朝体のフォントとして「黎ミン」をご提案いただきました。 このフォントの特徴は、フォントのウェイト(太さ)に応じて横線の太さが変化するという点。 通常の明朝体は、例えばフォントの太さを「レギュラー」から「ボールド」に変更しても横線の太さは変わりません。そのため、透過型ディスプレイのデバイスでは横線が細すぎて読みづらく、アプリケーションでは明朝体を利用しないのが定石です。しかし、「黎ミン」なら、存在感ある横線で、透過型ディスプレイでも読みやすさを保つことができます。このフォントの登場によって、アプリケーションの表現の幅が広がったとも言えるでしょう。<モリサワさんの明朝体「黎ミン」>
予想以上の反響!コンテンツ開発者も「フォントって大事」
ブースは、予想以上の反響でした。フォントのリーディングカンパニーであるモリサワさんの発信効果も大きく、乗っかって配信させていただいたニュースを見て来場された方も大勢おられました。