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BLEビーコンタグを使った「見守り」「動態管理」の実験レポート

アシックスさんとともに、「ウォーキング水族園」と題して須磨海浜水族園(以下、スマスイ)でBLEビーコンタグを使った体験型ゲームの実証実験を開催しました。参加者にはBLEタグを所持していただき、園内に設置された複数の検知器が参加者の位置を検知します。検知器の記録から来場者の歩いた距離や時間を割り出し、それらをもとに見学中の運動量を算出する、というものです。KDLはビーコン(Beacon)検知器の開発、ゲームアプリケーションのデザインと開発を担当させていただきました。

実際にスマスイにお邪魔して、広報室の松丸がゲームに参加して参りましたので、レポートいたします!

BLEビーコン「見守り」「動態管理」実験概要

園内に設置された複数のビーコン検知器が、BLEタグを持っているゲーム参加者の位置を検知します。検知記録をクラウドを通じてゲーム画面や分析画面に反映します。来場者の歩いた距離や時間をもとに運動量を算出して表示します。参加者は、運動量やミッションの達成によってノベルティがもらえます。

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この開発に関するエンジニア向けのブログも公開しています。

BLEビーコンゲーム受付

受付で、「ゲームしたいです!」と伝えると、「どちらのゲームにしますか?」とのこと。歩いた距離に応じてノベルティがもらえる「おさかなと一緒」か、指令書に従って歩く「たまてばこをゲットせよ」の2種類です。

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今回は、指令書に従ってたまてばこを探す「たまてばこをゲットせよ」を選びました。指令書が示す場所の謎を解いて、たまてばこにたどり着き、暗号を覚えて帰ってくるというミッションです。

ゲームの説明書と、「これを首にぶら下げてくださいねー」と渡されたのはこちら。BLEタグが入っています。

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指令書に従ってBLEビーコンゲーム開始

平日でしたが、たくさんの園児が遠足で来られていました。子どもたちに混じって、いざゲームに出発。最初の指令はこちら。

walkingsuma_013.jpg海へ通じる門・・・全然わからん。

とりあえず大水槽の前を突っ切って屋外へ出て、海の方向に向かって歩きます。説明書の袋に地図が入ってました。海側の出口は、「みなみでぐち」かな?

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通路を歩きながらキョロキョロ。あ、これですね、ビーコン検知器。こんな感じでいろんな場所に仕込まれている様子。

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ちなみに、高い位置に設置したほうが広い範囲をカバーできるそうです。もともとビーコン(beacon)は「のろし」とか「かがり火」という意味合いだそうな。無線で信号を発信している標識ということですね。

南出口を発見。位置的に海に通じているようなので、指令書の場所はきっとここだ!

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ふたつめの指令書、発見!楽しい!なんだこのワクワク感。「”大きな窓”から大きなサメやエイ、魚がたくさん見える場所」、これはもちろん受付横の大水槽ですよね。

walkingsuma_011.jpgきたばっかりでまた入り口に戻る・・には誘惑が多すぎます。

普通にスマスイを楽しむ

イルカがジャンプして、エサをもらっていました。訓練中かな?釘付けで見ていたら、「水しぶきかかりますので気を付けてくださいねー」と学芸員さんがにこやかに知らせてくれました。しばしイルカに癒されていました。

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ペンギン館にはあの働き者のペンギン夫妻も。遠足のちびっ子たちにめっちゃ囲まれてました笑。がんばれ!

walkingsuma_022.jpg5月の初旬に来園したときに、本物のペンギンに温められていた卵がかえってヒナが生まれていました。パパらしきペンギンが頑なにガードしていて、写真を撮らせてもらえませんでした。ここでも業務を忘れてしばし鑑賞。

walkingsuma_019.jpgピラルクかっこいいですよねー。強そうな生物大好きです。

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たまてばこをゲット!

すっかり楽しんで満足して大水槽に戻ると、さいごの指令書がありました。これは・・・さっきまでがっつり楽しんでいたあの場所・・・。

walkingsuma_007.jpgということで、またペンギン館に戻ったけど、たまてばこが見つからず・・・。カメラ抱えてリュック背負って、心折れそうになりながら探しつづけていると・・ちびっこが群がっている場所が!覗いたら、たまてばこ発見。ちびっこたちのおかげで見つけられました。

walkingsuma_006.jpgということで、暗号を覚えて受付に戻ります。受付横のサイネージには、ゲームの結果が表示されていました。2番が私です。たまてばこゲットの記録がされていました!イルカを見て楽しんでいたのもわかります。

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歩いた距離もとれているということだったので確認。おぉ、3.04km。めっちゃ歩いた。運動量は1.86METsとのこと。

walkingsuma_003.jpgMETs(メッツ)とは運動強度の単位で、安静時を1とした時と比べたエネルギー消費量の強度のことだそうです。アシックスさんが研究している「BLEタグを活用した位置検知および運動量計測技術」によって算出されています。これはどのくらいのがんばりかというと・・・

walkingsuma_023.jpg“すご”がんばりでした。

ビーコンによる動態管理・分析機能

BLTビーコンタグで取得した自分のログを確認してみました。紫色の線が私の歩いた軌跡です。

walkingsuma_008.jpgちゃんと動いた回遊ルートが取れていました。イルカのところに長く滞在してました。設置してある各ビーコン検知器への訪問数マップはこんな感じ。

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なるほど。っていうか、業務中にイルカを眺めて楽しみまくっていたのがバレてしまうじゃないですか!

まとめ

今回の実証実験では、BLEタグを利用した動態管理の可能性やノウハウを得ることを目的としていましたが、BLEタグの検知による動態のデータ取得、可視化に無事成功し、いろいろな気づきが得られました。またBLEタグの場所や可視化の方法はまだまだ工夫次第で分析の可能性が出て参りました。小さなタグを身に着けてもらうだけでデータがとれるのもいいですね。管理画面の回遊ルートがわかりやすい。

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また今回は、ひとつのところに長く滞在しているとタグを落とした可能性がある、長く検知できない場合は施設の外に出てしまった可能性がある、と仮説して迷子検知機能を実装していましたが、それもしっかり機能していました。一方では受信機の設置環境によって受信範囲が左右されてしまい、正しくデータが受信出来ないこともおきるために、現場での細かな調整が必要だと感じました。

そして、ゲームは文句なしに楽しかったです。運動量に応じてノベルティがもらえるということで、もうちょっと歩こうかな、最後にもういっかいイルカ見ようかな、などという気持ちにもなります。

ブラウザアプリケーションだったので、自分の達成度をスマホで確認したり、スマホ上で暗号を入力できる形式や対戦形式のゲームも面白いかもしれませんね。

今回は子ども向けでしたが、大人でも十分楽しめると思いました。

ちなみにこのゲーム開発に関してエンジニア向けの技術ブログを公開しています。

サーバーレス x FLUXアーキテクチャをお手軽に実装できるSignalRの破壊力

ビーコンの位置情報を使った動態管理やエンタメ企画にご興味の方、ぜひぜひお問い合わせお待ちしています。

松丸

筆者:松丸恵子

広報室