KDL BLOG

2019.07.31
KDL社内・社員

社内情報を集約化したフローと、メリット・課題

KDLには、規程集や制度、プロジェクト管理、ドキュメントのひな形から情報システム関連に至るまで、様々な情報が集約された情報集約ポータルサイト「Kiki」があります。2018年の10月にサイトがリリースされてから10か月余り、経営戦略本部中心に行った全社情報集約化プロジェクトについて取材しました。これから全社の情報集約に取り組む企業の皆様のご参考になれば幸いです。

なぜ情報集約ポータルを作ったのか

情報集約ポータル「Kiki」を作る前は、情報が様々なところに点在していました。

例えば、プロジェクト実行ガイドWiki、機器調達やライセンス発行などの情シス関連のWiki、各部署ごとのWikiなどがそれぞれ別の場所にあり、全社の規程や会社概要などはグループウェアのファイル管理に、といった具合です。

  • サイボウズOffice – ファイル管理の情報
  • PMO wiki – プロジェクト実⾏管理標準、セキュリティ事業部
  • Backlog KDLポータル – 情報システム、人事総務部、品質管理、広報室、オフショア関連、安全衛生委員会、KDL-SIRT etc.

情報が点在していると、情報を探す側は、必要な情報がどこにあるか?から探さなくてはならず、時間がかかります。情報を発信する側は、必要な情報をどのように周知するか、どこをメンテナンスすべきかに頭を悩ませます。会社の機密情報も多いため、置き場所のセキュリティにも配慮しなくてはいけません。

情報を集約すれば、必要な情報にアクセスしやすくなり、メンテナンスすべき場所が明確になります。これによって効率化と利便性の向上、およびセキュリティの強化を図りたいというのが目的です。

移行プロジェクト

置き場所の検討

移行プロジェクトでは、まず「どこに情報を集約するか」を検討しました。BacklogやSharePoint、情報集約用の別のサービスなど様々な案が出てきた中から、セキュリティ面やBCPなどを考慮していくつかに絞り、まずは情シスのメンバーで検証をしてみたそうです。

ポイントに置いたのは、通常業務からのアクセスがよく、更新しやすいということ。そして、コスト。

kiki_006.png<セキュリティ面とコスト、ハードルの低さでkintoneを採用>

通常業務からのアクセスがよいというのは、例えばWikiだけ見るために別のログインが必要だったり、リンク先を探す手間がないということです。そして、最新の情報を保つためには、更新のしやすさは見やすさと同じくらい大切です。

エンジニアも管理部門も通常業務中にアクセスしやすく、特別な知識がなくても更新できるもの、と考えていろいろと比較した結果、業務中にログインしているアカウントでそのまま利用できて、全社で使い慣れているkintoneを採用しました。

カスタマイズ

kintoneに決定しましたが、ファイルの埋め込みやリンク、エディタ機能の面ではWikiと比較すると弱く、デメリットもありました。そこで、Wikiとして機能するようにkintoneアプリをカスタマイズしました。

サイドメニューや全体の検索プラグインなどを実装。また、移行前のものをできるだけそのまま使えるように、マークダウンで入力できる環境を整え、コンテンツのマニュアルを作成するなど準備を整えました。

kiki_002.png

<マニュアルも情報集約ポータルの1コンテンツとして整備>

情報の入力

部署ごとに担当者を決めてもらう、タスクフォース方式を採用しました。情報の入力にあたって、最初にコンテンツ作成検証期間を設けました。検証用のアプリを作成し、コンテンツを入力してみて質問や要望に応えたり機能追加する期間です。その後、検証期間に出た要望を踏まえた本番用のアプリを準備し、カテゴリを仮決めして入力に取り掛かりました。

ここでいろいろな壁にぶつかりました。点在していた情報には、想像以上にバラツキがありました。掲載する情報の1ページの粒度など事前の設計が甘く、事前に認識合わせができておらず、様々な問い合わせが個別に入りました。その都度対応し、決定して通達するのは苦心したそうです。カスタマイズしたWikiも、使いこなすには慣れが必要だったり整形方法がバラバラだったので、レクチャーやガイドが追加で必要になったり。

またよくあることですが、現場の案件業務と並行して入力してもらうため、止まってしまうことも多々ありました。忙しいところに声を掛けにいったり、けん引する人にもパワーが必要です。

リリース

プロジェクトの開始から約半年、すったもんだありましたが、ついに情報集約ポータルサイトがオープン!名前も募集して、「Kiki(KDL Wikiの意)」に決定しました。さらなる情報の整備に向けて、GoogleAnalyticsも導入しているそうです。

kiki_005.png

<Kikiのトップ>

それまで使っていた過去の情報Wikiは、1か月間の併用を経て閉じられました。

リリース以降と今後

リリース以降、全社で使ってもらえるようになって、さらに意見や要望が寄せられました。要望に対して、少しずつアップデートを重ねています。さらに、意見を言うだけではなくページ内の目次を表示するプラグインや、メニューを開閉するJSを作ってくれる社員が現れました。

リリース後の主なアップデートは、次のとおり。

  • ページ内の目次機能
  • PDFファイルプレビュー
  • サイドメニューの開閉
  • 通知機能
kiki_007.png

<追加されたページ内目次機能>

このほかにも、全社からいろいろな意見をもらいながら、こまごまとした改善を続けています。

取材後記(広報)

「どこに情報があるかわからない」というストレスがなくなったのは、ものすごく大きな功績だと感じています。集約場所が確定したことで、情報の鮮度も保たれています。検索はまだまだ課題がありますが、串刺しで探せるようになったのは助かっています。今はKikiを頼りに社内のいろいろなことを自分で完結できるようになりました。

レコードごとに変更履歴や更新者が追えたり、各ページにコメントが入れられるというkintoneの良さも発揮しています。セキュリティ面でも、認証やアクセス制限が強固になったことに加え、各種資料がPDFプレビューで見られのでローカルに資料を置かないという面でも向上しています。

「使いやすさ」「編集のしやすさ」については、まだまだ課題はあると感じています。実際に、意見や要望をたくさんもらうそうで、どう要望に応えるか頭を悩ませている様子が、取材中もうかがえました。ただ、全社から意見や要望が出たり、ソースの寄稿があったり、みんなでよいものにしていくという姿勢はすばらしいものですね。

余談ですが、使い勝手にものすごく厳しいのは、人が使うものを普段作っているエンジニア集団だからこそなのではないかと思います。本能的に、「ここは頑張れば技術的にできるはず」「自分が開発者ならこうする」「ここはユーザーにやさしくない」という気持ちを生み出すのでしょう。課題を抽出できる(してしまう)エンジニアの資質を垣間見た気がしました。意見を言うだけではなくて、作ってしまうというところも感激。

プロジェクトメンバーの皆様、ありがとうございました。そしてこれからも、みんなで声を上げて手を動かして、よいものにしていきましょう。

KDLでは、今回のような社内情報管理システムの開発やKintone開発などもお受けしています!社内情報を管理したい、Kintoneでこんなことをしてみたい、などぜひお気軽にお問い合わせください。

筆者:松丸恵子

広報室