2021年2月 2日 13:00

顧客インタビュー:開発パートナーはスピード重視!ビジネスは委託ではなく共創へ

KDLではテクノロジーとアパレルの融合をテーマに商品開発・OEMを手掛ける、株式会社リブレ様とともに、アプリで衣服を暖める電熱布「クロスヒート」の商品開発をさせていただいています。このたび、リブレ様にオンラインインタビューの機会をいただきましたので、アプリ開発の経緯や開発秘話をリブレ様とKDLの開発担当に伺ってみました。

インタビュー先

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インタビュー先企業、
ご担当者
株式会社リブレ 
代表取締役 堀井邦彦様、営業部長 土持 隆生様
所在地 〒460-0007名古屋市中区新栄2-41-3
事業内容 ・クロスヒートブランドの企画. 製造. 販売
・カーボンファイバーを熱源に利用した各種ヒーティングシステムの企画. 製造. 販売
・水冷服、空調服の企画. 製造. 販売
・上記製品のOEM.ODM 生産
・自動車、オートバイ部品の輸出入、OEM.ODM 生産
・各種商品の輸出入、OEM,ODM 生産請負

バイク業界からテクノロジーxアパレル開発の道へ

堀井様

もともとリブレは、大型バイクの一つであるビッグスクーターの業界で起業しました。とはいえ、流行りに左右される業界なので、業界特化のビジネスでは難しいと考えていました。

広く展開できる商品開発を模索していた中、海外の展示会で電熱線に出会いました。可能性を感じて、協力パートナーとカーボンファイバーの電熱線で暖める布の試作品を作り始め、改良を重ねていきました。

リブレ堀井様
リブレ堀井様

あるとき、当時お取引のあったアメリカのバイクメーカーにこの電熱線の布を採用いただいたところ、耐久性を大変評価いただきました。それで、日本でも販売してみようと思いました。しかし、日本では最初はなかなか取り合ってくれるところがありませんでした。

松丸

アメリカでは評価をもらっていたのに、日本では需要がなかったんでしょうか?

堀井様

「服を暖める?そんな必要ある?」というのが当時の反応でしたね。でも、ゼロからここまでやったんだから、という思いで、さらに品質改良を進めていました。

そして12年くらい前に、日本のバイク用品のチェーン店でクロスヒートのジャケットを扱っていただけることになりました。そのときに耐久性が評判になって、ようやくOEMでスタートすることができました。でも、それから3年ほどで類似製品を出す競合が出てきてしまいました(笑)。

その経験は、自分たちの強みや事業としての立ち回り方を考えるいいきっかけになりました。

安心ブランドとしての取り組みと新たな挑戦

堀井様

お金もブランドもなくて、工場は中国という状態でしたので、大きなところに真似をされてしまうと勝ち目がありません。生き残る術を考えました。

エンドユーザーに自社ブランドとして展開していくことと、OEMで提供するのとでは、事業のやり方はかなり違います。OEMでは、品質はもちろんですが、提供した先のお客様が困らないように自分たちが電熱線の知識をしっかり持つことと、安心して売っていただける高品質なものを作ることを重点的に強化しました。

中西

中国の工場で単価を抑えつつ品質を高めることに注力されたということでしたね。

堀井様

そうですね。中国の工場の品質管理にトヨタのかんばん方式を取り入れて、不良率を0.01%程度まで落とすことができました。

中国の工場
中国の工場

しかし電熱線の競合製品がたくさん出てきたとき、品質に加えて私たちが選ばれるために何を重要視すべきか、を改めて考える必要がありました。そこで、電熱線の布とバッテリ、スイッチを1セットとしたモジュールを、お客様の要望に合わせてカスタマイズすることにしました。

電熱布の完成品として売るのではなく、電熱線のモジュールとして「クロスヒート」という素材のような形でブランド展開を考えたわけです。例えるなら、アウトドア素材で有名な「ゴアテックス」のようなイメージですね。

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クロスヒートのモジュール

しばらくして、保護具などを扱う大手メーカーに採用いただいたことで、徐々に信頼をいただくようになりました。今後さらに市場での信頼を上げて、「クロスヒート」という名前だけでいいものだと認識していただける、そんな安心のブランドにしていきたいと考えています。

同時に次のステップとして、スマホとの連動に取り組みを考えました。

スマホアプリを考えたきっかけ

堀井様

スマホアプリにしようと思ったのは、ずばりボタン押すのが面倒だからです(笑)。

例えばバイクに乗っているときに、クロスヒートを搭載したインナーベストとグローブをつけているとしましょう。まずフルフェイスのヘルメットをしていると、インナーベストの胸元のコントローラーが見えません。グローブは、左右にボタンがあるので片手ずつでボタンを操作しなくてはいけません。バイクは手でアクセルやブレーキ操作をするので、万が一走行中に操作されると大変危険です。バイクでは近年、スマホをナビに使っていることが多いので、操作をスマホに集約できるなら便利だと考えました。

松丸

以前当社のブログでも書きましたが、確かに実際にインナーをごそごそしたりせずに遠隔で温度調節できるのはメリットが大きいですね。

堀井様

決定的に需要を感じたのは、消防服用に燃えないベストやグローブを共同開発していたときです。着脱しづらい耐火スーツの下にベストを着ると、物理ボタンを簡単に触れません。他にも、ダイビングのウェットスーツやドライスーツの場合でも使えますし、用途が格段に広がると考えています。

リブレでは、用途に合わせてモジュールをカスタマイズできるのが強みのひとつなので、現場に寄り添って開発していければと考えています。

若手が挑戦できるKDLの風土に魅力を感じた

堀井様

神戸デジタル・ラボさんと出会ったのは2月のウェアラブルEXPOです。中西さんと若い学生(当時インターンでKDLに来られていた学生:現在はKDL社員)がヒートグローブを展示されていました。若手が一生懸命説明されているのを見て、「この会社と仕事がしてみたい」と強く思いました。

これまで海外と仕事をしてきましたが、日本の社会は若者が若いうちにいろいろな可能性を切り拓ける機会が大変少ない、と感じて危機感を感じています。なので、展示会で若手が活躍している風土に、他社にはない可能性を感じました。

そこで、当時中国で開発していたスマホアプリの国内での開発について、相談させていただきました。

中西

最初は単純に今ある中国のアプリを日本語化してくれというご依頼だと思いました。でも話をよくよく聞いてみたら、単なる日本語化ではなく、今後事業を拡大していくうえで、同じ言語で話せる日本企業と組んで、固めたいと。

KDL中西
神戸デジタル・ラボ中西

そのときに、KDLが持つ多様なで開発実績を活かして、いろいろな提案やカスタマイズなど広く協力させていただけるのではと感じました。

また、リブレさんの先見性もクロスヒートという商品自体の品質も、一歩先におられるところにも興味を持ちました。それをさらにアプリで動かすということですから、私たちとしても非常に面白くやりがいを感じました。

今あるアプリを日本語化するというお話を聞いたときはどれだけそれに近づけられるかということを考えたのですが、実はこれから日本企業と協業して市場に出していきたいというお話を聞いたときには、やっぱりワクワクしましたね。

すぐにアップルウォッチが思い浮かびました。あと、僕も昔バイクに乗っていたので、使い方などのユーザー目線はいろいろ考えました。

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神戸デジタル・ラボ岡

これからは「操作性」が大きな価値になる

松丸

ジャケットやベストや靴下、グローブなどサイトで拝見しましたが、他にはどんな用途で開発されていますか?

土持様

OEMで提供したものや趣味で開発したものでいうと、座布団やクッション、おくるみやネックウォーマーなどキリがないですね。

土持様
土持様

あと、例えばカメラのレンズに巻いて使うレンズヒーターは面白いと思います。カメラは、気温が低いとレンズが結露して曇ったりします。また、寒いとバッテリが消耗しやすいのでレンズに巻いて使うような布です。くっつく布を使っているので、どこでもつけることができるのが強みです。

中西

それはすごく便利そうですね。私もIoTの開発では、屋外の現場で夜間に撮影することも多いので、重宝しそうです。

堀井様

ただ、いろいろなものをお客様に向けて作ってきた中で、最近は特に「操作性」を意識するようになりました。

例えばヒーターの材質は業界でもいろいろ言われていますが、エンドユーザーにとっては材質が何だろうが、快適に暖まればよいわけです。だから、モノの品質はもちろん、そのあとには操作性などの体験に商品としての価値が求められると思います。遠隔で暖められる、というのもその操作性のひとつになるので、力を入れていきたいですね。

かつてない反響の展示会は

松丸

展示会は大変反響があったと聞いていますが、どうでしたか?

堀井様

クロスヒートという商品としての反応は過去最大だったと思います。アプリ開発して連動するというのを全面に打ち出したのが目玉になったのは、間違いないですね。

今お話しているお客様の8割が、アプリに興味を示してくださっています。アプリで操作できることによって、展示会ではこれまで以上にお客様から様々なヒントや要望をいただきました。

展示会の様子
展示会の様子

また、今のコロナという背景で厳しいアパレル業界が、何か考えなくてはいけない状況です。その状況下の次のコンテンツとして、暖める布はフックになったと思います。

土持様

コロナの在宅勤務の弊害で光熱費がかさばるため、冬場の在宅に向けた需要があるのではという声もありました。次世代ヒーターとして在宅勤務に欠かせないのではと。あとは、換気対策としても注目されています。換気時のヒートショックを考えると電熱で少しずつ温度差をなくすような取り組みもしています。

中西

展示会初日にブースに立たせて頂いたのですが、朝から終わるまでブースを訪れるお客様が途切れることが無いぐらい盛況でした。

来られるお客様は新規開発商材を探しているお客様が多かったと思います。アプリの展示や素敵なプロモーションビデオを見て、足を止めていただくことも多かったですね。クラウドファンディングサイトのMakuakeで出していたこともあるので、ウインタースポーツや魚釣りなどのアウトドアユーザーの反響もありました。

アウトドアでは、服を着こんだり手が塞がっていたりということもありますから、アプリが重宝すると思います。

お客様に説明すると「こんな用途でもよさそうですね」とその場で盛り上がっていったのが印象的ですね。展示会って、説明を聞いて「検討します」と帰られるような方が多いと思うのですが、今回の展示会では来場者とアイデアを出し合って盛り上がって、長くブースにとどまられる、というケースが多く見られました。この商品の未来が見える展示会だったと感じます。

日本の企業はスピードと柔軟性に課題

松丸

今課題に感じていることはありますか?

堀井様

日本の企業の縦割り社会ですね。やりたいことやよい発想・技術があったとしても、たくさんのハンコが必要で時間がかかりすぎたり、コストがかかりすぎるために先に進めなかったりします。そういうことのうちに中国に先を越されてしまうのではと感じます。ただ、日本人の勤勉さやきめ細やかさは世界のトップレベルなので、そこをお金に換えられるようにしていきたいですね。とにかくスピードが日本の弱点で、資金力がある大企業であればあるほど、何をするにも決済に時間がかかります。

スピード感という意味では、神戸デジタル・ラボさんに相談したとき展示会まで僅かな日数しか残されていなかったのですが、提案から開発までスピード感を持ってアプリを作っていただいたのは本当に驚きでした。アップルウォッチという提案もいただいてすごいスピードで作ってもらえたことに感動しています。

あとは、デジタルな部分でわからないところも含めて、いろいろ相談できたことも助かりました。

土持様

暖める布は他の企業様でも出されていますが、形を変えたりカスタマイズするようなお客様のご要望にできる限りお応えするようにしています。ミニマムが少なくてもオーダーメードできることと、不良実績が低いことは大変評価をいただいていると思います。

なので、加えて、今後はスマホのアプリ側のカスタマイズも、神戸デジタル・ラボさんの機動力でお客様のご要望に合わせて柔軟に対応できればさらなる強みになります。

ありがとうございます。ここがスタートなので、実際にアパレルさんなどに組み込んでいただいたうえで、そのアパレルさんが目指す世界観に向けて、これをベースに今後一緒に作らせていただけたらと考えています。

今後のテクノロジー x アパレルについて

堀井様

今後新しいことをやるうえでは、各分野のプロフェッショナルが集まることが第一歩だと考えています。

例えば、今アパレルに関して圧倒的な知識と先見性をお持ちの企業様とお取引させていただいています。ただ、アパレル業界は取り扱いや安全性などの電熱の知識との関わりはなかったので、知識がありません。

対する僕たちは、アパレルに関してはまったく及びませんが、ただ電気や電熱、クロスヒートという面では12年やってきた知識と経験があるので、負けないヘンタイです。だからこそ、委託という関係ではなく、2つのプロフェッショナルが交わって一緒に作るところに飛び抜けたものができると考えています。

今回はそこにさらにアプリをのせるわけで、その分野のプロフェッショナルである神戸デジタル・ラボさんが入ってくれました。これによって、私たちだけではできなかったことが具体的な形になっていきます。

中西

プロフェッショナル同士の連携は近年DXという面でも重要性が増していますね。KDLではお客様との共創を大切にしていますので、まさに堀井さんのおっしゃるとおり知識やノウハウを出し合いながら新しいことをやっていければと思っています。

松丸

本日は貴重なお話をありがとうございました!

松丸

筆者:松丸恵子

エンゲージメントリード

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