事例紹介

AI技術によるログ解析で異常検知の効率化

株式会社 SCREEN PE ソリューションズ
プリント基板関連機器事業

背景・お客様の課題

株式会社 SCREEN PEソリューションズ様はプリント基板を中心としたエレクトロニクス製品の製造装置の開発・生産・販売を手掛けています。

エレクトロニクス製品の高性能化に伴い、製造装置の加工品質に求められる水準も高まり、品質管理と異常検知は、製品の信頼性と生産効率を維持するために不可欠となります。

SCREEN PEソリューションズ様の製品でも品質管理の観点から、装置から多種多様な情報をログファイルとして出力しています。しかしながら、解析作業は現状人力で行っている部分が多く、ケースによっては数百ファイルのログから1個の品質異常要素を探し出す非効率な作業を余儀なくされています。

この課題解消に向けて、異常検知の効率化を進めるためのPoC検証、およびテストモジュール開発に取り組みました。

ソリューション

今回のフェーズでは、これまで目視確認に頼らざるを得なかったエラーログの特定を、より簡易に見つける手法を確立するために、以下のプロセスに沿いデータ探索とテストモジュール開発を行いました。

検証プロセス

  1. 業務・データ理解
    業務プロセスとデータに関する理解を深め、データの前処理や解析方法を検討する。
  2. 前処理
    製造機器から出力されるログデータを解析しやすい形式に整える。不要なデータを除去し、データの正規化を行う。
  3. EDA(Exploratory Data Analysis/探索的データ分析)
    ログの種類に応じてデータの可視化や探索を行い、新たなアルゴリズムを構築できるヒントがないか観察する。
  4. アルゴリズムの検証提案
    「EDA」にて見つけた特徴の報告および手法の提案をレポートにまとめて提示する。
  5. テストモジュール開発
    4.で得られた精度の高いアルゴリズムを用いてテストモジュールを実装し、業務上での使用をテストする。

検証で得られた効果

本検証の成果として、エラーログの傾向を抽出し、原因を見極めるための気づきを得ることができる検出アルゴリズムを考案することができました。また、テストモジュールについても業務での適用と効果が見込める評価を得ることができました。

次の開発フェーズでは、ユーザースケールの拡大を目的としたUI開発に着手し、より多くの部門での活用を進めていきます。

最終的には、AIで膨大なログデータの解析を実施して、異常が発生した際に迅速かつ正確に該当するログを絞り込み、エンジニアにサジェストするシステムの構築を目指します。

お客様のお声

従来の手動解析では、単一ログファイル毎の解析に限定されていましたが、新たに導入されたシステムにより、複数のログファイル間の関連性を確認することが可能となりました。これにより当社装置のバッチ生産中の品質変動を容易に捉えることが可能となりました。また、これまでは想定していなかったデータ要素の相互作用など新たな発見にも繋がっています。

今後は本ツールを日本開発・2次サポート拠点での解析用途のみならず、各国のフィールドサポートの最前線に立つ技術者にも活用し、顧客へのサービス品質の更なる向上を目標に、アウトプットデータの可読性やUIの向上開発を引き続きお願いしたく考えております。