事例紹介

建設現場の安全文化向上を支援するサービスのプロダクト開発を支援

JGC Digital 株式会社
ITサービスの企画・開発・運用・販売

日揮ホールディングス株式会社(以下、日揮HD)のITサービス事業会社であるJGC Digital株式会社(※KDLと日揮HDの合弁会社 以下、JGCD)は、建設現場の安全文化向上を支援するサービス「アザス」を提供しています。これは、建設現場で働く職人の、日々の行動や習慣を称賛し、また、現場で起こったヒヤリハットを、職人自らがスマホアプリを使って報告していただくことで、安全な現場環境の整備や安全文化の醸成を支援するものです。

KDLは、「アザス」で利用するスマホアプリのUX/UI設計およびデザインのコンセプトづくりと、サービス全体のプロダクト開発を担当させていただきました。

新サービス「アザス」の前身となる実証実験を終え、実用化に向けたサービス開発に取り組んでいました。ユーザーが利用するスマホアプリおよびサービスを提供するためのシステム全体開発を、KDLにご依頼いただきました。

支援のプロセス

リアルとデジタル両輪によるユーザー体験の設計

実証実験により、ターゲットやサービスのコアとなる機能は既にほぼ明確になっていました。

そこで、まずはユーザーがアプリを継続的に利用し、またアプリを通じて行動変容していくプロセスを、「ユーザー中心設計」という手法に基づいて設計していきました。建設現場の環境や雰囲気、実際に使う予定の方々の仕事内容、体制、テンションなどを詳細にヒアリングし、サービスの目的である「安全文化の醸成」に向けて、ユーザーの体験がどうあるべきかを日揮HD様とともに議論しました。

プロジェクトにおける資料の画像

特に、「アザス」においては、現場でのリアルなコミュニケーションが重要な位置づけでした。そのため、声をかける、QRコードを読み込むなど、あえて対面によるやりとりをしていただくための仕組みづくりに重点を置く必要がありました。リアルの良さを損なわず、且つデジタルのメリットを享受できるように様々な視点で案を出し合いました。

「アガる」デザインコンセプトの構築

「アザス」では、現場の職人の好ましい行動を称えて現場監督がポイントを付与する、という仕組みがあります。
ポイントをもらう楽しみの気持ちやテンションを意識して、アプリのデザインをご提案しました。

具体的には、現場の雰囲気やペルソナ(ユーザー像)、安全への想いを汲み取り、JIS規格や安全第一のイメージから作業者は青や緑系で配色。また安全への注意喚起に使される黒と黄色をアクセントに取り入れました。イラストやコメントを取り入れ、ユーザーが楽しみ、そして毎日頑張れる力となれるような「アガる」デザインをコンセプトとして作成しています。

アザスのアプリの画面

また、様々な年代が従事されている建設現場であることも考慮し、スマホを使い慣れない方でも簡単に操作できるユーザービリティと、アプリによる「アプリとユーザーとの対話」を目指して、建設現場の文化に浸透した言葉の選び方を大切にしました。

スクラム開発

開発フェーズにおいては、要件の定義から設計・実装・テストといった一連の工程を、タスクを分散しながら短期間で繰り返すアジャイル開発のひとつの手法であるスクラム開発を採用。定例ミーティングやチャットツールにより、コミュニケーションを密にとりながら、出てきた課題や検討事項をチーム全体で共有し、最適策を議論しながら進めました。

特に、開発メンバーも要件だけではなくサービスの全体像と価値の部分を理解することで、ユーザーの体験の品質を落とさないようなシステム設計を目標にしました。また今後の事業スケールも加味したうえで、可能性・可用性を追求した仕組みを技術目線から提案をしています。

共創によるプロジェクト進行

「アザス」のコンセプトや想いを全員が理解し、同じ目標を共有しながら進めることで、想いの詰まったサービスを実現できました。

現在、そして今後も操作性の向上や利用状況に応じた改善提案など、継続的に運用を支援させていただきます。

お客様の声
倉田 浩二郎様
JGC Digital株式会社

日揮グループ初となるスマホアプリの開発を行いました。

初期は、建設現場の様子を理解いただくため、現場の業務フローやタイムテーブル、どういった職種の方がいて、どういう装備をしているかといったユーザー像の認識のすり合わせを行うことで、向き合う方向を合わせることができました。アジャイル型の開発を取り入れて、都度誰が使うのかを意識する質問を投げかけられたことで、不必要な機能開発を極力減らすことが出来たと考えています。
また、一般向けのUX/UI設計やデザインのコンセプトに関しては、一からデザイナーの方に入ってもらうことで親しみやすいデザインになりました。Google PlayやApp Storeの登録に際してもご支援いただき、無事審査を通り、利用可能になりました。
今後も円滑な運用や追加機能開発など、お付き合い願います。