KDL BLOG

2018.07.26
衛生委員会

緊急事態・・社員と事業をどう守る?対応事例をご紹介

KDLは、社員の安全確保と事業継続のために、有事の際の対応方法・仕組みの整備・改善に取り組んでいます。
今回は、2018年6月18日に発生した大阪北部地震時への対応と特別休暇制度、気づいた課題についてご紹介いたします。企業の災害リスクへの対策としてご参考になれば幸いです。

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KDLでは地震や台風などの災害時には全社的に特別休暇とする制度があります。これは、災害発生時に会社がこの制度を適用した場合、出勤できなかった社員を欠勤扱いとせず、一方で、出勤やテレワーク勤務をした社員に対して休日手当を支給するというものです。2018年6月18日に起こった大阪北部地震の際、この制度の運用について複数メディアで取り上げていただき、多くの反響をいただきました。

地震発生から特別休暇の通達まで

6月18日、朝7時58分ごろ、地震が発生しました。KDLの本社ではフレックスタイム制度を導入しているため、まだ家を出ていない社員も多くいました。当日の朝は、社員に対して次の連絡をいたしました。

  • 8時10分、KDLが導入している安否確認サービスから、社員全員のプライベートな連絡先に安否状況の登録を促すメールを送信
  • 8時13分、「安全重視で各自対応を」という旨の全社メールを管理本部より送信。
  • 11時、交通機関の麻痺のため、特別休暇とする旨を、全社メール、および安否確認サービスのメッセージ機能を使って送信。

11時のメールまでに、既に出社している社員や、当初の予定通り自宅勤務を開始した社員もいました。上長と相談の上、出勤から自宅勤務に変更した社員もいました。

jishin_001.png<当日朝10時ごろの神戸本社の様子。出勤できた社員はわずかだった>

特別休暇が決まるまで

安否確認メールの送信後、しばらくしても安否状況がわからない社員に対して、マネージャー層が中心となって、個別にチャットなどのコミュニケーションツールや緊急連絡網を用いて連絡しました。部署ごとに、安否確認サービスやチャットツールなどでコミュニケーションが取れる環境があるため、みんなで状況を共有するなどしていたようです。

そして、役員が交通状況や社員の状況を踏まえて議論した上で、特別休暇を決定・通達しました。

お客様に向けて

通常の営業日を休暇にするため、お問い合わせへの対応が遅れるなどお客様にご迷惑をおかけする可能性があります。

広報からは、一斉メールが可能なお客様に対して、地震の影響で特別休暇としたこと、業務を遂行する場合は自宅勤務などのため連絡がつきにくい場合がある旨をメールでご連絡いたしました。この連絡をさせていただくまでは、出勤していた社員にて、お客様からの電話対応をさせていただきました。

対応の基盤になったこと

今回このように混乱なく対応できたのは、安否確認サービスの導入が大きな役割を果たしました。安否確認メールの訓練を定期的に行っていた成果でもあると思います。安否確認の目的は、社員の状況を速やかに確認し、企業としての災害に対する対応を迅速かつ的確に判断することにあります。この訓練は衛生委員会主催で実施し、安否確認時の質問事項の改善、プライベートの連絡先確認もあわせて行っています。

また、テレワーク勤務(在宅勤務)制度など働き方改革に向けた制度を進めていたことも功を奏したと感じました。
普段から自宅勤務者と出勤者が連絡を取り合うためにほとんどの社員がチャットなどのコミュニケーションツールなどを普段から利用していたため、部署内での災害時の対応相談、状況確認がスムーズに行われました。
また、VPN接続環境によって自宅でも業務を遂行できる社員も多かったため、通常どおり業務を遂行できた社員も大勢いました。

jishin_002.png<地震当日、関西地域の駅では大勢の方が運行再開を待った>

災害対応の今後の課題

対応はスムーズに見えた一方で、課題もあがりました。

安否確認メールに対する回答が遅い社員もおり、手分けして安否確認を個別にとることとなりました。
災害による負傷などの可能性も考えられるので、回答がない場合は連絡を取り続けることになりますが、安全であることが早期にわかれば負担や混乱が少なく、早い判断を下すことができます。この課題に対しては、一定時間内の回答を推奨することを通達しました。

安否確認メールを送信しても安否状況がわからない社員に対して用いるために緊急連絡網を整備しています。この内容は個人情報であり、どこからも閲覧できる状況はよくないため、セキュリティに配慮された場所で、マネージャー層のみが閲覧できる権限設定にしていました。しかし、マネージャー層にこの緊急連絡網の存在の周知が行き届いていなかったため、配置場所を含め、見直すことにしました。

他にも連絡手段の統一や、部署単位での連絡漏れ、安否確認のための質問項目など、いくつか改善すべき点が見つかりました。これらは早急に対策を議論し、対策を立て直しています。

KDLは、阪神大震災の年に設立されました。震災からの復興とともに成長して参りました。
だからこそ、災害時の対策には気を使い、整備してまいりました。もちろん、主にソフトウェアを扱う業種だからこそ可能である、というものもありますが、もしご参考になるところがあれば、幸いです。

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「KDL災害時の対応」についてNHK NEWS WEB、神戸新聞などでご紹介いただきました

衛生委員会

松丸の写真

筆者:松丸恵子

広報室