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視覚障害を持つ方の日常を豊かに。ハッカソンでバスの乗り降りをサポート

2018年8月26日(日)に神戸で開催された「わたし達の未来をつくる「アイデアソン・ハッカソン」 ~世の中を変える商品開発【視覚障害を持つ方編】~」に新技術活用推進班の金谷とIoT班の堀尾が参加させていただきました。
※このハッカソンは8月18日(土)に開催されたアイデアソンに続いて行われたものです。

主催のNPO法人アイ・コラボレーション神戸様が、「障害を持つ方を支援できる技術が多く出現し、これまでできなかったことができる。『自分のものは自分でつくる』ことが可能な時代で行うアイデアソン・ハッカソンは、障害を持つ方自身に商品開発をしていただき、『障害を持つ方が何もあきらめなくてよい世の中』をつくる」ことを目的に開催されるものです。

テーマの設定

・テーマ1 移動の支援
ナビゲーション、衝突防止、転落防止等を支援する製品やサービスの開発
・テーマ2 認識の支援
光、色、文字、時間、その他の認識を支援する製品やサービスの開発
・テーマ3 その他の支援
AI、AIスピーカー他、新技術によって支援を行う製品やサービスの開発

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という3つのテーマを元に、今回は視覚に障害を持つ方の意見を参考に7チーム、企業や開発者40名以上が参加しました。

アイデアソン・ハッカソン

視覚に障害を持つ方が、各チームに一人ずつ加わってくださり、日常生活において不便に感じる事やアイデア、要望をヒアリングすることからスタートします。それをどのように解決するかのアイデアを出し合い、模造紙で発表してアイデアソンは一旦終了しました。

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そして、ハッカソンまでの1週間で準備をし、当日仕上げを行います。金谷が参加したチームが課題としたものは、以下の2点です。
1、バスの降車時に降車ボタンがどこにあるか分からず押せない
2、複数の路線バスが停車するバス停では、自分が乗りたいバスが来たことがわからない

1は、スマートフォンのGoogleアシスタントを活用し、音声でバスの降車ボタンを押すことができる仕組みを考えました。今回は「MicroBot Push」というインターネット経由で、ボタンを押してくれる製品を、スマートフォンに搭載されているGoogleアシスタント向けのアプリから操作し、バスの降車ボタンを物理的に押すシステムを開発しました。

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2の仕組みは、バス停○○で、スマートフォンのGoogleアシスタントに「▼▼まで行きたい」と話しかけると、乗車予定のバスの運転手席に設置したスマートスピーカーから「バス停○○でサポートを必要とされるお客様がお待ちです」と知らせます。そうした仕組みで、視覚障害をお持ちの方のバスの乗降をサポートするシステムを開発しました。

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何を重要視するのか

金谷が着目したのは、視覚障害を持つ方の多くはスマートフォンを使いこなし、音声案内やニュースの読み上げアプリなどでさまざまな情報を得ているため、スマートフォンの扱いには慣れているという点。さらに、視覚障害を持つ方だけでなく、さまざまな障害を持つ方が公共の交通機関を利用する際に困難だと感じていることが多く、料金は高くなりますがタクシーを使うことが多いという点です。

車いすやベビーカーで乗車できるように、神戸の市バスではノンステップバス(乗降口に階段など段差のないバス)を導入していますが、その場合も降車ボタンを押すことは困難な場合が多いそうです。また、健常者側も何を手伝ったらいいのかが分からずに声を掛けられないという場面があると思いますが、スマートフォンのアプリで降車ボタンを押す方がいれば降車口への案内ができたり、椅子を譲ったりと分かり合えることでできることは増えていくと考えます。困難を減らすためにも、スマートフォンアプリとバスの連動は未来に希望をもたらすのではないでしょうか。

アイデア賞を受賞(金谷より)

結果としてアイデア賞を受賞することができました!

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当事者として課題やアイデアをくださった広島市視覚障害者情報支援センターの皆様、本イベントを主催してくださったNPO法人アイ・コラボレーション神戸の皆様、その他の方々本当にありがとうございました!
課題解決の手段として、持てる技術を使うことの面白さを改めて感じることができました。
今後もこのような機会があればぜひ参加させていただきたいと思います。

授賞者の試作品発表会の様子をレポートしています。

わたし達の未来をつくるアイデアソン ・ハッカソン発表会レポート

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