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宿無しをサポートするキャンピングカーサバイバル出張レポート

「10月28日に金沢マラソンで実証実験するんですけど、取材してくれませんか?」

とIoT班の村岡と中西から広報室に依頼があった8月後半のこと。金沢・・・日本酒おいしいかも・・くらいしか考えず、「いいですよ」と二つ返事で引き受けました。

広報室の松丸です。

準備で前日に前乗りするということで、9月頭にホテルを予約しようとしたのですが、なんと、宿がない。金沢マラソンのランナー向けに宿が提携されていて既に満室だったり、ランナー向けのツアーが組まれていたりで、会場から近いホテルはすべて満室。探しまくったものの、雑魚寝のサウナくらいしか空いていない。

ホテルがなければ、野宿でええやん

やむをえずサウナに予約していたら、、

「雑魚寝?ダメダメ、仕事道具持ってるのにセキュリティ的に問題すぎ!」と会社からNGが。そりゃそうですね。

途方にくれて、かなり遠いホテルとかキャンセル待ちとか深夜バスとかいろいろ検討していたら、

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「野宿でええやん。」
(村岡)。

いやいやまじですか、取締役・・・。

「キャンピングカーとかええんじゃね?移動できるし。」

・・・・

たしかに荷物も置いておけるし、ということでもうヤケクソで探してみました。キャンピングカーのレンタル、関西にいくつかあるもんですね。就寝人数も付属機能もいろいろな種類があって、ATの普通免許があれば運転は可能。場所や営業時間、料金など諸条件で比較して、尼崎にあるカメウチレンタカー様にお借りすることに。電話口で、「出張で?それは型破りですねー(笑)」と言われながら予約完了。だってホテルがないんだよ・・

キャンピングカーで、行くぜ金沢!

マイカーを預けておけるということで、当日は朝から車で借りに参りました。

じゃ~ん!

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中には向きが自在になる座席とテーブル、靴箱、冷蔵庫、テレビ、電子レンジなどがありました。テーブルは取り外し可能で座席はベッドに変形できます。

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<居住スペース。広報のこどもも大はしゃぎ>

運転席の上に広めのリアがひとつ、後部のトランク側に一人用のリアが2つ、居住スペースと合わせて最大6名が就寝可能。テレビのリモコンなどの小物は、動かないようにマジックテープでくっついていました。居住スペースやリアなど場所ごとに照明もついていて、居住スペース専用のヒーターもついています。

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<運転席の上のリアスペース。左下は設置されているテレビ>

kanazawa01_37.png<後ろ2段のリアスペース。リアにはそれぞれカーテンがついている>

貯水タンク型の水回りも設置されています。収納は、車が揺れても大丈夫なようにすべて少し固めの扉がついています。

手続きを済ませ、ひととおり使い方をレンタカーの方に丁寧に説明いただきました。いざ、行ってきまーす!(なんだこのポーズ)

kanazawa01_53.png<ちょっとテンションが上がってきた私>

無事金沢到着

尼崎から名神に乗り、関西を抜けて滋賀県へ。車の高さが3メートル近くあり、なんだかやけに蛇行するなと思ったらかなり風に煽られるそうで、安全運転で向かいました。ちなみに行きは中西が運転して、私とこどもは後ろの座席でだらだらとテレビで料理番組を見てました。

多賀SAで昼ご飯を食べて北陸道に入り、福井県を突っ切って金沢へ。

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<運転席ではしゃぐ中西>

なんだかんだ休憩したりしながら、金沢に到着したのは夕方16時。長距離運転で脱力気味の中西に、

広報 松丸「ロケハン済ませたいんで、マラソンコース回ってもらえます?」
IoT班 中西「はい・・」

まずはゴール地点の競技場へ。競技場の駐車場に入ると、運営スタッフぽい方々が大会の準備をしておられました。

「なんか、ものすごく見られているような気がするんですが」「ですよねえ」。

降りてみて気づきました。キャンピングカー、目立ちますよね(笑)。

kanazawa01_38.pngコースを反対向きに回りながら撮影ポイントや救護所を確認して、スタート地点に着いた頃には真っ暗に。

中西「もう、ひとりで行ってきてください・・(泣)」

ということで、ひとりでスタート地点を探索。案内所や救護所のテントの準備が済んでいて、人もまばらでした。不審にシャッターを切りながら歩いて、巡回の警備員さんじろじろと見られました。職質されるかと思ったよ。

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スタート地点は兼六園に近いしいのき迎賓館付近。兼六園や金沢城址、並木道の紅葉も美しかったです。金沢ってなんて美しいところなんだ・・。軽く観光気分で夜道を歩きながら、メディカルランナーの集合場所、救護所、スタート地点や最後尾車の駐車場所などを確認して車に戻りました。

襲いかかる豪雨と寒さとそして・・

さあ、ロケハンも終わり、プロジェクトでご一緒している企業様が準備してくださった駐車場に駐めました。今夜はここで宿泊です。金沢駅前で晩ごはんを食べて、降り出した雨の中お風呂やさんに行って、車内で明日の段取りを最終打ち合わせ。

なんだこのシュールすぎる車内。

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松丸「メディカルランナーの準備の取材したいですね」
中西「え・・集合6:30ですけど・・」
松丸「じゃあ、5:30起きですね!」
中西「」

ということで、さっさと就寝すべく毛布に潜り込んだものの、金沢の秋はそんなに甘くなかったです。容赦なく寒い。雨もザアザア降りになり、リアが天井に近いので雨音がすごい。足先と肩の冷え具合が尋常じゃない。そしてまずいことに、、トイレに行きたくなってきた・・・

一番近いトイレは駐車場から200メートルほど先のコンビニ。夜中に歩くの怖いし、なんとか気を紛らわして寝てしまおうとするものの、一度気になると眠れませんよね。3:00になって、こりゃ明日の取材に響くぞ・・、とついに猛ダッシュでトイレに。

目が冴えてしまって、ごろごろ寝返りを打ちながらやっとまどろみました。ちなみに気づいたんですが、誰かが寝返りすると車がかなり揺れます。起こしてしまうかも・・と心配になります。そして明け方、携帯のアラームがなる前にあまりの寒さに目が覚めました。

そういえば中西は薄いブランケットくらいしか持ってなかったな・・と思ったら、「さっぶ!!!」と言いながら真っ白な顔で起きてきました。長い一日の始まりです(というか昨日から一度も終わってない)。

ランナーの朝は早い

朝6:30、気温12度、雨。寒い。車内で申し訳程度に顔を洗って、コンビニおにぎり食べて、交通規制になる前にキャンピングカーごとスタート地点まで送ってもらいました。

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<雨の中ランナーがぞくぞく集まるスタート地点>

ひとり歩いていると、なぜか携帯電話がネットにつながらない。そして人が多すぎて、メディカルランナーもご担当いただいているプロジェクトの方も見つかりません。GPSのトラッカーもネットがないとダメですな。インターネットは命です。

これはまずいぞ、と思いながらも、眠れなかった反動でハイテンションで取材していたその頃、中西は駐車場求めて行ったり来たりぐるぐる回っていたそうです。迷子寸前の私は、なんとか車を駐車して戻ってきた中西に無事発見されました。

kanazawa01_49.png<ハイテンションで走り回る広報>

どんどん移動してランナーをおいかける

スタート地点でから、昨日ロケハンした救護所などを取材して回ります。雨が止んだとはいえ、極寒で、無駄に動いたりもも上げしたり。口を開くと「サムイ」と言ってしまうあの感じ。

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<スポーツカメラマンの気分でシャッターチャンスを狙う>

頑張っているランナーを見ていたら、いつの間にか自然に「頑張れー!」と声援を贈っていました。スポーツって応援する側も勇気付けられますよね。

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<サバイバル出張言い出しっぺの村岡(左)と中西(右)も街頭で応援>

そしてゴールへ

最後のひと仕事、ゴール地点の大会運営本部の取材。大勢のスタッフが行き交う本部はほんとうに忙しそうでした。インタビューなんて迷惑に決まってる。真剣なご様子に、申し訳なくてあまりお声はかけられませんでした。ここは次回の反省点です。次はバタバタする前に取材させてもらおう。

ゴール地点ではランナーにつみれ汁が振る舞われ、屋内に出店が並んでいました。KDLの面々もそれぞれ好きなものを食べて一息。金沢美味しいもの多い!

撮影写真に不足がないかを確認して大会の取材は終了。

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<出店が並ぶエリア>

大会が終わると、プロジェクトの方々がで打ち上げ準備をしてくださっていました。お酒・・は我慢して、金沢の美味しいお寿司をいただきながらシステムの動作の状況や気づいた点をお互いに共有し、軽く反省会をして、帰路へ。

自宅に帰るまでが実証実験

さあ、帰りましょう。家に帰るまでが実証実験です。しかしもうクタクタ、交代で安全運転です。私が運転している間、村岡と中西は打ち合わせしている様子。忙しいIoT班・・・。すみません、運転交代後、うしろでガン寝しました。

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関西に到着したのは23時頃。それぞれの自宅を迂回して、最後に帰宅した中西は日付が代わって1泊3日の楽しい旅になったようです。無事で良かったですね・・。

感想

もうなんというか、広報史上、最高にサバイバルな取材でした。何よりも恐ろしい寒さとトイレを我慢したことはトラウマに思い出に残ることでしょう。キャンピングカーで宿泊するなんて今後何度も経験できることではないですから。

キャンピングカーで出張は悪くなかったと思います。でも、仕事なので10倍くらい気が疲れます。主に運転した中西は20倍くらい疲れたと思います。やってみようと思う方は簡易トイレと寝袋を持っていった方がいいです。

とはいえ、今回のような取材の場合は便利な面もかなりありました。宿ごと移動できて大きな荷物を持ち歩くことは無かったし、極寒の取材の中ずっと外にいなくてよかったです。電源難民になることもありませんでした。慣れれば意外と運転しやすく、小回りが効きました。ロケバス車両だと思えばいいですね。

ガシガシ動けるようにランナーぽい格好で行きましたが、これも馴染んでいてランナー気分を味わえて良かった気がする。

kanazawa01_60.pngお疲れ様でした!また行きましょう!

実験の詳細と当日の実証実験レポートはこちら

【2018.11.7追記】

キャンピングカーをお借りしていたカメウチレンタカーの方より、以下のアドバイスをいただきました!これからご利用になる方はぜひご参考に。文化の違いは面白いですね。


寒さについては、秋~冬のご利用ですとFFヒーターというガソリンを少量つかうヒーターをご使用いただくとエンジンOFF状態でもそれなりに温かく過ごせます。毛布か、もしくは抵抗がなければご家庭の掛布団でもよいと思います。

お手洗いについては販売されているキャンピングカーではついている車両もありますが、日本ではし尿タンク(ブラックタンク)の処理設備が整っておらず、またコンビニ等が各地にあるため車載トイレの普及は進んでいないようです。
この辺りがアメリカと違う独自のキャンピングカー進化をしている部分です。

筆者:松丸恵子

広報室