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CES2019 視察レポート
2019年1月8日(火)~1月11日(金)にラスベガスで開催された大規模な展示会、CESに参加してきました。
こんにちは、新事業創造係 新入りの杉本です。
閉会から早くも2週間が経ち、既に本職記者の方々が本格的なレポートを続々と挙げておられますが、本記事では「新米ITエンジニア」視点からの様々な気づきをご紹介したいと思います!
CESとは?
CES(シーイーエス・Consumer Electronics Show)は、毎年1月、ネバダ州ラスベガスにて開催されている大規模な電子機器の展示会です。
世界中のメーカーが集って自社の製品を展示しており、今年は日本からも60社を超える有名企業やスタートアップが出展されていました。名前の通り展示内容としてはモノやデバイスが多く、我々KDLのようなIT企業が得意とする
サービスやシステムはそれらに付随する形でぽつりぽつり…といった具合でした。
展示会場は東西南に3箇所あり、それぞれがバスやモノレールで移動しないといけないほどの位置関係にあります。
<モノレールにはHeyGoogleの文字が>
世界中の企業の展示!でも…?
スタートアップが集まるSandsExpo会場では、アメリカ・中国をはじめ、韓国、フランス、イギリス、イスラエルやギリシャ、エジプト…等々、様々な国の企業が所狭しとひしめき合って出展していました。
<Sans1F、フランスのブースが目立つ>
しかし、意外にも、「こんなものは日本にはない!」という刺激を受けることよりも、「あ、これは日本でも見かける○○(類似製品)と同じだな」という風に気づく機会の方が多くありました。
インターネットが発達して海外の情報を取り入れやすくなり、今や世界の最先端は地図上で表される特定の位置ではなくなってきているのかもしれません。
<そこそこの頻度で見かけるマッサージチェアの展示ブースはどこも人気>
日本の技術力も秀でていて、GDP世界三位であるというところを身をもって実感できました。トイレやユニットバスの展示からは、水に恵まれた日本が世界をリードしているのではないか?という気持ちにさえなりました。
<J-startup参加企業名がプリントされています>
日本のスタートアップが集結しているJETROでは、日本人のライフスタイルにフィットしそうな製品を発見することができました。国ごとの特性や成長段階によって、必要とされるものは異なってくるのかもしれませんね。
<(株)Genicsさんの自動歯磨きロボット>
<(株)PGVさんの脳波測定デバイス>
<(株)スタッフさんのアルコール検出ガジェット>
一方で、話題の「IoT」「AI」「BlockChain」はどこの国でも積極的に取り入れようとしている最先端の技術であることを実感しました。しかし、ここでもはや”取り入れようと”どころではなく、プラットフォームとしてあらゆるシーンに売り出そうとしている企業の存在が浮かび上がります…
恐るべしAmazon、Google
一方で、あらゆるブースで存在感を示していたのが、「Amazon Alexa」や「Google Home」です。
世界中の名立たる有名企業が集まるLVCC会場では、各企業が自社の製品でこれからの人々のライフスタイルをどうデザインしていくか模索している様子が伺えました。そのための付加価値として、よく目にしたのが、スマートスピーカーやAIです。
<皆Googleのフレンズに>
AmazonやGoogleはこれらの技術の最先端にいるのか、はたまたこのブーム自体を操っているのか、どちらにしても恐ろしいです。
AIに関しても、各会社や個人に向けてチューニングしていく必要性・需要はあれど、汎用的なAIや開発プラットフォームは既に握られているというところは自覚しておかないといけませんね。
自動運転ビジネスを制するのはどこか
一般車向け自動運転ビジネスの方向性は、大きく分けて2つあるようです。
(1)安全な運転のため、車外環境を正確にセンシングし、時にはAIで予測するシステムの開発。
(2)”運転”が必要なくなった車内での人の行動のデザイン。
多くの企業で既に開発が進められているのが(1)の方向性でした。各ブースで、車外環境から人や道路、車を検出するデモが展示されていました。(あらゆる分野でそろそろ見慣れてきたデモですね)
車外環境のセンシングには他社のデバイスを使用するところもあれば自社内で開発を進めているところもあるそうで、今後どういった流れが主流になっていくのか興味深いです。
<GPUでおなじみNVIDIAの自動運転車>
車載照明メーカーの小糸製作所さんの取り組みに、信号機と自動車間の通信で曲がり角の危険予測をするというものがありました。自動運転社会でも人やその他車両の存在は無視できませんので、こういったインフラは、センサー設置からデータ取得、集計、活用まで、まだまだ時間をかけて整備していかないといけないところだと思います。
(2)の方向性、車内での行動デザインは、IT分野に限らずまだまだアイデアが出ていないところなので、想像が広がります!
<AISINの展示>
展示会は、購買・見学目的だけに行くところではなかった
今回は”物”の展示会だったこともあり、クラウドと繋げたサービスを今後の展望に掲げつつも、まだできていない・身近に捉えていない企業がわりと多くありました。これまで、あって当然だと思っていたクラウドサービスでしたが、外に出てみるとまだまだ需要は高く、売り出していけるものでした。
同業他社だけでなく、異業種の集まる所に出向いてこそ自社の強み、立ち位置がはっきりと理解できるのではないでしょうか!
そして、気づくだけでなく、積極的にブースの担当者と意見交換をして今後の仕事に繋げていくことができたら、それは視察側にとっても出展側にとってもベストなのだと思いました。
今後も、異業種の展示会に積極的に参加していきたいです。
何はともあれ、行ってみるのもおすすめ
研修や展示会に参加するとなると、事前に理由などを申請する必要があったり、事後報告があったりでハードルを高く感じてしまっている方も多いかと思います。(実際、私もそうでした!)
でも、難しく考える前に、何はともあれ行ってみてもいいと思います。もちろん目標の設定は大切ですが、行ってみると想像もつかなかったところに気づきや課題が見つかることは確実にあると思います。
次なる目標は「出展」!
ブースを回っているうちに、出展サイドがとても羨ましくなってきました。自分のアイデアを人に紹介し、賛同されたり、意見やアイデアをいただいて改良に繋げたり…楽しいですよね。
展示会という手段は、短いディスカッションをたくさん行える点が魅力的です。
そこで、次は出展側に回ろうと、暖めていたサービスの構想を係長かつ取締役かつエンジニアである村岡さんに相談し、アプリ開発をスタートしました!
現在、設計段階の時点で既にビシバシと指導いただいています。
個人的に気になった展示
<ファーウェイ>
色々と話題にはなっているものの、ちゃんとブースがありました。
<LG>
曲がるディスプレイ!街頭広告やクリエイティブ面で活躍しそう。一方で、しまえるTVに関しては「冷静に考えたらTV出しっぱなしの方が便利じゃないか?」と現実的な意見も。
<SamSung>
ブース一帯が街になっている!家でも街でも店舗でも、身近なところにIoT、AIが溢れる未来が来るというコンセプトをうまく表現しているのだと思います。単純にブースがミニチュアの街という発想が面白くてセンスを感じました。
<センシングフォーラム>
様々なセンサーをビジュアル化して展示されていました。
中でも気になったのが土の中の微生物の分解反応を蓄電する回路。これがあれば農場など電源の確保が難しいところでもデータ取得やAI処理が可能になる!?AI事業にセンサーや基盤等、デバイスの知識が不可欠であることに気づきました。
<Intel>
アイトラッキング。これからのUX、UIデザインやマーケティング支援に欠かせない存在になりそうです。
おわりに
実際、行く前は不安要素だらけでしたが、現地に着いてからはずっと楽しかったです!思い切りズームアウトして世界規模で考えたかと思えば、ズームインして自社の事業に戻ってきたり、マクロ・ミクロ視点を交互に切り替えながら短期間で色々なものを自分の中で位置づけていくことができました。
今期からの新しい社訓の一番目に掲げられている「内から外へ」。この意義を多くの人が実際に行動して実感できるようになっていくとよいなと思います。