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フクダ電子兵庫販売様のAED(自動体外式除細動器)講習会

今年もフクダ電子兵庫販売様をお招きして、AED(自動体外式除細動器)の講習会を開催しました。当日の様子や講習内容をご紹介します。

本講習会は毎年衛生委員会の主催で開催しており、受講希望者に対して1時間程度で講義と人形を使った実践練習によってAEDの使用方法を習得します。

KDLでは神戸本社にAEDを設置しています。

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神戸市の「まちかど救急ステーション」にも登録しており、「市民の方が街中で不慮の事故や急病で心肺停止した場合に、その場に居合わせた方が、登録してあるAEDを用いて、一人でも多くの命を救えるようにする」という取り組みに賛同しています。

なお、AED機器は全国で数種類しかなく操作方法も同じであるため、一度マスターすれば、全国に設置されているAED機器を使用することができます。

今回は15名の社員が集まり、講習を受講しました。

突然死の恐ろしさを学ぶ

まず初めに「突然死を自分事に」というタイトルで、トレーニング中に心肺停止状態になり、AEDが間に合わず命を失った元サッカー日本代表の松田直樹さんを例に突然死の恐ろしさ、そしてAEDによる応急処置の重要性を伝えるメッセージビデオを視聴しました。
ビデオの中で心肺停止したが、周りの方の迅速なAEDによる応急処置で命を救われた方のメッセージで、「私の命を救ったのはAEDではなく、勇気ある人達の行動でした。」というメッセージには強く心を打たれました。

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次に、突然死の背景、AEDの意義等についての講義を受けました。心臓突然死の方は、生活習慣の欧米化に伴い年々増加しており、近年では年間約7万人にもなるそうです。交通事故死が年間4千人程度ということから、その数の多さがわかります。

心肺停止状態から、1分応急処置が遅れるごとに10%救命率が低下するそうで、10分間処置が行われないとほとんどの確率で死に至るそうです。また、人間は心肺停止状態に陥ったときに10分程で体内にある酸素を消費していくそうなのですが、これも5分以内に酸素が体内をめぐるようにしないと、脳に酸素がいかず脳死状態となり、仮に生還しても障害や、後遺症が残ってしまう可能性があるそうです。
なので、実際に心肺停止に遭遇した場合は、できるだけすぐに処置を開始することを心がけなければいけません。

AED利用の実践

続いて、人形を使った実践形式の練習を行いました。

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2つのチームに分かれて、まず発見者の役が倒れている人(人形)の肩を叩きながら「大丈夫ですか!?」と声を掛けて意識があるか確認します。脳震盪の恐れがあるため、頭部を叩かないように注意します。

意識がない事が分かったら、「誰が助けてください!」と言って周りの方に集まってもらうよう助けを求めます。
そして、119番に連絡する人、AEDを探しに行く人、医療関係者を探しにいく人などを声をかけて指名し、救助活動を開始します。

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まず鼻に耳を近づけたり、お腹の動きを10秒程度確認し、呼吸があるかを確認します。
この時呼吸をしていれば、応急処置は必要なく救急車の到着を待てばよいのですが、呼吸をしているようでも、嗚咽をあげるような呼吸の場合は、死戦期呼吸といって死に近づいているサインなので、注意が必要なのだそうです。

この場合は、胸骨圧迫の応急処置を行う必要があります。ポイントは、普段と異なる様子であればとにかく応急処置を実行するということです。

胸骨圧迫からAED利用の手順と注意

続いて胸骨圧迫の応急処置です。
胸骨の下半分、胸の真ん中が5cm程度沈むように、腕の力だけでなく体重をのせて、1分間に100~120回の回数でリズムよく圧迫を行います。

aed201902_004.png何度か胸骨圧迫した後に人工呼吸を行うことが一般的に知られていますが、知らない人と直接人工呼吸を行う行為は感染症の恐れがあるため、現在では胸骨圧迫を行うだけで良いと言われています。

胸骨圧迫は、実際にやってみるとわかるのですが、結構な重労働です。一人で行わず、疲れたら周りの人に声を掛けて適度に交代しながら行います。交代の際にも胸骨圧迫の処置を止めないよう、呼吸を合わせて迅速に行います。

AEDが届いたら、AEDを使用した応急処置を行います。AEDは、開けるだけで電源が起動し、音声ガイダンスが開始します。
基本的には、このガイダンスに従って進めれば問題ありません。
途中電気ショックを行うために、電極パッドを体に取り付けます。この時、AED内に付属しているハサミで服を切って胸部が出ている状態にすること、アクセサリー類は外すこと、体毛が濃くてパッドが貼れない場合は肩に貼ること等に気をつけます。

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また電気ショック時に、周りの方が心肺停止者に触れていると感電してしまうため、ガイダンスの音声をよく聞いて、電気ショックボタンを押す際は大きな声で離れるように周りの方に伝えることが重要です。

電気ショック後、ガイダンスが処置の必要がないと説明した場合は、呼吸が正常に再開したか、あるいは心臓が完全に停止してしまったかのどちらかになるそうです。

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心臓が完全に停止してしまったとしても、あきらめずに胸骨圧迫の処置は続けてください。過去に、処置の必要がないと言われた後でも処置を続けて生還できた例もあるそうです。その他にも、実際に発生した心肺停止に関する事例を紹介していただいたり、応急処置の細かい注意点を指導していただきました。

本講習を受講して一人でも多くAEDが使えるようになり、救える命を増やしたいと思いました。

フクダ電子兵庫販売様、本当にありがとうございました。

前回のAED講習会講習の様子はこちら