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大阪大学が3Dデータを公開、フェースシールドを作成し医療・介護現場へ届けてみた

4月7日、KDLが本社を置く兵庫県にも緊急事態宣言が出されました。

それから一週間ですが、感染者数は増加する一方で事態の収束は見えません。そんな中、医療や介護の現場では備品不足が叫ばれ、さらなるストレスを与えているようです。

救世主現る

4月3日(金)に大阪大学大学院医学系研究科の中島清一特任教授と室崎修招聘(しょうへい)教員らが、世界的な眼鏡フレームメーカーのシャルマン(福井県鯖江市)と、新型コロナウイルス感染症対策で低コストのフェースシールドを考案したと発表されました。

こちらは、一般的な透明ファイルをクリップ付きフレームに組み込むものです。フレームは3Dプリンターで作成でき、そのデータを無料公開されています。物資不足が続く世界の医療現場などに提案するもので、テレビやWEBニュースなどでも取り上げられていましたのでご存じの方も多いと思います。

大阪大学大学院医学系研究科
http://www.med.osaka-u.ac.jp/archives/21823

さっそく作ってみた

KDL執行役員で新事業創造係の村岡さんが早速作っていました。ですが、最初は手作りからスタートした模様。

村岡さんコメント:これっていいと思うんだけどおうちに3Dプリンターないから手軽にできないやん。と思ってから「100均でできるんじゃね?」と思ってさっきセリアでクリアファイルとカチューシャ買ってきてやってみたらできた。意外といい。

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そして、こんなバージョンも。

村岡さんコメント:さっきの100均フェイスガードクリアファイルの閉じてるほうを切ったらドクター中松のマスクになった。こっちは鼻息で曇らない。さすがドクター中松

https://finders.me/articles.php?id=1818

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3Dプリンタが身近になくても

医療機関や政府機関ならわかりませんが、そもそも家庭に3Dプリンタのあるおうちは少ないのではないかと思います。だからといってこのアイデアを見過ごすのはもったいない、なら自分で作ってしまおう!という考えが素晴らしいと思い、ブログ化を交渉させていただきました。いつもなら二つ返事でOKをくれる村岡さんから返ってきた返信は「ちょっと待って!まだこの後の展開考えてるから!」でした。

村岡さんの考えはこの後、広報が想像もつかなかった方向へ発展していくのです。

社内の3Dプリンタで作成を開始

実はKDLは社内に3Dプリンタを1台持っています。3Dデータがあるとはいえ、テレワークに切り替わった後の少ない人員で作業を進め、オンライン上で確認を取る作業には時間を要します。試行錯誤を繰り返しながら、納得のいくものへ仕上げました。


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3Dプリンタでどんどんできていくフェースシールド。そして、村岡さんが透明度を求め集めた情報から、クリアファイルではなく、バインダー用のクリアポケットを使用します。クリアポケットをハサミで開き、うつむいたときにガードが当たらないよう後ろ側を丸くカットして装着することで、正面からみてアゴ下あたりまでガードできるとのこと。このあたりの調査結果やノウハウをまとめた利用マニュアルもセットにしてお届けしました。ほんとすごいです。

疲弊する現場へ届けたい

有志メンバーから広報へ「日常生活よりは医療機関などの接触が多い業務でニーズがありそうです。家族が病院勤務の社員さんとかニーズがあるかもしれない。どう思います?」というご相談をいただきました。そこで、社内メンバーへ相談し、医療施設や介護事業所に寄付させていただきました。

事態の長期化を協力して切り抜けていこう

ニュースでは毎日感染者数が伝えられ、一人一人の行動の責任について言及されることが多い状況が続いています。緊急事態だと分かっていても、日々の生活にいっぱいになってしまって、他人のことまで考えられない。報道ばかりが気になって自分で考えて行動する力が湧かない。

そんな状況をITの力で変えていきたい、余裕ができた人たちが現場に協力することでみんなで乗り越えていこう。という村岡さんや有志メンバーの思いが伝わる今回の行動力に、広報も襟を正す思いです。

プレスリリースはこちら
神戸デジタル・ラボ、阪大発表3Dデータでフェースシールド作成、医療・介護現場へ寄付