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デザイン思考、今なぜ必要なのでしょうか?

エンゲージメントリード所属、CX/UX Designerの岩崎です。社内外により良いUXを広げていく活動をしています。
今日は、「デザイン思考がなぜ今必要なのか?」について、考えてみたいと思います。

1. デザイン思考って、一過性のトレンドや、バズワード?

ものづくりに関わる人たちでなくても、ビジネスパーソンの皆さまなら、一度は「デザイン思考」という思考法を耳にしたことがあるのではないでしょうか?日本でも書籍やセミナーで、このキーワードがタイトルに入っているものが増えています。とはいえ、デザイン思考のイメージは実のところ「ふんわり」している・・・なんてことはありませんか?

「これ、デザイナーさんに必要なものですか?」
「ユビキタス(懐かしい)みたいな一過性のバズワードかね?」

今回のブログでは、そんな方のイメージをちょっとでもクリアにしたいです。

デザイン思考は、実は全然最近出てきた思考法ではないんですね。日本でもPanasonic、SONY、HONDAなど世界に名だたる企業が、製品開発のプロセスに取り入れて実践してきた実績ある思考法です。

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では、なぜ最近までこの言葉をあまり耳にしなかったのでしょうか?

2. Only ロジカルシンキングの終焉

それは、これまでビジネスの世界ではロジカルシンキング(論理的思考)を用いた問題解決法が主流だったからです。複雑な問題でもロジカルに考えれば、正しい解を導き出せる。私たちも長らくその方法でお客様の課題を解決してきました。

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しかし、このロジカルシンキングには弱点もあって、「差別化」が苦手なんです。
便利なサービスや製品が少なかった時代には、競合他社の製品と基本的には同じでも、機能に差をつける、少し形を変えるなどすれば買ってもらうことができました。つまり、求められている解は同じでもよかったのですが、コモディティ化(※)している今、私たちは、そこに価値を見出せなくなってきていると思うのです。デザイン思考は、前例や正解がない、全く新しい解決方法を導き出すための思考法です。人々は、全く体験したことのない、新しい価値に触れたがっている。だから、改めて、デザイン思考が必要になってきたのだと思っています。
※「製品やサービスについて、性能・品質・ブランド力などに大差がなくなり、顧客からみて『どの会社の製品やサービスも似たようなもの』に見えるようになった状況を意味するマーケティング用語」(Wikipediaより)

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3. デザイン思考のポイント「まずは作ってみよう!」

デザイン思考は、もともとデザイナーがデザイン制作をするときに使っていた思考パターンを、ビジネス向けにフレームワーク化したものです。
そして、デザイン思考にはざっくり分けて3つのプロセスがあります。

STEP01 まずはひたすら観察する
STEP02 とりあえず作ってみる
STEP03  対話し、手を動かしながら、課題をみんなで解決する

私が個人的に一番大事で、一番ハードルが高いと思っているのはSTEP2です。
というのも、「作る」ということには相応のコストがかかってくるからです。

これまでの企業(経営者)の考え方なら、

「正解かどうか分かりません!でも作ってみます!」

と言われたものに対して、コストをかけることは難しいですよね?

しかし、ここがデザイン思考の最も大事なポイントで、IDEO(米デザインコンサルタント会社 )の提唱している「Build to Think(考えるために作る)」という考え方に基づいています。頭の中に浮かんだ不完全なアイデアをまずは形にしてみる、その形を言語化してみる。そして、それをみんなで眺めながら対話・内省してブラッシュアップを試みる。

「まず形にする」ことの良さは、可視化することで対話が生まれることだと思います。次のSTEP3「課題をみんなで解決」、みんなで同じイメージを持って解決に取り組むことにつながるからです。

4. 共創型の課題解決をしよう

とりあえず可視化したアウトプットがあることで、お客さまも含め、プロジェクトに参加しているすべての人との対話が生まれ、議論することができます。
私は、「とりあえず可視化する」「一緒に議論しながら作る」この大切さを実感してから、制作物について、できるだけお客様のいるその場で、いろんなUIを追加・変更して見てもらうように心がけています。

「ここ赤色だったらどうなるの?」
「このボタンはもっと大きい方が使いやすそうだね」

宿題にして持ち帰るのではなく、その場で編集して実際にお見せすることで、たくさんの意見が出てその場の議論が盛り上がります。一緒に創り上げている感覚になれるのです。デザイナーもそうでない人もみんなで創り上げる感覚を共有できることは、とても素敵なことだと思います。

私たちは、これからも様々な社内外の課題に対して「まずは作ってみよう!」を実践し、イノベーティブな課題解決を生み出していきます。

ぜひ、ご一緒にいかがですか?

執筆:岩崎 紀子

デジタルビジネス本部 Engagement Lead