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すべての事業にカスタマーサクセスを

エンゲージメントリード カスタマーサクセスの松丸です。

「カスタマーサクセス」という職種を日本でよく見かけるようになりましたね。KDLが利用している様々なサービスでも、問い合わせをするとこの肩書の方にご支援いただくことが増えてきたと感じます。

現段階では、カスタマーサクセスをサブスクリプションサービスのための職種という理解をしている方も多いかもしれません。しかし、私はどのような事業にもカスタマーサクセスの考え方有効で、且つDXには不可欠なものだと考えています。

今回は、自分なりの解釈も含めて、カスタマーサクセスとは何かをご紹介します。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスは、名前のとおりお客様を成功に導くのがミッションだと思われがちです。しかし、お客様の成功のためになんでもするような御用聞きではありません。カスタマーサクセスは、目的ではなく手段なのです。

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もともとこの職種は、サブスクリプションを代表とする、いわゆるリテンションモデル(※1)のビジネスのための職種として生まれました。
※1:リテンションモデル・・体験やサービスを継続的に提供するビジネスモデル

例えば、ZoomやマイクロソフトOffice、Amazonプライムなど、多くの方がサブスクリプションのサービスを利用されていると思います。

カスタマーサクセスが生まれた理由

これまでの売り切りモデルでは、プロダクトやサービスの「顧客数×単価」が収益でした。しかし、サブスクリプションの収益は「顧客数×月額や年額の契約単価」です。マーケティングやセールスの活動によって顧客を増やし、アップセルやクロスセルで単価が上がれば、収益が大きくなります。

さらに、もうひとつ大きな指標があります。それは解約率です。解約率は、解約した「ユーザー数/一定期間の総ユーザー数」で求められます。

例えば、毎月ユーザーを10人ずつ新規獲得しても、毎月10人解約していては、収益は増えません。これは、穴の開いたバケツに水を入れているようなものです。

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解約率のインパクト

これは、カスタマーサクセスにおいて有名なグラフです。

2022-06-09_131155.png(グラフ・・・出典:Biz/zine

解約率が25%で推移した場合と3%で推移した場合の差を見てみましょう。25%のときに比べて3%の場合は、売上は5年で2倍、10年で3倍、20年で5倍の差が発生すると言われています。

ちなみに、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持する場合に比べて5倍だと言われる、いわゆる「5対1の法則」があります。このことからも、既存顧客の維持・継続に力を入れる方が収益に結びつきやすいことは明白なのです。

欧米では、カスタマーサクセスを事業の中心に置いた戦略を立てているサービスも多いようです。

カスタマーサクセスの役割と仕事

カスタマーサクセスには様々な役割がありますが、ミッションは、サービスの利用による顧客の成功体験に導き、顧客のLTV(※2)を最大化することです。

※2:LTV(Life Time Value)・・・顧客が契約終了までに得られる利益のこと

カスタマーサクセスの仕事は、例えばこのようなものがあります。

  • お客様やプロダクトの課題の発見、分析
  • プロダクトの有効活用を支援する(例:導入時の打ち合わせなど)
  • プロダクトの利用の定着化を促す仕組みを整える(例:Slackの機能チュートリアル)
  • ユーザーがプロダクト活用の課題をすぐに解決できるようなドキュメント(マニュアルやFAQ)の整備
  • 有効活用のためのセミナーやユーザー会の実施
  • そもそも活用に困らないためのエフォートレスなUXの実現

目的は、主に次の二つだと考えています。

  • 顧客がサービスやプロダクトを活用して、価値を生み出せるように能動的に働きかけること
  • ユーザーが増えても耐えうる仕組みを作ること

すべての事業にカスタマーサクセスを

カスタマーサクセスは、手法という意味ではサブスクリプション向けに確立されつつありますが、概念という意味では、ビジネスにおいて大変自然で、普遍的に目指すべきことだと私は思います。

例えば、小売りであっても、顧客に成功体験を提供して満足いただき、ロイヤルカスタマーとなってもらうことを目的に、さまざまな施策をしています。飲食店でも、「また行こう」と思ってもらえる、そんな空間を提供するために取り組んでいます。これもカスタマーサクセスの考え方と同じではないでしょうか。

そして、KDLの主力事業であるシステム開発においても、システムや技術は手段であり、お客様に成功体験を届けることが重要であると考えています。

KDLのデジタル・コラボレーション

KDLは、技術の進歩に真摯に向き合い、常に最新技術を提供できるよう尽力して参りました。しかし急速にデジタル技術が進歩する今、お客様と私たちベンダーの間には、「どのような技術があるの?」「最新技術で結局何が実現できるの?」という溝があるのではないかと感じることがあります。

お客様に、デジタル技術を活用してDXを推進していただくには、カスタマーサクセスの考え方は大変重要です。KDLが持つデジタルの技術や知見を「プロダクト」だと考えれば、そのプロダクトを活用し、お客様に寄り添って価値を生み出せるように支援することが、私たちの仕事だからです。

デジタル・コラボレーションは、お客様に伴走して価値を生む事業を一緒に作り上げるサービスです。カスタマーサクセスの精神で、お客様とともに共創できればと考えています。お気軽にお問い合わせください。

松丸

筆者:松丸恵子

エンゲージメントリード Customer Success