KDL BLOG

データ駆動型のはじめかた | 連載:今夜からわかるデータドリブン ことはじめ第3回

こんにちは。エンゲージメントリードの中西です。

神戸デジタル・ラボ(KDL)では、お客様のデータを起点にした企画・立案・改善によって新しいビジネスの共創を支援するデジタル・コラボレーション(DC)をご提案しています。前回は「データ駆動型(データドリブン)による意思決定のポイント」と題しましてデータを元にした意思決定におけるポイントについてと、KDLのDCが提供する「データ駆動型事業改善プラン」についてご紹介しました。

これまでは心構えのような話が中心でしたが、今回は具体的に、「どのようにデータ駆動型(データドリブン)を進めるのか」についてご紹介します。

データ駆動型(データドリブン)のはじめかた

22662061.png

突然ですが、このブログを読んでいただいている皆さまは、変化が激しい今の時代において、その変化への適応を求められているのではないでしょうか。

これは現代の多くの企業人にとって共通の課題です。だからこそ、データ駆動型の意思決定の実現に注目が集まっています。
では実際「データ駆動型」は、具体的にどのように進めることができるのでしょうか?

我々の提供するデータ駆動型の導入には、以下のステップをご提案しています。

データ駆動型をはじめるためのステップ

まずデータ駆動型を、「データの収集」「データの可視化」「データ分析」「アクション」の4つのステップに分けて考えてみましょう。
以下ではそれぞれのステップについて解説します。

 データ駆動型ステップ.png

ステップ1:データの収集

データ駆動型を進めるためには、意思決定の元となるデータが無いと始まりません。まずはデータを収集しましょう。

ここでの注意点は、これまでの経験値やカンによる絞り込み(フィルタリング)をせずにデータを集めるということです。意思決定の元となる収集データにおいて、フィルタリングをしてしまうと、結果的に集まったデータは都合の良い、想定内のデータになりがちです。
では、フィルタリングせずにできるだけ多くの種類を揃えればいいかと言うと、それも違います。

様々な種類のデータを手当たり次第に集めてしまうと、量も種類も膨大になります。特にコスト面を考えると、収集する時間と(この後で解説する)分析について、多くのコストが必要となるため現実的ではありません。

データ収集は「どこからどうやって集めるのか」の設計が重要です。よくあるケースとして、設計を進めていくとあれもこれもとつい欲張ってしまうことがあります。結果、収集コストが膨大にかかったにも関わらず、使わないデータを集めてしまっていた・・・なんて事になりかねません。

データ収集をうまく進めるポイントは、収集コストがかかりそうなものは優先順位を決めて収集すること。そして、収集コストの低いデータは、初期フェーズではなるべく多く集めておき、後ほど見直しを行うことです。

データ収集の例

例として、「高齢者の健康を促進するサービス」のケースを考えてみましょう。高齢者の状況を把握するためのデータとして何が必要でしょうか?

位置情報GPS(GNSS)、体温、心拍、血圧、血中酸素濃度、画像、発汗量、歩数、体重の変化、睡眠時間、食事ログなどが考えられますね。しかし「これらのデータをすべて取得する!」なんてことは簡単ではありません。実現が難しいことが容易に想像できます。

「データを取得するために、センサーデバイスなどを身につけて生活してもらう・・・」というのが近道かと思いきや、利用者の立場に立てば実現は難しい話です。なので、一番容易に取得できるデータは何か、目的を達成するためにはどのデータが重要なのかを設計する必要があります。

この例では、取得可能かつ必要なデータは位置情報や歩数などが考えられます。

例えば歩数データのみで考えてみましょう。
歩数を時系列で測定することで、通常時と運動時の活動量を計測できそうですね。受信機が複数あれば簡易な位置情報が計測できます。位置情報が計測できれば見守りにも活用できるでしょう。
取得したデータと外部で公表されている天気や気温・湿度の情報を合わせれば、活動環境との関連を分析することもできるでしょう。歩数データのみでも、健康促進のための活用範囲は思いのほか広い事に気づくことができます。更に詳細な分析を実施したい場合は、もう少しコストをかけて他のデータを収集し、外部データと組み合わせて進めるのが良いでしょう。

このように、データ駆動型ではまずは少量のデータ収集とその分析から始めてみる事をおすすめします。

ステップ2:データの可視化

収集したデータを初めて見た時、そのノイズの多さに愕然とされた方も多いかもしれません。収集したデータが間違っていたのか、意味があるデータが本当に取得できているのかと疑問を抱かれる方も少なくないはずです。データ分析では、必ずと言っていいほど、前準備としてデータの加工やノイズリダクション(一定レベルのノイズを軽減、除去すること)が必要となるものです。

データを加工することで、初めて可視化できるようになります。この手順はExcelなどでも可能です。少量のデータであれば、手動でデータ加工からグラフ作成までができると思います。
しかし、データ量が増えると毎回その様な作業を行うのは非効率です。また時系列データなどはExcelでは扱いづらいことも多いですね。

そこで大量のデータを効率よく扱うために、BIツール(※1)を利用します。

BIツールについては各社さまざまな種類があります。
一例を挙げると、少額から始められて分析に強い「Power BI」 、多機能がウリの 「Tableau」、 マーケターなどの特定分野に人気がある「Google Data Portal」 などがあります。是非導入をご検討ください。

※1 さまざまなデータを分析後に見える化(可視化)し、経営や業務、サービス製作に役立てるためのソフトウェア

ステップ3:データ分析

データをうまく可視化できたら、次は分析です。

時系列にデータを並べてみて可視化、比較することで、定量化できるデータが無いか考えてみましょう。
また、データ可視化の粒度を変えてみることも重要です。俯瞰的なデータの集合体から徐々に解像度を高めることで、見えてくる情報の質が異なることに気が付くでしょう。

データ分析に慣れてきたら、データを多角的に分析することも意識してみてください。関係性が薄いと思われていたデータを掛け合わせることにより、相関性が見えてくることや、詳細に深掘りする必要があるデータが見つかることもあります。

こういったデータの関連性を分析することで、ボトルネックや変化点などを特定し、カイゼン(改善)を図るポイントを導きだすのが、データ分析にとって重要な作業となります。またこの分析には、ステップ2で作業を行ったノイズリダクションの作業が大きく影響してきます。分析にあたりノイズが多いようであればステップ2に戻りましょう。

ステップ4:アクション

データの取得、可視化、データ分析により、ポイントを見つけることができたら、その結果を元にアクションを検討してみましょう。

例えば定量化できたデータを使うのであれば、次のアクションで効果測定ができます。カイゼン施策の短期的効果や季節性による影響なども、データ計測~アクションのステップを繰り返すことで、分析の幅や認識していなかった新たな課題などが見えてくるでしょう。

短期的なステップを継続して繰り返すことで長期的なデータも蓄積され、また新たな視野で分析を行い、次なるアクションを起こすきっかけができるはずです。

アクションの決定は人ありき

22630111.png

データを取得、可視化、分析することで、経験値やカンとは異なる視点で課題が見えてくることがあります。しかし、これに対してアクションの決定を行うのは、あくまでも人です。

せっかくデータ分析しても、データにもとづいた判断ができなければ、データ駆動型とは言えません。
ですが、その判断は一人で勝手に決められない事が大半でしょう。だからこそシリーズで毎回お伝えしてきたように、データ駆動型による意思決定の文化が組織内に浸透していることが重要となります。

データに基づいて意思決定できる文化が根付けば、データ活用の幅は広がることでしょう。手法やツールなどが進化してきたとは言え、最終的な意思決定は人ありきである点を忘れないようにしてください。

データ駆動型事業改善プランについて

皆さんはこんなお悩みはありませんでしょうか?

  • どのようにデータ収集するのかイメージが湧かない
  • 多量の収集データをどこへ蓄積するのか相談したい
  • 社内でもデータ分析を始めてみたい

KDLのデジタル・コラボレーションでは、「データ駆動型を実現する」「新規・既存事業を成長させる」ための全体支援プランを提供しており、お客様の課題解決に一緒に取り組みます。

20220713.png

全体支援プランでは、企画、検証、開発、事業推進の全フェーズにおいて、データを起点とした推進サイクルをまわすことができる、定常的なサービスの改善活動を実行します。

推進中の事業を更に成長させるために、取るべき施策を見極め、戦略・施策・改善の全てのプロセスにおいてデータを収集し、分析結果からロジカルに判断することを徹底しています。そのため事業推進における運用を考慮し、初期フェーズから密にコミュニケーションをとりながら長期的に伴走し支援します。

最後に 

今回はKDLがお客様と一緒に進める際の、データ駆動型のはじめかた、進め方について簡単にご紹介させていただきました。

デジタル・コラボレーションでは様々な手法によりお客様と一緒にビジネスを創り上げる支援をしています。データ駆動型の意思決定はそのひとつです。データ駆動型はその一片にすぎません。

もし少しでもKDLのデジタル・コラボレーションに興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせくださいませ。 
弊社の経験豊富で、お客様のことが大好きなスタッフが対応させていただきます。お問い合わせお待ちしております。 

中西

筆者:中西 波瑠

エンゲージメントリード Evangelist