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新年度が始まって1ヵ月が過ぎ、新入社員研修がひと段落ついた企業も多いのではないでしょうか。
今春、神戸デジタル・ラボの新入社員研修では、AIアプリ開発プラットフォーム「Dify(ディファイ)」を使い、RAG(検索拡張生成)を自ら構築・体験する研修を実施しました。
なぜこの研修を取り入れたのか、どのように進めたのか、研修を経て何が育まれたのかをご紹介します。
研修導入の背景
AIやDXの推進が企業活動に欠かせないものとなった昨今、自分事として捉え、起点となって推進できる人材やマインドをどう育てていくかが多くの企業の共通課題になっています。
この課題に対応するためには、AI開発の仕組みを理解してもらう体験が必要と考え、RAG構築研修を実施することにしました。今回使用したDifyは、AIアプリを構築したことがない人でも、GUIの操作でRAGを直観的に構築できるプラットフォームです。
研修の流れ
研修は、Data Intelligenceチームの社員が講師を務め、ハンズオン形式で約6時間、以下の4ステップに沿って進めました。
- RAGの基礎講座
RAGの仕組みとアーキテクチャ、RAGを使うメリット、活用例など、AIシステムの基礎となる「RAG構築」について解説しました。 - Difyの概要とチャットボット操作演習
Difyの基本的な仕組みやUIの構成、パラメータの調整などについて解説した後、実際にDifyのチャットボットアプリを作成しました。
続いて、作成したアプリを 操作しながらプロンプトテンプレートの構成や変数の使い方を学ぶワークショップを実施。チャットボットに振る舞ってほしい内容(例.関西弁でしゃべって/変数 role=医師など)を設定し、実行するたびに出力がどう変わるかを確認しながら、プロンプトチューニングの重要性を体験してもらいました 。
- RAGアプリの作成
予め準備していたPDF(テキストデータ)をもとに、RAGの検索データベースとなるナレッジを作成。その後、先のステップで作成したチャットボットアプリのコンテキストにナレッジを追加し、実際の回答精度を確認しました。
データの質やチャンクの分割方法が回答結果に与える影響を鑑み、「データ設計」がAI活用のキーポイントとなることを体験してもらいました。 - エージェント機能の体験
最後のステップでは、「エージェント」の概要を解説し、機能を体験してもらいました。
2025年は「AIエージェント元年」ともいわれています。今後ますます活用の幅が広がると見込まれているAIエージェントの機能をDifyでも体験することができます。
LLMを利用したAIエージェントの特長やアーキテクチャを解説後、今回はウェブ検索プラグインを追加し、ウェブ検索ができるエージェントを作成しました。
その後、独自のワークフローを作成し、エージェントと連携。ツール使用やタスクの自動化を模擬体験することで、RAGとは異なる“実行型AI”の可能性にも触れました。
受講者の声
受講者全員から「AI開発に関するハードルが下がった」という感想が聞かれたことが印象的で、研修によって意識が変化したことを感じることができました。 一方で、「精度を上げるための工夫」や「API連携」など、AI活用の現実的な難しさにも触れた様子でした。
受講した新入社員の感想を抜粋してご紹介します。
AIアプリ開発というと、PythonやAIモデルの深い知識が問われると思っていて難しい印象でした。しかし、Difyを使ってみて、思っていたよりも実装に関するハードルが低いことが実感でき、AIアプリの開発が楽しいと思えるようになりました。
Difyは、アイデアを迅速に実装してアウトプットできるのに長けていると感じました。バックエンド処理を実装しましたが、Difyの画面を使うとより効率的に実装できると感じました。
研修を通じて、AIツールの作成方法やWebアプリへの連携の基礎的な部分を習得することができました。開発自体は簡単でしたが、APIの連携部分が難しかったです。
まとめ
Difyを使ったRAG構築研修は、「AI開発って難しそう」「自分にはハードルが高い」という意識を破り、 新入社員が主体的にAIと関わる第一歩となったのではないかと思います。
神戸デジタル・ラボでは、AIのシステム構築や活用支援、AI人材の育成など、お客様のAI導入や活用を支援しています。
「生成AIを業務にどう組み込めばいいかわからない」「生成AIを導入したけど社内の活用が進んでいない」など、AIに関するお困りごとがあればお気軽にお問い合わせください。