事例紹介
株式会社ノーリツ様では、本社(神戸市)にはスタッフ部門、全国各地に営業部門や製造部門、そして国内外にグループ会社の従業員が在籍しています。この体制の中で課題となっていたのは、「情報発信・活用による効率性の向上」と「社内のコミュニケーションの活性化」でした。
この課題を解決するために、ノーリツ様のコーポレートコミュニケーション部では従業員が利用する社内ポータルサイトのリニューアルを企画されました。しかし、コンセプトの作成にあたって本当に必要な社内ポータルサイトの構想の策定をし直す必要性がでてきました。
そこで、理想とする「社内ポータルサイト」のイメージ統一と、本質的なニーズの発見を促すため、「デザイン思考」を用いたワークショップを実施しました。
デザイン思考を取り入れた理由
デザイン思考とは、「人間中心デザイン」と呼ばれるアプローチで、プロダクトを利用する「ユーザー」の体験を中心にして課題やニーズ、解決方法、価値を整理していく問題解決の手法です。
システムの要件を検討するときのプロセスは、本当に解決すべき課題を整理するためにも、また合意形成の場としても大変重要です。今回は様々な部門が使いやすく有用なポータルサイトを考えるため、ユーザーとなる部門の方々に対する理解と共感を得るところを重視し、デザイン思考を採用しました。
ワークショップの流れ
デザイン思考は、次のような流れで進めます。このステップの1~3までを凝縮し、コンセプトづくりに向けた思考の発散と収束をワークショップ形式で進めました。
- Step1 Empathize:共感
- Step2 Define:問題定義
- Step3 Ideate:創造
- Step4 Prototype:プロトタイプ
- Step5 Test:テスト
また、今回は各部門の方々にも横断的にご参加いただき、様々な視点から課題抽出とアイデア出しを行うこととしました。
ペルソナの作成とカスタマージャーニーマップ
まず、社内ポータルサイトを利用する部門ごとに、ペルソナシートを作成していただきました。ペルソナは平均的で一番よくある特徴を持った人物像を想定します。
ペルソナシートを作成したら、次は集まって1回目のワークショップ、カスタマージャーニーマップです。オフライン/オンライン合わせて最大8名程度にご参加いただき、グループに分かれて部門ごとのカスタマージャーニーマップを作成しました。
日々の行動や業務で感じていることを挙げるにつれて、お互いに知らなかった現場の様子や課題が見えてきます。特に、在宅勤務の推進により情報の浸透やコミュニケーション面において社内ポータルの重要性が高まっていることも感じました。
チームごとに作成したものを全体で共有すると、「そんな問い合わせがあるんですか?」「この機能は使われてないですか?」というような声もあり、お互いの業務を改めて確認したり課題意識を統一させることができました。
アイデアを出す
「とにかくたくさんアイデアを出す」というブレインストーミングが、デザイン思考の特徴です。
ワークショップの2回目は、社内ポータルがどうなれば感動するか、というアイデア出しを行いました。今回はコンセプトづくりに向けて主なテーマに絞り、全員で議論しながら意見を出していきました。
自由にアウトプットしていくと、他の参加者がアップデートしたり別の視点のアイデアが出てきたりして、ブラッシュアップされていきます。深掘りしたり例えを出したりしながら、議論は盛り上がりを見せていました。
アイデアを収束させる
アイデアを出しきって発散したあとは、収束させます。3回目のワークショップでは、出てきたアイデアにそれぞれが投票し、絞り込んだものを感動具合と実現可能性でマッピングしました。このようにしてありたい姿や優先度のイメージを共有して絞り込み、収束させていきます。
一連のワークショップを通して出し合った課題やアイデアをもとに、ノーリツ様と協力してリニューアルのコンセプトを作成しました。
デザイン思考ワークショップについて
KDLでは、開発するシステムやプロダクトの価値は、それを取り巻くユーザーの「体験」であると位置づけています。
これまでは、「このような機能が欲しい」というお客様のご要望にお応えし、その機能を備えたシステムを納品するのがシステム開発会社の役割と考えられてきました。しかし、機能がコモディティ化した近年では、機能から考えたプロダクトでは付加価値を出すことが難しく、解決したい課題やニーズを満たしきれなかったり、ビジネスを成長させるインパクトに欠けたものになりがちです。
そこでKDLでは、ご要望に応じて、ビジネスアイデアの創出や課題の整理、今回のようなコンセプトの作成の支援などを目的としたデザイン思考ワークショップを行っています。ビデオ会議システムとオンラインツールを活用した、リモートによる開催も可能です。
世界を凌駕するようなサービスやプロダクトは、デザイン思考から生まれたものが数多くあります。今注目を浴びているデジタルトランスフォーメーション(DX)においても欠かせない手法として推進されています。
システムの発注の前に、まずは一緒にユーザーや社会のニーズを考えるところから一緒にやってみませんか?お気軽にお問い合わせください。
初めはオンラインツールに慣れずに苦労をしましたが、慣れてからはスムーズで、オンラインで参加しているメンバーとも全く問題なくワークすることができたことが発見でした。付箋アイテムをオンラインツールで活用することの有効性が体感できました。
ワークショップでは、ペルソナを設定する事で、自身と違う様々な立場の社員の行動パターンや思考を再認識する事ができました。また各部門のそれぞれの思いを共有する事ができ、有意義な時間になりました。
また、社内だけで議論するのではなく、第三者からの素朴な指摘があることで、当たり前に使用していたツールの問題点も発見できました。
ファシリテートしていただいたおかげで、各部門担当がそれぞれの立場での課題に専念できました。多くのアイデア/意見が出ましたが、最後にまとめ上げてくださり、大変助かりました。
ありがとうございました。