2020年に向けてICT市場の成長は横ばいであるという見通しが発表
(※1)されていますが、その中でもIoT向けのICT市場が急速に拡大し55%を占めるまでに成長すると言われており、世界的に見てもIoT向けのICT市場は急成長を続けています。
※1 http://japan.zdnet.com/article/35087442/ http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20160223Apr.html そんなIoT市場だからこそ、今すぐに新たなIoTにチャレンジし多くトライすることで、市場が成熟するまでに経験や失敗のノウハウを得ることが可能です。市場が成熟してしまえば、ノウハウが無ければ新規参入も難しくなり、小さな失敗が大火傷につながる可能性も高くなる。IoTに取り組むなら間違いなく今でしょう。
IoTに求められる技術要素は大きく分けて以下の4つだと考えています。
1.IoTデバイス(センサ・ハードウェア・ロボット等)
2.クラウド・フォグコンピューティング(アプリケーション・インフラ等)
3.データサイエンス(ビッグデータ分析・機械学習等)
4.セキュリティ(ソフトウェア・ハードウェア)
この4つの要素について、KDL流のIoTへの取り組みは次の通りとなります。
1つ目の「IoTデバイス」ですが、我々はデバイスやセンサーのモックアップを作成して実証実験を行っています。一例ですがトイレの空き状況センサーや、腕時計型雷検知器を作成するなど、日々プロトタイピングを進めています。日常的に、思いついたら脊髄反射的にモノを作ってみて付加価値やマネタイズはその後から考えることにしています。
「IoTは新たなユーザー体験(UX)の創造」と考え、まずは頭の中をアウトプットしてカタチにしてみる。そこから生まれた失敗や気付きこそ今後のIoTには大切な要素だと考えています。
よく「IoTに取り組むならハード(デバイス)も製造するのか?」と質問をいただきますが、その答えは「No!」です。
KDLの主軸業務はSIer。いわゆるソフト屋です。簡単に大手メーカーのように、新しいハードを作り出すことはできません。だからこそハードメーカーと協業した取り組みを進めていく事が大切だと考え、お互いの分野を生かした協調路線こそがIoTには求められると考えています。
2つ目の「クラウド・フォグコンピューティング」ですが、クラウドはKDLの得意とするところです。これまで大規模ECサイトの構築・運用やウェアラブルデバイスのアプリケーション開発等の実績を生かし、環境構築やセンサーからのデータの収集、アプリケーション開発のノウハウを既に持っている事が強みだと考えています。
フォグコンピューティングについても取り組みを進めています。膨大なトラフィックをフォグで処理する事で、データ処理を軽減。併せてトラフィック量を削減することで転送料のコスト削減も同時に図ることが可能になるため、IoTでは必須要素であると認識しています。
3つ目の「データサイエンス」ですが、KDLでは2010年よりこの分野における取り組みを進めてきた経験と実績があります。また少々変わり種としては、京大、電通大と共同で研究を進めていた「人の行動履歴」という様々な形式のデータを周囲のモノとの「関係性」という視点から定量化し、未来の関係性を予測する技術「関係性エンジン」サービスを展開しています。センシングにより収集したデータをマイニングし価値を付加することで、「売れる」データを産み出します。
4つ目の「セキュリティ」においては、既にソフトウェア分野のセキュリティに関してKDLはサービスを展開しています。また兵庫県警察や兵庫県立大学と共同で情報セキュリティ人材育成に向けた産官学の取り組みも進めています。
加えて、IoTはハードウェア分野のセキュリティ技術が求められるのですが、世界の工場と言われる台湾のIoT機器セキュリティ診断企業Onward Security社と協業し、日本におけるIoTセキュリティ診断サービスを立ち上げることでセキュリティにおけるソフト・ハードの網羅が可能となりました。
IoTに取り組むのは大きなチャンスです。ハードメーカーから見た現在のIoT技術は、10年前から存在した枯れた技術の焼き増しとよく聞きますが、その安定した技術が培われてきたからこそ、一昔前までは未来の話だった「ハンドルが無い車」など、実現まで「もう一歩」のところまで近づいているモノも増えています。
新たなIoT市場を渡り歩くためには、さまざまな角度からノウハウを蓄積し生かす事が求められます。
多くのモノやサービスを産み出し、実際にチャレンジして失敗を重ねる。多くの経験を積みあげるには時間も必要でしょうがIoT分野は広く、全てを網羅することは簡単ではありません。これまでに培った得意分野を生かしつつ、足りない部分は補う。裏を返せば、それぞれの特色を生かしたIoTへの取り組みは可能であり、足りない部分はそれぞれ、ハード、クラウド、データ、セキュリティの各分野のスペシャリストと協業すべきです。でなければ世界から遅れをとっている日本はこのまま取り残されるかもしれません。
我々に何が足りていないかを知るためには、IoTに取り組み身をもって体験する事が重要です。今こそ日本全体で取り組みを進め、IoTの先に見える未来のカタチを創っていきたいと考えています。
本コラムは今回が最終回です。
このコラムによりIoTに何らかの興味を持っていただくことが、市場の盛り上がりの一助となれば幸いです。
これまでのご愛読、ありがとうございました。