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ブリッジSEのコミュニケーションノウハウ【2】(手段とツール編)
KDLのブリッジSEの瀬戸さんにインタビューしながら、ブリッジSEのコミュニケーションノウハウについて連載しています。
前回はブリッジSEに必要なコミュニケーションの管理について解説しました。今回は、コミュニケーションの手段とツールについてご紹介します。
コミュニケーションの手段
コミュニケーションを取りやすくするために、事前に両者が同じように認識を持てるようにルールを作っているそうです。例えば、打ち合わせ時は必ず画面を共有する、打ち合わせ後には必ずタスクを分解してタスク管理ツールに登録する、日次、週次などで報告し、定例会議を開催して進捗を確認する、などを事前にルール付けてプロジェクトを進めます。
このルールを遂行する上で、コミュニケーションの手段が必要になります。
打ち合わせ時
日本からオフショアへの依頼事項を受けたらそのままオフショアに伝える、というわけにはいきません。オフショアに合わせて、例えばボタンの追加の指示ならイメージを作ったり、注意点を事前に洗い出して資料化したりするそうです。
依頼事項の発生から依頼までタイムラグが発生しないように事前準備をすばやく終えてから、SkypeやSlackなどカメラと画面共有ツールを使ってオフショアと打ち合わせします。言葉で話すだけではなく、画面を共有して確認することで、認識のズレを防ぐことができます。オフショアが打ち合わせ内容を正確に理解したかどうか確認するために、最後にオフショア側に逆に説明し直してもらい理解度をチェックすることも多いそうです。
テレビ会議システムに画面共有機能が台頭してきたのは2010年ごろから。それまでは認識を合わせるのが大変だったとのこと。
タスク管理
オフショア側にアサインする作業を管理する際には、RedmineやBacklogなどのタスク管理ツールを利用します。
依頼をベトナム語に翻訳して担当をアサインするそうです。チケットを登録するときに、以下を明確に登録することで確実に伝えることができ、ぐっとコミュニケーションが取りやすくなるそうです。
- チケットのカテゴリ
例:タスク、バグ、仕様変更 etc. - 優先度
- 期限
- 担当者
また、チケットには以下を詳細に記します。
- 依頼内容
- 対象の一覧
例えば、以下のような感じです。
登録・編集画面ですが、会員ランクの選択肢のリストに「設定なし」を追加してください。
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「画面で問題点だけを伝えると、そこだけ直して完了としてしまう傾向があるので、対応すべき対象を一覧にするんですよ」と瀬戸さん。また、データベースに関する依頼の場合、対象の項目名はテーブル名、カラム名に変えて正確に記載するそうです。例えば、「請求番号」のテーブルを日本語で指示をすると、オフショアでは日本語を翻訳して対応にあたります。この翻訳が正しいテーブル名に結びつかず、ミスとなることがあります。
「対象一覧を洗い出したり、テーブル名やカラム名を変換したりして修正の依頼を出すのは、結構手間ですよね?」と聞いてみたところ、この一工夫でずいぶんと依頼の抜け漏れが減って品質が向上し、結果的にはコミュニケーションコストが下がるのだとか。「コミュニケーションによる対応・報告漏れはブリッジSEの責任」とのこと。
日報、週報・定例会
ベトナムでは、日本に比べて報・連・相の認識が薄いため、ブリッジSEが積極的にオフショアにはたらきかけて進捗を把握する必要があります。問題が起きていることに気づくのが遅れるということを防ぐために、オフショア側の進捗を定期的に報告してもらうことが好ましく、メール、Skype、Slackなどを使用して、報告するルールを作っています。
日報
オフショアメンバーからは、毎日進捗と作業をメールで連絡してもらいます。報告のフォーマットは事前に決めておくほうが、まとめて確認もしやすく漏れを防ぐことができます。
To: 日本側の全員(PM,担当者)、ブリッジSE、オフショア側の担当者
件名:日報=YYYYMMDD
内容:
・ 本日の作業内容
・ 問題点や日本側への確認事項など
・ 次営業日の作業
週報・定例会
週報や定例会も必要に応じて行います。 参加者は基本的に日本側の担当者とブリッジSEのみで報告・開催します。特に週次で定例会議をする場合、1週間に発生した問題点や今後の課題の確認と連絡事項を共有します。報告すべき内容は、事前に項目立てておくことが望ましいです。
特に定例会では、全体のプロジェクトの情報が 漏れないように、以下の内容を報告します。
- 対応済の作業
⇒会議内で日本側に確認を依頼する - 確認したい課題 ※事前に一覧を洗い出す
- 現在の作業の優先度を確認
- オフショアメンバーの稼働状況を確認
※オフショア側のメンバーの手が空きそうにならないように日本側の担当者に作業準備を依頼する。
また、この他に気をつけなくてはいけないのは、ベトナムとのリモートであるがゆえの休日の違いや時差。
例えば、ベトナムの旧正月は祝日ですが日本は営業日。そのため、予め稼働できないことを日本側に認識してもらう必要があります。逆に日本のGWなどの連休はオフショアは稼働しているため、その間に作業してもらうことをまとめ、設計書、チケット登録・翻訳などを準備しておく必要があります。
また、時差が2時間とはいえ、朝8時ごろのリリースでは早朝6時に待機可能かどうかなど、事前に知らせなくてはいけないことを確認します。
つまり、ブリッジSEはオフショア側のメンバーの日報・報告・連絡から全体の状況を把握して取りまとめ、日本側の担当者に共有して、予定の調整、問題の解決を促すように務めているのです。
次回は、ベトナムのオフショア開発会社と初めて仕事をする方々が参考になるように、異文化についてご紹介します。
筆者:松丸恵子
広報室