KDL BLOG
現場から広報に異動して取り組んだ広報発信ネタの探し方や、ネタ作りのために現場の視点で心がけた工夫をご紹介します。広報担当の方のご参考になれば幸いです。
「いろんなことをされてるんですね」「よくそんなにネタありますね」と言われるKDLですが、実際には、外部発信の話題が特別多いというわけではありません。同じくらいの規模のIT企業と似たようなものだと思います。
広報担当の方のよく聞くお悩みに、ネタが集まってこないというものがあります。KDLも同じような課題がありました。今回はそのような課題を解決するべく試みた、広報するネタの探し方、作り方についてご紹介します。
広報ネタに困る理由
「ネタください」ではネタは出てこない
現場からのネタがあってこその広報です。なければ広報はできません。しかし、「広報ネタくださいね」と開発現場の部門に言っておけばもらえるかというと、そうはいきません。なぜなら、部門には優先度が高いことがあるからです。
現場の立場にしてみれば、お客様の依頼に対応したり開発に集中しているときに、「これは広報できるだろうか?」と気を配るのは難しい問題です。
ヒアリングではネタは出ない
ネタが出てこないなら、広報担当から頻繁にヒアリングしてみたとしましょう。現場に「何か広報できる話題がありますでしょうか?」と聞きに行っても、出てくることはそんなにありません。なぜなら、現場の担当者は「何が広報できるか」を判断できないからです。
これが広報できそうだ、と思いつくには「広報脳」が必要です。これは、広報に身を置いている人でないとなかなか難しいものです。広報から見ればネタにできそうなちょっとしたことはたくさんありますが、ある程度のボリュームがあってニュース扱いできるものでないと広報できないのでは、と考えている方もいます。
「ブログ書いて」はハードルが高い
社内ブログをやっても続かない、という企業は多いと聞きます。現場で開発する傍らブログを書くというのは、文化がないとなかなか実行できないものです。工数などを計算して要員調整で開発現場に入っていることが多いなか、そんな時間はとれなかったり、優先度がどうしても低くなることもあります。
また、自分個人のブログは書けるけど、会社の看板を背負ってブログを書くのはハードルが高いという声もありました。
ネタは見つけに行く
「ネタをもらえないから広報できない」と考えていては広報の頻度は上げられません。現場で広報の優先度が低くなるのは、役割から見ればそういうものだと考えています。
むしろ私は、そんな風に自分たちのPRなんて二の次で、お客様のことに一生懸命なKDLの開発現場が大好きです。こんなKDLの様子こそ、外に伝えたい広報ネタなのだと考えています。そこで、できるだけ開発などの業務に集中してもらえる形で、自分自身は広報を優先して引っ張っていくスタイルで取り組んでみました。
広報から現場に近づくこと
KDLの広報部門は、大部分の企業と同じように、部門と同じレイヤーに独立して存在しています。なので、どうしても現場の情報は入ってきませんでした。そこで、可能な限り現場でやりとりしているMLやSlackやTeamsなどのチャット、Backlogに入れてもらうようにしました。広報できるかどうか、の判断は「広報の専門性」です。情報を知ることのできる環境に身を置けば、もっと実は眠っているネタがあるんじゃないかと考えました。
部門の方にお願いすると、部門で情報を共有しているところに快く入れてもらえました。また、場合によってはお客様とやりとりしているグループチャットなどもに入れてもらいました。
<広報用のチャンネルを作ってもらっているSlackの例>
こうなれば、あとはアンテナを張ります。もしも、例えば「セミナーで登壇するんです」「こんなイベントやるんです」というような、ちょっとでも広報ネタになりそうな内容を見つけたら、全力でキャッチアップします。進めるときは「現場優先」をバックアップすること。現場待ちにしないこと。セミナーやイベント、案件も、可能な限り自身の足で取材に出て現場を見るようにしました。
<伝説のサバイバル取材風景>
また、内容確認は簡単にできる工夫をしました。原稿は確認してもらえるだけの状態にして、外でスマホでも見られるようにPDFにしたり画像にしたり。回数も少なく最低限になるよう気を付けました。
また、お客様への確認が関わってくる内容は、直接広報担当からお客様に連絡することも多いです。事例掲載をご依頼させていただく場合に提案書を作ることも。大事なお客様とのやりとりでも、「広報担当に任せておけば安心」と思ってもらえることを意識しました。
ときには、ネタは作るもの
それでも、ネタが見つからないということもあります。でも、本当にないのでしょうか?
実は、社内でやっているちょっとした取り組みや、誰かが頑張った話、ごく普通の現場の裏側なども広報ネタになります。ニュースでも事例でもないけど、社内の面白い会議や日常風景、開発現場なども外部発信したら面白いんじゃないか?というアイデアから、なんでも発信できる場所を作ろう!というのが、KDLブログ開設の背景です。
例えば、社内の情報集約のプロジェクトや社内勉強会の運営などインタビューから記事にすることもあります。メディア向けの記事にはならなくても、ノウハウとして発信したことで検索にひっかかり、サイトを見てもらうきっかけになっています。社内勉強会の内容から記事を起こしたりすることも。セミナーレポートや、社内セミナーなども発信しています。
フィードバックすること
KDLでは、ブログのアクセスランキングを社内報に掲載しています。
ネタをくれた方にも、気が付いた時にアクセス状況を直接連絡したり、Twitterの拡散状況をお伝えしたりしています。当然ですが、「ネタください!」ばかりでその後のフィードバックが何もないと、「次もネタを連絡しよう」とは思えないですよね。ネタを提供してもらったりインタビューに協力してもらったり、確認してもらったり、アドバイスしてもらったりしたら、できるだけその反響を伝えるようにしました。
結果、ブログを書いてくださったり、もう一度ネタをくださる方も増え、広報の優先度が高まってきたように感じています。もう感謝しかない。
最後に
まとめると、ブログの発信ネタを増やすには、広報から現場に近づいて情報が入りやすいところに身を置くこと。ネタを収集したら、現場待ちにせずしっかりリードすること。広報したあとの反響を現場にフィードバックすること。
どんなことが広報できるかや発信内容などは、半分外を向いて仕事をしている広報の専門性のひとつです。現場は現場が優先なら、広報担当は、広報をリードしていかなくてはいけません。「現場と広報」ではなく、現場を広報する役割の、チームの一員という意識で動いてみてください。
筆者:松丸恵子
カスタマーサクセス